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その憎しみは、剣を手に ―『その微笑みは、剣よりも』Remake―

作者: 秋桜星華
掲載日:2025/10/05

毎日投稿100日目。

一番最初に投稿した作品「その微笑みは、剣よりも(https://ncode.syosetu.com/n5504kr/)」のリメイクバージョンです。

元の方を先に読んだほうがいいかもしれないし、あとに読んだほうがいいかもしれない。


元の方とは展開が違うのでご安心ください。

 今日はいい天気ね。空が笑っているような、雲一つもない快晴だわ。


 ごきげんよう、公爵夫人様。どうされましたの?暗いお顔で長椅子に腰掛けられていると空との対比でより引き立ちますわね。


 そんなに驚いた顔をされなくても――ここにいる理由ですか?


 それは貴女(あなた)にそっくりそのままお返しいたします。”公爵夫人”になったのですから、それ相応の教育を受ける必要がありますよね。こんなところにいて、大丈夫なのでしょうか?


 公爵夫人を強調しているように聞こえる?


 これは、ワザとでしてよ。


 でも、(わたくし)は婚約者と……えぇ、これはやめておきましょう。ともかく、いろいろなものを私から奪い、見事公爵夫人におさまられた貴女様に対して、敬意を込めているのです。決して未だに他の方の爵位を記憶していない貴女へのあてつけではありませんわ。決して。



 いかがですか、公爵夫人の地位は?


 もうやめたい?


 ふふっ。……失礼。あまりにも考えなしの感想で思わず……ふふっ。


 申し訳ありません、公爵夫人様。あまりにも滑稽で。


 ですが、やめるなんていうことができる立場ではないことなんて、理解されていたのではなかったのですか?


 公爵は国に数人しかいない、国家の中心的立場ですわ。もちろん、公爵夫人も同様でしてよ。そのような立場なのですから、自分勝手な発言など許されないでしょうね。


 これほど忙しいなんて思っていなかった、ですか。でも、自らその立場を求めたのは、そんなことをほざいて――あら失礼、おっしゃっている貴女でしょう?よく高位貴族ほど身勝手で横暴なんていうことを聞きますけれども、言われている方は対して仕事をしていない方々に言われてもなんにも響いておりませんわ。


 私達にとって一番の名誉は皇帝からの信頼、忠誠への報いなのですから。


 もしかして元男爵令嬢である貴女には旦那様の寵愛はなによりの幸せに見えたのでしょうか?


 でもね、貴族はそれほど簡単に感情を見せないはずなのですよ。


 自分の感情が現れる部分というのはつまり、自分の弱点でもあるでしょう?自分の弱点を誰かに知られるということは、日々熾烈な競争が繰り広げられる貴族社会では致命傷になることもあるのです。



 随分と被害者面ですわね。


 ――もしかして、私が貴女にされた仕打ちを忘れているとでも?


 本当の被害者はこちらなのに。


 その感情が私をここに縛り付けているというのに。



 お前と話していると寒気がする?


 それはこっちのセリフですわ。


 ――さようなら。


 もう顔を見たくもないアンタへ。













 ごきげんよう。元・婚約者様。


 私以外との生活はいかがですか?


 そんなに泣かなくても。



 ――あぁ、わかってしまいますか。


 貴方(あなた)の言うとおりです。わたしは貴方が婚約していた彼女・リディア侯爵令嬢ではありません。


 彼女の意思を受け継いだ、守護霊とでもいう存在ですかね。


 何をしにきた?ほかでもありません。



 先日、貴方の奥様と会ってきました。


 ――わたしは、彼女を殺すつもりです。



 生前、リディアがいじめられていたことをご存知ですか?


 ――いえ、いじめなんていう生ぬるいものではありません。


 あれは、殺人というものでしょう。


 ――ご存じないですか。


 誰に?貴方、つまり公爵子息に一目惚れした男爵令嬢にです。


 まさか?えぇ、そのまさかですわ。


 貴方がそんな相手と結婚していることをわたしは受け入れられません。


 ――どんなことをされていたのか?


 ごめんなさい、それは返答を控えさせていただきます。彼女の、名誉を保つためにも。


 ですが、薄々察していらっしゃったのではないですか?

 彼女は、内気で、心優しい人でした。


 その人見知りがたたり、あまり――友人は、多くはなかったよう、ですが……


 唯一の”友人”が貴方の、奥様――つまり、例の男爵令嬢です。


 まぁ、周囲から見れば友人だったようですが、明確な序列がありましたよ。常識とは真逆の、ですが。



 リディアは、数年間そんな状況に置かれていました。


 耐えてはいました。ですが、限界だったのです。


 ――貴方も知っているでしょう。リディアの自殺を。


 リディアは、自らの手で逝ったと思われていたようですね。


 確かに、彼女は思い悩んでいました。


 男爵令嬢にいじめられていること。これは、自分のせいではないか、と。


 侯爵令嬢なのに、こんなに弱くて。自らの存在に意義が感じられなかったり。



 しかし、リディアの死因は他殺でした。


 貴方は疑問に思わなかったのですか?


 確かに、リディアは心優しい人でした。ですが――というかだからこそ、彼女が自殺……いえ、このような話はしたくありません。


 とにかく、彼女が未来を決めていたのなら、なんらかの形でそのことを示し、感謝を形として残す――そう思いませんか?



 あぁ、リディアは今もここにいますよ。


 口を開けないし、貴方とわたしの話を聞いているだけですけど。



 ――まぁ、というわけなんです。


 貴方が殺すのが一番楽でしょう?


 方法は問いません。


 ただ、奥様がこの世からいなくならないとリディアの魂もここに残り続ける、というか……


 脅しではないですよ?断じて。


 ただ、死んだ者の魂が残り続けるのは、あまりいい影響をもたらさないというか……まぁ、そういうことです。



 貴方のためにも、リディアの為にも。


 彼女を亡き者にしてくださいませんか?





【速報】

 マリア公爵夫人、誘拐され行方不明


 マリア公爵夫人が何者かに誘拐され、行方不明になっている。

 騎士団がたくさんの団員を捜索に当てている。

 なにか情報があれば公爵家外部連絡ポストまで。




【訃報】

 マリア公爵夫人死亡


 誘拐され行方不明となっていたマリア公爵夫人が、今日未明、邸宅前で死亡しているのが発見された。

 遺体は損傷が激しく、本人と断定できないほどの状態で放置されていたという。

 公爵は「誠に遺憾である。だが、彼女のことは忘れない」と語ったと報じられている。






 ――これで安心して眠れる。


 私を縛り付けていた憎悪の感情が解き放たれ、私は天へと昇っていった。


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― 新着の感想 ―
ホラー。Σ(-∀-;) いや、呪いなのかな。 こわわ。 文章がとても綺麗ですね。 私も、頑張ろう。 ( ・∇・)
なにいっ!? あんなに生き生きと現公爵夫人を追い詰めてらした侯爵令嬢さまがし………死んでる!? お前と話していると寒気がする、って霊障か!? しかもその旦那に殺害依頼! マリア公爵夫人。拷問でもされ…
投稿100日達成、おめでとうございます! 改稿前よりも剣の鋭さが増している内容でしたね。 いつもありがとうございます!
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