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一章 再起9

土煙を巻き上げて、鳥少女が地面を転がる。ゆっくりと、それを見下ろし地面に降り立つ。

勢いが衰え、止まったところで鳥少女が上体をどうにか起こす。焦燥と怒りを血塗れの顔に貼り付け、低く唸るような声で口を開いた。

「よくも、我に土をつけたなぁ……!許さんぞ、猿が……!」

「済まない、一撃で仕留めてやるつもりだったんだが、これを使うのも久しぶりでな。」

「……あり得ぬ。何故貴様如き猿が、龍の力を持っている!」

「一応、幾つかの呪具の組み合わせと私自身の腕前なら、単身で龍を屠れる力はあるのでな。私は力を得るためなら、手を選ばない主義だ。」

「……取り込んだのか、龍の、力を……!」

「半分正解だ。不滅の炉心アンブレイカブル・コアの素材には、龍種以外にも様々な魔物を使っている。龍の力が一番強いからよく使うだけだ。他の魔物も勿論使えるぞ。まあ……今から死ぬお前にはもう関係ないが。」

「巫山戯るなぁァァ!!!『風よ我が敵を切り裂け(ガストサイス)』!!」

見えない斬撃が私に迫る。私はそれを、右手で軽々と弾いて退けた。

「知らぬとは言わせん。龍の鱗は生半な魔法など物ともしない。勿論、本物ほどの耐久性はないが……私の一撃で脳を揺らされ、魔素の制御の不十分なバランス型の王種の魔法なら十分防げるさ。」

「馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な!!!」

「お前にはこれといって恨みは無いが……いや、訂正する。大事な仕事道具を汚された恨みがある。仕事でもあるから……死ね。」

「許さッ゛」

固めた拳を顔面に叩き込む。鈍く湿った音が響いて、鳥少女の顔面が潰れる。大きく一度痙攣して、その動きは止まった。

「ブフー……ヤット死ンダカ、烏メ。」

「待たせて悪かった、猪野郎。次はてめーだ。」

「ブハハハハハ、烏女ト俺様ヲ一緒ニスルナ!俺様ハゴーグ、剛力ノゴーグ!巨猪魔人王ギガントボアオークキングダ!ニンゲンゴトキ、瞬デ潰シテヤロウ!」

「ほう、鈍間のろまがほざくな?私がお前を後回しにしたのは、お前の方が楽に片付くからだというのに。」

「ナンダト?」

「で、私を瞬で潰すんだったか?やってみろ。術式解放『時空疾駆・三倍速トリプルアクセル』。」

狼達を蹴散らしたときより、さらに世界が緩やかになる。のろのろと棍棒を振りかぶる猪頭を見ながら、袖から双刃剣を抜き放つ。腰だめに構えて両手で柄を握り、力の限りに大木のような足目がけて振り抜く。巨人に迫る膂力を以て振り抜いた一刀で、然したる抵抗もなく分厚い筋肉と頑強な骨で構成された足を片方切断してのけた。続けざまに、もう片方の足も両断する。

力強く地を蹴り、空中に身体を踊らせる。

8メートル程の巨体を誇る猪頭の片腕より上まで跳び上がり、高速で回転させた双刃剣を左肩に叩きつける。鮮血を撒き散らして、腕が肩からズレる。

二度空中を蹴って方向を変えて、背中に跳び蹴りを食らわせる。宙返りしてから、猪頭の背後に着地して口を開く。

「術式凍結。さぁ、教えてくれよ猪野郎。片腕だけで、私をどう潰す?」

「ガ、バ、馬鹿ナ!?」

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