アーディの婚約
とある曇り空が広がる日。
りさは、最近ロザリーが店に来ないことにはたと気づいた。
仕事中のケインに声をかける。
「ケインさん、最近ロザリーちゃん来ませんよね」
「ん?言われてみればそうだなあ」
「アーディ様と何かあったんでしょうか」
「さぁ……女心は移ろいやすいものだからねえ」
「うーん、ちょっと心配なんで私様子を見に行ってきます」
「いいけど、リサって結構お節介だよね」
りさは仕事を片付け、ロザリーの花屋に行ってみることにした。
***
店頭に花が色とりどり並んでいる。それらを補充しているロザリーの姿があった。
「やっほ、ロザリーちゃん。最近こないけどなんかあった?」
「リサさん……私、もうアーディ様のことは諦めます!」
少し怒ったように言うロザリー。りさは困惑する。
「ちょ、ちょ、何があったの?なんか嫌なことでも書かれたのかな?」
「いいえ。どうやらアーディ様は婚約をしたそうです。他のお客様から聞きました。手紙も来ないし、私は捨てられたのでしょう」
「そんな……」
「悲しむ時期はとっくに過ぎました。私は今とても怒っているんです!
せめて一言何か私に言うことがあるんじゃないですか?」
そう怒りに震えるロザリー。
(可愛いロザリーちゃんを酷い目に合わせるなんて! 許せない!)
りさはその足で王宮に殴り込みに行くことにした。
***
王宮に着いたりさは、アーディの公務室のドアをドンドンと強く叩く。
アーディの執事にドアを開けてもらい、りさはアーディ目掛けて突進していく。
「ちょっと、アーディ様。あまりにもひどいじゃないですか!」
「リサさん!?な、なんのことだい?」
「ロザリーちゃんから聞きました! !他の方と婚約されたって!」
「婚約?僕が……?それ、僕の兄上のことだよ」
どうやらじっくり話を聞くと、婚約したのはアーディの兄だという。
アーディが手紙を出せなかったのは公務が立て込んでいて、時間が取れなかったのだ。
「ロザリーちゃんめちゃくちゃ怒ってましたよ」
「そんな!ああ、ロザリー!」
そう言うと、たまらず部屋を飛び出しロザリーのもとへ駆け出すアーディ。公務は放り投げている。
「ま、待ってー」
りさは慌てて追いかけるのであった。
***
ロザリーの花屋についたアーディとりさ。
ロザリーを見つけたアーディは強くロザリーを抱きしめる。
「お馬鹿さん、つまらない噂を信じるなんて。僕には君しかいないよ」
「アーディ様……」
しばらく抱擁する二人。りさは
(いいなー)
と思いつつ、陰から見守っていた。
ロザリーを離し、アーディは跪いて言う。
「急だけど言わせてくれ、ロザリー、僕と結婚してくれ!」
「アーディ様!ええ! ええ!喜んで!」
「わーい!ロザリーちゃんおめでとー!」
りさはたまらず陰から出て、2人を祝福する。
空はすっかり雲が流れ、青空が広がっていた。
白い二羽の鳥がパタパタと空を飛んでいる。りさはそれを見て、
(アーディとロザリーみたい)
と思ったのであった。
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次回最終回です。




