【私と誘拐犯】
葵「ん、もうすっかり日が暮れたな」
万「本当だ。まぁ、考えてみれば、博物館に行って遊園地に行って、学校に戻ってからも資料集めやらなんやらで大変だったからね。そろそろ帰るんでしょ? 小桜さん、送って行くよ」
葵「悪いな、遠足だけじゃなく、文化祭の事前準備なんかも前倒しで進めておきたいんだ」
ち「そんなにたくさん仕事があるんですか? 手伝いますよ〜」
葵「いや、1年生に気負わせるほど落ちぶれちゃ居ない。コイツだけ置いていってくれればいい」
万「それだと小桜さんが部長みたいな言い草だから。部長は俺だから」
万「まぁいいや。とりあえず、小桜さんを家まで送るから、待ってて」
ち「いや、大丈夫ですよ。そこまで遠くないですし、街灯もたくさんありますから」
葵「しかし、最近女児誘拐事件が話題になっているだろう。大丈夫か?」
ち「私、女児じゃないんで。高校生なんで‼︎」
万「でも見た目は……」
ち「大丈夫ですって‼︎ いつまでも子供扱いしないでくださいよ」
葵「子供扱いじゃなくて、ただの心配だよ」
ち「先輩たちはだいぶ過保護ですね……。でも子供じゃないんで、いざとなったら逃げられますよ」
ち「それに、もし何かあっても、先輩が守ってくれるって約束しましたもんね」
万「俺としては、その何かが無い方がいいんだけど……」
そんなこんなで、1人での帰り道
ち(駅前は交番もあるし、人通りも多いから大丈夫でしょ)
ち(けど、出歩いてる警官が多いなぁ。確か、3人誘拐されてて、1人も見つかってないんだっけ)
ち「ちょっと暗いけど、もう少しで家だから大丈夫」
トントン
警「ちょっとごめんね、こんな時間まで何してるのかな?」
ち「きゃッ‼︎」
ち「あ、お巡りさん……?」
警「驚かせてごめんね。今、怖い人が居るから、あまり夜遅くまで出歩くのは感心しないな。おうちは近いの?」
ち「あ、すぐそこです。あと、一応、高校生です……」学生証ミセー
警「ああ、本当だ。けど、念のため、お家まで送らせてもらっていいかな?」
ち「いや、えーと、本当にすぐそこなんで大丈夫です……」
警「あはは。僕もいつもなら注意だけなんだけどね。状況が状況だから、少し不安なんだよ」
ち「じゃ、じゃあ、お願いします」
警「うん、向こうの車に乗ろうか……」ニヤリ
車で数分
ち「あそこの家です」
警「そっか……」
ブォーン‼︎
ち「えと、通り過ぎちゃったんですけど……?」
誘「残念だけど、警察じゃ無いよ。君は僕の家で、僕と結婚式をあげるのさ。もう二度とおうちに帰れないよ」
ち「え……」
ち(シートベルトに細工がしてある⁉︎ 身動きが取れない……)
誘「やっと合法ロリを見つけた‼︎ こんなに可愛い娘、絶対に逃がさないよ〜」
ち(どうしよう‼︎ 怖い‼︎ 先輩、助けて……)
誘「暴れられると面倒だから、少し寝ててもらおうかな」
シュッ
ち(何かのスプレー? あ、なんだか、急に眠く……)
万「ん? 小桜さんから助けを求める声……? 葵、ちょっとごめん」
葵「ああ、大丈夫だ。クソ、やっぱり無理にでも送って帰らせるべきだったか」
ガシャン
誘「なんだ、急に車が動かなくなった⁉︎」
万「後ろに眠ってるのは、小桜さんだな。お前、誰だ?」
誘「ボンネットに高校生? いつの間に」
万「質問に答えろ。けど、嘘は吐くなよ」
誘「僕は、この娘の親戚だよ。ちょっと疲れて眠ってるだけさ」
万「なんだ、そうだったのか。早とちりをしてしまったよ」
万「……なんて言うとでも思ったか? 言ったはずだ、嘘は吐くなと」
ボキッ
誘「ああ‼︎ う、腕が〜……。骨が折れた⁉︎」
万「お前が話題になってる、女児連続誘拐犯だな? 他の娘はどこだ」
誘「し、知らない‼︎ 本当なんだ。俺は、ただドサクサに紛れただけなんだよ」
万「それは本当のようだな。なら、お前は犯人を知っているか?」
誘「し、知ってる。同じ工場で働いてる女だ。場所までは知らないが、自慢げに話してたんだ‼︎」
万「ああ、そっちは愛と椛が捕まえてくれたみたいだな。なら、お前に価値はない。死ね」
ち「先輩、助けて……」
万「……⁉︎ 単なる寝言か。はぁ、興が冷めた。殺しはしない」
万「けど、二度と邪な感情を抱けないように、呪いをかける。これは、俺の大切な人を傷つけた罰だ。深く心に刻め」
ち「先輩、そんな無茶しちゃダメですよ」むにゃむにゃ
万「はぁ、やっぱり心配だ。もう二度と怖い思いはさせないから……」
次の日の朝
ち「あれ、私どうやって帰ったんだっけ?」
母「ちよ〜。そろそろ準備しないと学校遅刻するわよ」




