人外の享受
前(前世)の私は美味しそうです。
まるまる太った猫ちゃんで幸せそうです。
今世の私は人妻ならぬ人人外です。
今日は何やら検査をするみたいです。
私の体の調子によって赤ちゃんを作るか決めるそうです。
人外には赤ちゃんの頃から不思議な装置がつけられます。
それによって嘘がつけなくなります。
定期的に付け替えるのですが、あれは耳が擽ったくて苦手です。
検査をする前に耳の装置を付け替えます。
装置を外してまた付ける時、あまりの擽ったさに、装置が耳に入る直前で右耳の装置を取ってしまいました。
体の検査は質疑応答の形でされます。
人外は嘘がつけないので、正確に事を把握できます。
でも何故でしょうか。
私は今回嘘をついてしまいました。
自然と口から出てきて嘘なのに嘘じゃない感覚です。
今回も赤ちゃんを作ることは難しそうです。
それから私は少しずつおかしくなっていきました。
最初は罪悪感で人とすれ違うのも怖かったですが、慣れてくると世界に色がついたように視界が変わりました。
片方だけ取り外した装置の影響でしょうか。
もう片方は奥まで取り付けられていて外せません。
次の付け替えは1年後です。
今日は遠出をしました。
急に海に行きたくなってしまいました。
綺麗で大きな海は吸い込まれそうでなんだか気持ちいいです。
足を入れてみると凍えるように冷たくて心地がいいです。
どんどん入っていきましょう。
気がつくと私は病院のベッドに寝ていました。
耳の装置は両方とも取り付けられていました。
ああ。
またあの生活に戻るのですね。
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