表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/58

一章 再起12

そう言った女に、答えることなく私は踵を返す。

「あ、ちょっと!」

「貴様、お嬢様を無視するとはどういう了見だ!」

「それに行き先を告げれば、其処までは連れて行ってくれますよ。あと……同行する気はありません、悪しからず。」

地を蹴り、宙に体を躍らせる。体を捻って姿勢を変え、空を蹴って弾丸のように空を跳ぶ。馬車を振り返ることなく、街に向かって駆けだした。



「行ってしまわれました……ですが、お生憎様。容姿は覚えました。冒険者ギルドに問い合わせればわかるでしょう。クレア、行きましょう。」

「はい、お嬢様。」

護衛が御者台に戻り、女性が馬車の中に戻る。

「セリアまで頼む。」

護衛が八本足の馬型呪具に行き先を告げる。呪具の足が滑らかに動き出して、馬車を牽いて進み出した。


空気を蹴りつけ、空を駆け抜ける。遠目に街を囲う城壁を視界に捉えると、速度を落としながら緩やかに地上に降り立つ。

傾く日を眺めながら、門の前に辿り着いて声を上げる。

「おおーい!」

「何だ……おう、アレンじゃないか。朝方出てったのに、随分早い戻りだな?ちらと見えた依頼書の中身的に、泊まりがけかと思ってたぞ。」

王種キングが思ったより早く片付いたんだ。ほら、タグ。通って良いか?」

「おう、勿論良いぞ。お疲れさん。」

門の横にある詰め所に控えていた門番の男と軽く言葉を交わし、タグを見せてから門を潜り抜ける。

「しかし、アレンよ。血の臭いはするが汚れ一つないな?」

「コートとズボンとブーツに汚れを弾く魔法を付与してある。臭いの方はそうも行かなかった。どうしても陣同士が干渉して作用が狂うんだ。一応、軽く『清浄化クリーン』は掛けたんだが、まだ匂うかい?」

「ちょっとはな。……いや待て、さっきさらっと流したけどお前、王種っつったか?」

「言ったな、それが?」

「なんで単独で王種相手にして半日で戻ってこられるんだ……。」

「たまたま依頼自体が近場で纏まってた。それと、想定外のハプニングとして女王鳥魔人と巨猪魔人王がたまたま1箇所に纏まってた。」

「そうか……そういや、朝聞きそびれたが、今日はソロか?」

()じゃなくてから(・・)だな。限界を感じるまでは当分気楽なお一人様だ。」

「なるほどなぁ……全く、あの阿呆ガキどもは。間もなくパーティランクSにも届くとかほざいてたが、その実殆どお前におんぶに抱っこだったろうによ。」

「良いことも一つあるぞ。当分ストレスから来る胃痛に悩まずに済む。もう良いか?完全に日が落ちる前に報告したい。」

「あ、お、おう。悪い、引き留めて。」

門を抜け、勢い良く走り出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ