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神の箱庭 〜Magic World〜  作者: 杯東響時
第八幕「ありがとうとさようなら」
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「act19 白と黒の悪魔嬢」

 暗い。暗い。ここは先が暗い空間。だから老いない。だから死なない。だから未来を消費しない。


 だが過去はどうしても遠ざかるもの。先に進んでいないからと言って過去もそこに留まってくれているわけではない。時々振り返ってみなければ、自分の原点すら忘れてしまうことだってあるのだ。


「————ア、ソロソロ行こうよ。もうアト二か月くらいジャなかったっけ? ココからデキルダケ魔力消費を抑えナガラ向かうとスレバ、大体一ヶ月はかかるよね」

「あぁ、そうだ。オレも久々に外の空気が吸いてぇよ」

「フフッ、先に出ててもヨカッタのに」

「ばっか、それだと嬢ちゃんが壊れちまってただろーが」

「コノ先の未来では、ソノ方が幸せダッタかもしれナイけどね」 


 そう白と黒の悪魔嬢が言うと、現熾天使長は再びバカと言って頭をわしゃわしゃと力強く撫でる。悪魔嬢は未だに子供扱いをされているのが気に入らないようで、頭の上に乗っている手を払いのけた。


「んもー、コドモ扱いとかシナイでくださいー。アタシ達もそろそろ王都に合流シテタナトスを討ち滅ぼしマショウ」

「オレと嬢ちゃん、それにガイナ達もいれば勝てるはずだぜ」

「アタシ達のハコニワはカレの記録によると、多分歴代で最高の戦力がソロッテいるとされてイマス。『コレならばラグナレクも今までより良い結果にナルことが推測デキル』」

「悪魔の記録、つぅか意識が溢れてるぞ」


 っとイケナイ、と舌をぺろりと出して頭に手を当ててドジっ子アピール。悪魔嬢は力をつけて今までには無かった余裕を身につけることができた。これが自分の中では一番の収穫だと思っている節がある。


「でも、アァ。やっと、ガイナちゃんと一緒に肩を並べて戦エル。もう力不足でみんなの足を引っ張るナンテこモない」

「……ばかか、最初から足手まといだなんて思っちゃいなかったぜ」

「————。そう、言ってくれると思ってナカッタ。ありがとう、ゴザイマス。あぁ、そういえバ、エドガーさんの戦う理由、聞いたことなかったカラ気になるなー」

「オレは……、ただ強い奴と戦いたいだけだ。戦って戦って、そして自分を更に上のステージへと昇華させることこそ目的。他の奴らみてぇに高尚な目的なんてないただの戦闘狂だ」

「じゃあ自分の欲望のタメニ戦ってるんダね」


 そう言われると良くないことのように聞こえてくるが、そんなこと、男は百も承知だった。それでも改めて口にすればなんと自己中心的なんだろうと思えてくる。


 それでも、


「じゃあアタシと一緒だね」


 その一言はその男の気をどれだけ楽にしたことか。世間体なんて気にしたことはないと思ってきたが、存外まだ恥が残っていたらしいことを知る。


「あぁ、一緒だ」

「あ、ソコ。恋愛フラグが立ったトカ思ってマせん? だとしたら大間違いの勘違いでス。アタシの本命はいつでもガイナちゃんですよ」

「だから、たまにやってるけど誰と話してるんだ……」

「失礼、高次元の存在ト繋がってしまってルカラ、少し境界が曖昧ナンです」

「そ、そんなもんか。じゃあここから出るぞ。出口は王様に教えてもらった通りだ」

「えぇ、行きマしょう」


 ——待っててね、ガイナちゃん。


 白と黒の悪魔嬢は、自らの欲望を満たすために再び世界と向き合う。これが世界にとって有益な力か否か、それはまだ答えが出る時ではない。


 



















 世界にとって有益か? 否、否否否否! そんなこと知ったことではない。


 悪魔嬢は舌をぺろりと出し、唇を舐めた。


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