【超能力先輩と誕生日デート】
万「わ、もう来てたんだ。早いね~?」
ち「今日は私が先輩をエスコートしますから!!」むん
万「はりきってるちよも可愛いよ」
ち「というか、まだ15分ぐらい前ですけど、先輩こそ早すぎませんか?」
万「まぁ、正直言って楽しみすぎて早く着いちゃった」
ち「まかせてください!! 今日は最高の誕生日にしますからね」
万(誕生日が嬉しいんじゃなくて、ちよが祝ってくれるのが嬉しいんだけどなぁ)
ち「まずは、電車に乗ります」
万「え、瞬間移動じゃダメ? いやごめん、今日はダメだよね」
ち「うーん。帰りは瞬間移動じゃダメですけど、行きはいいかもしれないです」
万「帰りはダメなの? どこに行くんだろう……」
ち「まぁ、でも今日は先輩の誕生日ですし、負担をかけるわけにはいきません。ちょっと面倒かもしれないですけど、電車で行きましょうか」
万「ちよと一緒なら負担でも何でもないんだけど」
ち「そういう照れること言わないでください」
電車に揺られて30分ぐらい……
万「……隣町の公園? あ、まだ桜残ってるね」
ち「もうそろそろ桜も終わりでしょうし、このころが一番きれいに見えませんか?」
ち「桜の散り際、他の木々が緑に染まる時期と混ざり合う景色が一番好きなんです」
ち「先輩は桜好きですか?」
万「いやぁ、特に好きでも嫌いでもないかな」
ち「え……」
万「ふふふ、冗談だよ。桜は好き。小さくて可愛いから」
ち「含みのある言い方ですね~?」
万「そういう意味と捉えてもいいよ」
ち「……ふぇ!?」
ち「先輩が私にドキドキしてもらうのが理想だったのに~!! これじゃダメです!! 次行きましょう」
万「あ、その前に写真撮っていい?」
ち「桜のですか?」
万「桜もだけど、ちよとの写真。思い出にさ」
ち「いいですけど、先輩、スマホのカメラ機能使えます?」
万「そこまで機械音痴じゃないよ!? 一応、俺現代人だから!!」
万「あ、見てよ。向こうで子供が走ってるよ。元気で可愛いね」
ち「……なんですか、幼い方が良いんですか? 私じゃ不満ですか?」
万「いや、そういう目で見てるわけじゃないよ!? 純粋な庇護欲だよ」
万「俺、どれだけのロリコンだと疑われてるの……?」
ち「冗談でーす。さっきのお返しですよ」
万「してやられたよ……」
ち「先輩、追いかけっこしましょう。負けたらジュース奢りですよ」
万「え、何それ。って、ああ、もう逃げてる。ちょっとずるいよ~!!」
子供「あ、鬼ごっこしてるー!!」
ち「よーし、皆、あのお兄ちゃんから逃げろー」
万「急に増えた!?」
2時間後……
万「ハァハァ。途中からかくれんぼになってたし、ちよ、本気で隠れすぎでしょ」
ち「フッフッフ。下見に来ていて正解でした」
万「デートのための下見じゃなくて、かくれんぼのための下見なの!?」
ち「お腹すきましたよね。ご飯食べに行きましょう」
万「いいけど、どこで食べるの? ファミレス?」
ち「なんと!! 私が作ってきました~。あっちの高台、景色が良いので、そっちで食べましょう」
万「……下見の意味があってよかった。本当にかくれんぼのために下見されてたら泣いてたよ」
ち「彼女の手料理が食べられることにむせび泣いてください」
万「公園で俺が泣き始めたら、警察呼ばれるよ」
ち「誰が事案幼女系彼女ですか」
万「一言も言ってないね。どういうジャンル?」
ち「ちなみに、お弁当ですが、先輩の好みがわからなかったので半分は冷凍食品です」
万「わざわざ言わなくて良かったよね? もう半分はお母さんっていうオチ?」
ち「いえ、私が稲から作ったおにぎりと、昨日作ったハンバーグです。形が悪くて焦げた奴はお父さんの晩御飯&お酒のつまみになりました」
万「お父さんが可哀想……。出来のいいやつも食べさせてあげて」
ち「出来のいい奴は先輩に食べてほしかったので」
万「可愛いけども!! ……って、ん? おにぎり、稲から作ったって言った?」
ち「はい。稲から作りました。脱穀して洗って炊いて。今朝握ってきたものです」
万「おい、ちょっと待て。稲から作ったってなんだ? 君は農家か?」
ち「祖父母の隣の家が農家です。去年、その手伝いをしたんです」
万「本当に稲から作ってたよ。愛情のかけ方が驚きなんだけど」
ち「いや、おそらく私の愛情よりも吉田さんの愛情の方が強いかもしれないです。雑草刈ったり手入れをしたのは私じゃないんで」
万「俺、今から吉田さんの愛情を受けるの? まず誰?」
万「いや、話の流れ的に、農家の方なんだろうけど」
ち「いや、町内会の会長さんで、その家の方とは関係ないです。ボランティアで、街の農家の手入れを回ってる人です」
万「マジで誰だよ吉田さん」
万「うん。照れ隠しでふざけてるんだろうけど、美味しいよ。このハンバーグ、ちよが作った奴? 形も綺麗だし、フワフワしてて美味しいよ」
ち「……まぁ、私料理上手いですから」
万「耳赤いよ。おにぎりも美味しいし、卵焼きも好き」
ち「それも、私が作った奴ですね……」
万「このじゃがいもの塊は? ゴマで目とか鼻とか付けられてるけど」
ち「蒸かして崩した芋を丸めたやつです。いろんな動物をイメージして作りました」
万「クマ、ウマッ」
ち「そ、それとですね。コレ、誕生日プレゼントです」
万「あ、今なんだ!? てっきり帰り際かと思った」
ち「あ、確かに。そうすればよかったですね。ずっと渡すタイミング考えてたのに……」
万「いやいや、嬉しいから。開けてもいい?」
ち「どうぞどうぞ」
万「わぁ、おしゃれな腕時計だね」
ち「椿先輩が、大人になる先輩に似合う時計を買ってあげたらいいんじゃないかってアドバイスされて。大したものじゃないんですけど、大人っぽく見えるようにちゃんとしたものを選びました」
万「早速つけてみたんだけど、どう?」
ち「めっちゃかっこいいです!! ずっと一緒に居たけど、上京して離れて行っちゃうお兄ちゃんみたいな感じがして、エモいです。触ってもいいですか?」
万「やけに生々しい情景だね。時計は気に入ったからいいけど、ちよの言うシチュエーションに引っ掛かりを感じるかなぁ」
ち「ご飯食べ終わったばかりで言いにくいんですけど、想定してたプランだと、これから先輩が見たいって言ってた映画を見に行く予定なんですよ」
万「マジ? 新畑任三郎VS刑事ポロンゴのこと? めっちゃ行きたい」
ち「先輩、前売り券買えなかったって話してたじゃないですか。この前、楓がプレゼントしてくれたペアチケットが、この映画の奴なんですよ」
万「うわ、すげぇ嬉しい!! 行こう行こう」
ち(先輩が子供みたいなはしゃぎ方してる。可愛い……)
なんやかんやあって……
万「あぁ~!! すっげぇよかった。まさかあの人が犯人だったなんてなぁ」
ち「ミステリー、意外と好きかもしれないです。新畑任三郎が犯人を追い詰めるシーン、かっこいいですね」
万「ポロンゴが居間泉(誤字じゃないよ)の冤罪を晴らしてくれた時はスカッとしたねー!!」
ち「と、ところで先輩!! サラッと私の家まで送ってきてもらってありがとうございます」
万「うん? ど、どういたしまして? でも別にいつものことじゃない?」
ち「今日、私の両親、出掛けてて誰もいないんですけど!!」
万「ハイ。……ハイ!?」
ち「よ、よかったら泊まっていきませんか?」
万(これは!! プレゼントは、わ・た・し。的なことか~!?)
万(いやいや、俺たちはまだ高校生。そういう展開にはならないはず)
ち「……一緒に居ちゃ、ダメ、ですか?」
万「よ、夜も遅いから泊まっていこうかなぁ~!!」
万(着替えも何も持ってきてないや。いいや、あとで瞬間移動で取りに行こう)
ちなみに……
2人ともおしゃべりしたりゲームしたりマンガ読んだりしただけで、何もなかった。
ち「本当に何もなかったですよ?」
万「ウン、ナニモナカッター」
ち「まぁ、いっぱいキスしちゃいましたけどね」
万「…………」




