表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/58

一章 再起8

巨狼との激闘から3時間ほど後、山岳地帯で私は瞠目し天を仰いだ。

「……なんで二体同時にいるんだよ。」

目の前にやや肥満気味ながらも筋肉質な猪頭の巨体の人型、その背後の空を翼を持った十歳ぐらいの少女が飛んでいる。

「ブルル……」

「イレギュラーが居ないだけまだマシだが、王種2匹は重いっつーの……猪野郎、お前は後だ。流転神の具足、起動。」

地面を蹴り、猪頭を無視して空中に飛び立つ。

空気を踏みつけ、文字通り空中に立って、鳥少女を睨む。

「さあ、てめーから潰してやるよ。鳥女。」

「キヒヒ、面白いな、ニンゲン。我らの縄張りを、土足で荒らすか。」

「えー、喋れるのかよ。やりにくい……なんて言うと思ったか?その羽、残らず毟ってやるよ。」

「キヒ、ユカイユカイ。我はケラエノ、女王鳥魔人クイーンハルピュイアなり。ニンゲン、貴様の名はなんだ?」

「アレン。アレン・オルガノン。呪具創師アーティファクトメイカーオルガノンの末裔。数世代に一度産まれる、万創の手の持ち主だ。」

「作り手が、我を殺すとほざくか!キヒ、キヒヒ!笑わせるぞ、アレンとやら!」

「言ってろ。王種相手だ、出し惜しみはしない……熾天使の翼(セラフウィング)、起動。全知の目、起動。巨人の双腕、起動。賢者の六芒星、起動。」

ゴーグルを目元に下ろし、腕輪が赤い燐光を放つ。六芒星の首飾りが蒼白く光り、背中から白い翼が三対生える。

「なりが変わった程度で、このケラエノを殺せるか!」

「見かけ倒しと思うか?なら、その油断がお前の敗因だ。」

二刀を手に持ち脱力する。その状態で重心を前に倒した、次の瞬間。一瞬でケラエノと名乗った鳥少女の前に移動して、腕を鞭のようにしならせ斬りかかっていた。

鳥少女が身体を反らしながら羽ばたくことで、その一閃は空を切った。

「キヒ、面白い。面白いぞ。」

「手早く沈めるつもりだったんだが。……仕方ない。こいつは出来れば使いたくなかったが……不滅の炉心アンブレイカブル・コア出力上昇ブースト・オン龍化の宝珠(ドラゴニックオーブ)、起動。……先の発言を取り消そう。ここからは、正真正銘出し惜しみ無しだ。」

ゴーグルの奥で、瞳が縦に切り込みを入れたように鋭くなる。目の周りに血管が浮かび、両腕に鱗が生え揃う。

次の瞬間、再び一瞬で姿が消える。固い物がぶつかる鈍い音が響くと、鳥少女は錐揉みしながら山肌に向けて落ちていた。

「……加減が難しいな。出来るだけ原形を留めた状態で仕留めたいが……」

血のついたハルパーの柄頭に視線を落として、渋い顔をする。山肌を転がる鳥少女に目を向けて、追随するように高度を落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ