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俺様、嵐のように参上!

とある日の太陽の日差しが眩しい朝。

店の外が何やら女性の叫び声で騒がしい。


「ケインさん、何事ですかね」

「さあ……劇団の俳優でもやってきたのかな」

「それは一目見たいですね」

「ああ、そう? ちょっとだけ見に行こうか」

「やったー!」


無邪気に笑うりさを、ケインは微笑ましく見守る。

店の外に出ると、人だかりの山ができており、一人の背の高い男性を囲っていた。


「ケインさん、あの眩しい金髪、もしかして……」

「いや、あり得ないだろう。こんな街中に警備もつけないでやってくるなんて」

「お!リサー!俺様が会いに来てやったぜー!」


そこにはアクロサウス国の第三王子、ベルナルドの姿がいた。

人をかき分け、ベルナルドがリサに駆け寄ったと思えば、抱き着いて頬に何度もキスをする。


「ギャー!お戯れを!」

「離してやってください!リサが嫌がっています」


ケインはベルナルドに穏便に頼む。


「俺様の国の挨拶を嫌がるなんて、国家侮辱罪にあたるぞ」

「ケインさん助けて―!」

「リサ、ごめん……」


どうしようもできずにいるケイン。

ベルナルドがやっとりさを離したと思うと、


「お前らの国の観光名所に行きたい!」


と言い出した。

ケインが、ふーむと考えベルナルドに言う。


「近くの観光名所というと……水路の街かな」

「なんだそれ!おもしろそーじゃねえか!俺様いきたいぜ!」

「しょうがないな、わかりました。案内しますよ」

「お前はやだ!俺様りさに案内してもらいたい!これは王子命令だ!」


ため息をつくケイン。


「りさ、案内してやって。おじさんが店番してるから。」

「ええ!?」


心底いやだ!という顔のりさとは対照的に、ウキウキしているベルナルド。

こうして二人は観光地へと向かうのであった。


***


街から歩いて20分の所にある、水路と街並みが美しいエアロウォティ地方に到着した。

りさは、綺麗な街並みを見ても心が動かず、はあと大きくため息をつく。


「仕事放り出して、こんなところに来ていいのかなあ」

「たまには休みも必要だろ。わざわざ連れ出してやった俺様に感謝するんだな!」

「うわ、さすが王族……」


王族らしい上から目線に引くりさ。そんなことはどこ吹く風、ベルナルドは観光を楽しんでいる。

水路にかかる煉瓦造りの古い橋を見て


「きれーだな!」


とはしゃぐベルナルド。

何か目に止まったようで、強引にリサの手を取り、屋台へと向かう。

そこは、りんご飴がずらりと並んだ露店だった。店主がりんごを水あめにつけてりんご飴を作っているいる様子を不思議そうな目で見るベルナルド。目はキラキラと輝いている。

そんな彼を見て、りさは


(子供みたい)


と小さく笑った。


「なんだお前、俺様の顔になんかついてるか?」

「いえ、なんでもありませんよ、王子」

「ベルナルドでいい」

「え、でも国家不敬罪とかに問われませんか?」

「俺様がいいって言ってんだ。いいんだよ」

「そうですか」

「なあリサ!この国すっごくおもしれーな!俺様気に入ったぜ!」

「それならよかったです。さあ、そろそろ帰りましょう」

「いやだ!俺様もっとここにいる!」

「そうおっしゃらず」


りさはごねるベルナルドをなんとか宥め、店に戻った。


***


店に戻ると、アクロサウスの警備隊がずらりと並んでいた。

どうやらベルナルドを迎えに来たようだ。


「まだ帰りたくない!離せ!」

警備隊長に腕をつかまれるベルナルドはぎゃーぎゃーと騒ぐ。


「王子、勝手にヴェルニカ王国にやってくるなんて、国王に怒られますよ!」

「うるせー!あんなオヤジ怖くもなんともねー!」

「王子!」

「決めた! !俺様この国に留学する!留学なら文句ないだろ!」

「さ、さすがに王子の一存では」

「うるせー決まりだ!リサ、またくるからな!」


そう言って警備隊とともに国に帰るベルナルド。


(嵐が去っていった……)


りさは、どっと疲れがやってきてぐったりしていた。


後日、ベルナルドは本当にこの国に留学し、ヴェルニカ学園に編入したのであった。そのお話は、また後日……。

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