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並ぶ1日
この話は、
特別ではない一日のことです。
名前を呼ぶことも、
呼ばれないことも、
どちらも同じ重さで過ごします。
翌日、ポシェットは何事もなかったように言った。
「昨日は、店を閉めていて」
それ以上は、何も続かなかった。
埋め合わせ、という言葉も使わない。
「もしよければ」
その一言で、十分だった。
街を歩いた。
目的は特に決めなかった。
気になる店を覗いて、
気にならなければ通り過ぎる。
話すこともあれば、
黙っている時間もあった。
隣にいることが、
説明を必要としない距離だった。
お茶を飲んで、
夕方になる前に別れた。
「また」
とも言わなかったし、
「さようなら」も言わなかった。
それでも、その一日は、
確かに終わった。
第五話では、
ふたりが「並ぶ」時間を描きました。
恋でもなく、
約束でもなく、
ただ同じ一日を過ごすこと。
それができた時点で、
関係はもう、十分に成熟しています。




