【小菊万の恋愛相談(サイコメトリー先輩編)】
椛「よお、元気そうで何よりだよ」
万「それは、嫌みか……?」
椛「当たり前だろ。俺がお前を優しく励ましてやるわけが無いんだから」
万「俺、どうしたらいいのかな……」
椛「自分の感情に自信が持てないってわけか?」
万「彼女を一目見た時、予知が浮かんだんだ。あの娘と結婚して、超能力とは関係なしに仕事をして、平和に暮らしている風景……。そんなもの、本当にあるのかな……?」
椛「それはお前の努力次第だろ」
万「果たしてそうなのかな。今まで俺の予知は外れたことがない。だから、どうあがいてもあの未来は訪れてしまう。あの娘の意思とは関係なしに」
万「小桜さんが俺を好きだと言ってくれるのは、俺の超能力が原因じゃないとは言いきれないだろ?」
万「バケモノが、あの娘の隣にいる資格があるのかなぁ……」
椛「お前、何か勘違いしてないか?」
万「…………?」
椛「お前が見ただけの未来は信じられるのに、ずっとそばにいてくれた小桜は信用できないのか?」
万「違う。そうじゃない!! ただ、何を信じればいいのか分からないんだ」
万「ずっとそうだった。俺は今だって、この世界が偽物なんじゃないかって信じられない。きっと誰かが見ている夢で、俺たち超能力者なんて実は居なくて……」
椛「お前ら2人して面倒な性格してんなぁ……」
万「たとえば、小桜ちよなんて人間は居なくて、俺が勝手に生み出した幻想かもしれない。見えてる未来も全部俺が都合のいいように造り上げたかもしれない。俺は俺を信用できないから、そうやって無意識に信用できる誰かを作り出したのかもしれない。そう思ったら、怖くて……」
椛「だから、逃げるように椿先輩の身長を伸ばしたのか?」
椛「自分の好みから外れてもらって、余計なことを考えなくて済むように。そうやって、特別な感情を捨てていくのか?」
万「あの人は、憧れだ。でも、俺にあの人は必要ないし、あの人に俺は必要ない」
椛「なら、小桜は特別か?」
万「……分からない」
椛「結局のところお前は、予知に振り回されてるんだよ。未来を見たからこうしなきゃいけない。絶対にこうなる。けど、未来も自分のことも信用していないから猜疑心が生まれる」
椛「別にお前が誰も信じないのは自由だけどよ、俺たちの信用ぐらい受け止めろよ」
万「受け止めてるつもりだよ……」
椛「だったら、今、俺がどんな顔をして、小桜が何を思ってるのか。分かるのか?」
万「椛は……怒ってる? 小桜さんは泣いてるんだろうなぁ」
万「妹を泣かせるなんてお兄ちゃん失格だな」
椛「その予防線張るのやめろよ。深く踏み込まないように、小桜の意思を崩さないようにっていう要らない配慮か? そんなことしてるから、お前は人を信じられないんだよ」
椛「それにお前は全然わかってねぇ!!」
椛「俺は怒ってなんかない。むしろ、悲しんでるよ。大切な親友を助けてやれないことを悲しんでる。それで、小桜は、めちゃくちゃ楽しんでた」
万「え……?」
椛「確かに悩んでたし、表情は重いよ。でもな、お前の話をするたびに、すげぇ嬉しそうにして、お前のことを好きでいるのが楽しくてたまらないって顔してた」
椛「小桜の目を見てみろ。千里眼なんかじゃなくて、目の前に立って、ちゃんと見てみろ」
椛「お前がいかに見えていなかったか、分かるだろうからさ」
万「けど、俺の超能力で洗脳してるかもしれないって疑念が無くなるかは分からないよ……?」
椛「その上でアイツを信用できなかったら、一緒に嘘ついてやるよ」




