【超能力先輩とキャバクラ】
万「そういえば、今日依頼箱を見てきたら、予約みたいなのが入ってたよ」
ち「よ、予約……?」
楓「まず私、依頼箱の存在を知らなかったんだけど」
万「そろそろ来ると思うけど、律儀に事前連絡をしてきた依頼人だって」
ち「そこまで堅苦しい相談なんですかね?」
万「俺たちの手に余るようなら、先生を頼るしかないけど……」
コンコンッ
楓「噂をすれば……」
描「どうも、2年の古見 描です」
万「ああ、古見くんだったのか」
描「そういえば、小菊くんが部長なんだっけ」
万「同じクラスの人には相談しにくいかな?」
描「あー。誰にも言わないって約束してくれる?」
万「それはもちろん。部活とはいえ、依頼として受けている以上守秘義務は守るよ」
ち「あ、一応部外者の楓は帰ってもらいましょうか?」
描「ああ、女子の協力が必要だから、できれば居てほしいかな」
ち「今私のこと戦力外通告しました? 色気がなくてすいませんね」
楓「協力を求められたことより、先輩に対して嫌味をいうちよにびっくりしたよ」
描「どっちかっていうと、二人の協力が必要なんだけどね」
万「……?」
描「僕は、趣味で漫画を描いてるんだけど、キャバクラのシーンにリアリティがなくてね。会話の内容は用意してあるから、身振り手振りを録画させてほしいんだ」
描「単純にデッサンの練習にもなるしね」
万「で、その相手役が俺ってこと?」
ち「私たちはキャスト役ですか」
楓「私はともかく、ちよが役に立つのかな……?」
万「それはたしかに」
ち「二人とも殴りますよ!?」
描「大丈夫。小さい女の子を描くのも今後のためになるかもしれないから」
ち「うわ、なんかすごく嫌だ」
万「じゃあ、とりあえず、お店はいるところからやってみようか」
描「ボーイ役は居ないから、あたかも居るようにふるまってね」
万「マジ!? 案外無茶なこと言うなぁ……」
万「えと、はじめてです。指名とかはないですね。あ、予約してた小菊です」台本チラチラ
ち「すごい熱演してる……」
楓「『初めてキャバクラに来た人』の熱演ってどういうこと!?」
万「すいません、ありがとうございます」ソファ座り
描「あ、飲み物もないから、あるような感じでお願いね」
描「紙コップとか持つと、手のデッサンが崩れて書きにくいから」
ち「趣味で書いてる割に本格的ですね」
楓「お隣失礼しまーす。こういうお店初めてですか?」
万「そうだね。一人で来るのは初めて。普段は友達と行ってるから」
楓「そうなんですねー。どんなお友達なんですか?」
万「小さいころからの腐れ縁みたいな?」
楓「ええー。ずっと一緒にいるんですね。すごーい」
万「それなりに喧嘩もしてきたけど、やっぱ、一緒にいると楽しいよ」
ち「二人とも、しっかり演じてる……。よく入り込めるなぁ」
描「そろそろ君も入って」
ち「すいませーん。私もいいですか?」
万「ああ、うん」
ち「私、『ちい』って言います。ちーちゃんって呼んでくださいね」
万「おお、なんか本格的でかわいいね」
ち「あの、照れるんでそういうこと言うのやめてもらっていいですか……」
楓「かわいいって言葉に弱すぎるでしょ」
描「ちょっと、ちゃんと演技してもらわないと困るんだけど」
ち「あ、ごめんなさい」
30分後
描「これだけ資料が撮影できれば十分です。ありがとうございました」
万「そういえば、この前の依頼人、SNSでは有名な絵描きらしいよ」
楓「幼女が営むキャバクラっていうショートマンガがバズってましたね」
ち「私に似ても似つかない色気だけど、たぶんモデルは私と楓だよね……」
ち 楓「なんかいやだ……」




