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一章 再起16

「否定はしないな。」

「だろう?なんとかと煙は高いところが好きって言うだろう?あの馬鹿どもは、とにかく派手でわかりやすい功績が欲しいんだろうさ。手っ取り早くSになるには、デカい功績を上げるのが一番だからね。」

「積み重ねればいつかは届くものに、阿呆どもは気づいてない。というか、経験も無しになったところで、大ぽかやらかして取り返しのつかない痛い目を見ることになる。」

「お待たせしました、唐揚げ四人前でーす。」

「あん?あたいは一人前しか頼んでないよ?」

「三人前は私のだ。ありがとう、アビー。」

「いいえー、これが私の仕事ですからー。ごゆっくりー。」

「……あんた、見かけによらず大飯ぐらいなんだねぇ。」

「食事は大事だぞ。」

「山のように揚げ物は話が違うと思うんだけど……」

「カロリーが足りないんだよ。」

「それに籠一杯の黒パン……1個貰って良いかい?」

「自分で頼め。……そう言えば流しかけたが、誰が誰に惚れてるって?」

「ちっ、ケチ臭いねぇ。鱈腹貯め込んでるだろうに。セフィーが、あんたにだよ。」

隣に座っている女が告げた言葉に暫し沈黙する。パンを咀嚼し、唐揚げと一緒に麦酒で流し込む。言葉の意味を理解した直後、思わず盛大に咳き込む羽目になった。

「っ、げほっ、ごほっ……おい、レイラ。ジョークにしたって言っていいことと悪いことがあるぞ。」

「生憎、あたいは酔ってないときはジョークなんか言わないよ。そんで、まだ素面しらふだ。」

「セフィーが、私を?冗談だろ、あり得るはずがない。確かに、ただ一人私の排斥に反対していたが、それは私がいないと『黎明の剣(あいつら)』が崩壊することを私の他にセフィーだけがわかっていたからだろう!」

「あんた、どうでもいい相手は歯牙にも掛けないけど、身内やら困ってる奴やらにはちょいと甘いだろう。イオリのやつに新しい足をやったのが誰か、あたいが知らないとでも?セフィーは、あんたのそういう優しさに惚れてんだよ。」

「……相対的にマシなだけで、セフィーも頭がおめでたいやつだったか。」

「好いてくれてる子を、そんな言い方することないだろう!」

「イオリの足だが、私の目の前で、異界迷宮暴走に巻き込まれて失ったものだ。双頭魔犬オルトロスに食い千切られた……傷口がグチャグチャで、繋げられなかったんだ。どうにか救助は間に合ったが、この世の終わりのような顔をしていて、見ていられなかった。いや、この際だからはっきり言うが目障りですらあった。あまりにも不愉快だったから、歩けるようにしてやっただけだ。あいつは俺に感謝しているが、むしろあいつは俺を怨むべきだ。俺が優しいだと?馬鹿を言え、俺ほどのエゴイストはそう居ない!」

「ステーキ一丁、それと麦酒のおかわり一丁。アレン、レイラ。痴話喧嘩ならよそでやれ。」

「痴話喧嘩じゃあないよ、大将。」

笑う女を余所に、麦酒を呷る。

ナイフを取って分厚いステーキを三等分に切り分け、フォークで一切れを雑に突き刺して口に放り込む。

「なあ、アレン。実際、セフィーの」

「それから先を口にするなら、お前もイオリのように冒険者を廃業することになるぞ。」

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