昼過ぎの天気雨
物置になってしまいそうな部屋の片付けをしていた時、窓の外を見たら日差しは明るいのに雨が降っている事に気がついた。
休憩がてら外に出て深呼吸をしてみる。
今年も薄いピンク色をしたヒルガオが綺麗に咲いている。
左側のベランダに人の気配を感じて目を向けると、1人のおじさんが赤ちゃんを抱っこして立っていた。
おじさんは赤ちゃんをあやしながら大きめの独り言を言い始めた。
「あなたの孫ですよ、ムト。これからよろしくお願いしますね。」
ムトって誰の事だろう?と思ったが、おじさんには僕が見えていないのかこちらを全く向こうとはしなかった。
ただ、抱かれている赤ちゃんは僕の方をずっと見ているようだった。
「さあアキラ、お母さんが待ってるからお部屋に戻ろう。」
そう言い、おじさんは東側の部屋に入っていった。
今は僕しかいないはずの自分の家での出来事に
不思議に思い東側の部屋を見に行ったが、やはり誰もいなかった。
またベランダへ出てみても誰もいない。
短い夢でも見ていたのだろうか?
また少しの間景色を眺めていると、左側のベランダから女の子の泣き声がした。
迷子が迷い込んだのかと一瞬思ったが、なんとなく違うような気がした。
現実と違って少しキラキラ眩しい感じが、先程のおじさんと赤ちゃんの時と同じ感じかした。
優しく声をかけ、話をしてみた。
先程のおじさんとは違い、こちらに気づいてくれて話をすることができた。
名前はムトウ アキラちゃん。おじさんが抱っこしていた赤ちゃんと同じ名前だった。
アキラちゃんは泣きやみ、部屋に入って言った。
バタバタ走る子供の足音も、部屋の中に入ると全く聞こえなくなった。
恐らく、夢か何か不思議な事が起こっているのか、僕はワクワクしているようだった。
また少し経つと二十代くらいの女性がベランダに立っていた。
こちらを見た、でも目は合わなかったから僕には気づいていないようだった。
肩を落として悲しそうな顔をして、何かを話しているようだけど声は聞こえなかった。
それでも最後は万遍の笑みでお辞儀をして部屋に戻って行った。
お辞儀の時見えた左の薬指には綺麗な指輪がはめられていた。
今度は十代後半くらいの女の子がベランダで泣いていた。
アキラちゃんの時々同じように声をかけたら返事が来て少し驚いた。
話をしてみると、流石に五歳の子供のようにはならず、少し警戒されてしまった。
それでも話をしてくれた。
それからすぐの事、また同じ女の子が現れて慌てて色々と話してくれた。
その子はやっぱりアキラちゃんだった。
これから沢山幸せな事が起こるよ、と思い笑顔でお別れをした。
きっともうここでは会えない、でももうすぐ会えるから。
僕が間違えて撒いたヒルガオが雨に濡れてキラキラと輝いていた。
お読み頂きありがとうございました。
それなりに長い小説を初めて公開しました。
非常に読みにくい文章だったと思いますが、ここまで読んでくださりありがとうございます。
もし楽しんで頂けていたら嬉しいです。
実はヒルガオについて調べながら書いていたので植物に詳しい方が読まれたらおかしいと思う所があると思います。
ヒルガオはあまり種が売られてないようです。
それにとてもが硬いらしくて発芽もしにくいとか…
すみません、私も植物を扱っている仕事をしていながらまだまだだなと思いました。
お葬式についても調べながら書きましたので、多少おかしな所もあるかと思います。
もしよろしければ教えてください。
恥ずかしい文章になりそうですが、これからもコツコツ頑張ります。