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神の箱庭 〜Magic World〜  作者: 杯東響時
第八幕「ありがとうとさようなら」
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「act08 仮面舞踏会」

 そして最終日、四人は夜の浜辺で澄んだ星空を眺めていた。それぞれ久しぶりに対面してかなり成長していることは感じ取れる。だがその成長以上に久しぶりに顔を見れた嬉しさが勝ったのかガイナとガブリエラなんか会った瞬間に抱き合ってしまった。キールもどさくさに紛れて抱き合おうとしたがそれだけは二人から拒否される。それを見ていたウリエルは笑い、アイカは自身のご主人様を慰めた。


 とりあえず空気を読んでか男二人は退散、この場に残っているのはガイナとガブリエラのみとなった。


「……なんか気を使わせちゃったわね」

「……ん、そーだな」


 何から話そうか。なにせ一ヶ月振りに会うのだから話すことは沢山ありそうなものだがいざ会ってみると何も出てこない。いや多すぎて何から話していいのかわからないと言った方が正しいのか。


「星がキレイね」


 沈黙を破ったのはガブリエラ。その青い瞳は蒼くなっておりせっかく近づけたかなと思っていたら結局今までより少しだけ遠いところにいるような感覚だ。


「あぁ、おまけに月も綺麗に見えるときた。今夜は最高の夜になるな」

「……アナタ、ソレ他の人に言ってたりしないわよね?」

「え、月が綺麗だって言ったのは……、確か他はツヴァイスだったかな」

「………………はあ」

「なんでため息をついたのさ!?」

「まあ、いいけれどー」


 なにか悪いことでも言っただろうか。今度誰かに聞いてみよう。


 って違う。それなら自分だってツッコミたいことくらいあるってものだ。


「アナタ、じゃあないだろう? マイ、ハニー」

「…………………………きも」


 撃沈。キールに教えてもらった口説き方では少なくともガブリエラは落とせないことが判明した。これも学びである。


 ……本当にそうかね?


「フフッ、ヘンなガイナ」

「マリンこそなんか雰囲気変わったよな」

「それを言うならガイナだって、なんかわからないケド神気を感じるわよ」

「え、なにそれ知らん」


 そんなこと言われても心当たりがない。


 ——とキミは思い込んでいるんだろうねぇ。ボクがいること、まだ気付かないとか割と鈍感なのでは?


「……ツヴァイス大丈夫かな」

「エドガーが付いてるならダイジョウブよ。んもー、そ・れ・よ・り。早くヘヤに戻ってユックリしよ」

「え、なんかキャラ変わってない?」

「む」


 少し冷静になったのか真っ赤に染まった顔を手で覆い隠している。ガブリエルと混じったことによる影響が出てたりするのだろうか。


「まあでも確かにお互いに変わったかもね」

「生きてるってことは変わることの連続だって昔親父が言ってた。変わることができるのが生命のすばらしさだって」

「アノヒトただの世捨て人ではなかったのね」

「そう言われてるけどそんなことはないとも力説してたな」

「意外とそういうとこ気にしてたのね……」


 二人で話しているとふと変な魔力反応が近くにあることに気付く。ガブリエラも同じようで周囲を警戒するがその答えは向こうからやってきた。


「なんだウリエルか」

「二人っきりでらんでぶーもいいがそろそろ宿に戻っておけよ。なに、オレは気の利く兄でな。二人とも一緒の部屋にしてあるから早めに戻っていちゃこらしてくれ」

「は、はぁ!? そそそそそんなことしないんですけどぉぉぉ?」

「え、しないの?」

「こういう時に純粋キャラを出してくるなハずかしいカラっ!」

「はっは、ガブリエルが漏れてるぞ我が妹よ」


 ーー良い雰囲気を出してた二人だったが兄参上。兄としては妹が幸せそうでなによりだが目の前でイチャコラされるのは非常にムズかゆい。


 しかしイチャコラされるのがキツイから早めに帰したとかではない。《《明日は早いからなんて理由でもない》》。


 ではなにか。


 浜辺にいたウリエルは街の外へと歩く。


 少しでも遠くへ。


 彼らを巻き込まないように。これは自分の戦いなのだから。


「よォ、こンなとこでなァにしてンだァ?」

「キミか。さっきからこちらの様子を窺っていたのは」


 空間を裂いて現れたのは黒髪に血を連想させる程に赤い瞳、長身とは言えないが小さいとも言えず恐ろしいまでに覚悟を固めた顔をしている、そんな人。


 腰の剣に手をかける。この男は自分と戦うためにここにきた。そして自分もそれを是とする。むしろ自分はこの時のためにこの世界に生を受けたのだと思っているくらいだった。


「ヤることはわかってンだろォけどよ、その前に確認したいことがいくつかある」

「今から殺される相手に質問とは悠長なことだ」

「テメェがユゥサー・ブリテンウィッカで間違いはねェンだな」

「既にわかっているはずだ。このオレでさえ殺人衝動を抑えるのが精一杯なくらいだ」

「ハッ、わかっちゃいるがもし万が一にでも別人だった時に無駄骨折ったってンじゃ話にならねェ。実際一回あった」


 一瞬の沈黙。あまりに間抜けすぎて言葉も出なかったがまあそれは置いといて。

 次の質問を促してそれを聞いた時、予想外の質問が飛んできて一瞬どころの沈黙ではなくなってしまったのだ。


「ガブリエラの脇腹の痣、ありゃあいつからあったもンだ?」


 ガブリエラ、正しくはマリン・ブリテンウィッカの左脇腹には物心ついた頃にはあったとい火傷のような痣がある。その原因は火傷などではないことは確実だが本当の原因をガブリエラもウリエルも両親も、誰も知らないのだ。


「知らないな。少なくとも十年以上前にはあったが、それが何か?」

「……いや、いい」

「もう言葉はいらんのか」

「あァ、これで心置きなく殺せるってもンだ」


 もう殺せる気でいるのは若さ故の見当違いか、経験故の確信か。なんにせよあちらの方が場数をこなしているのは間違いなさそうである。


 そう、こちらからも聞いておかなければならないことがあった。


「キミ、名前は?」

「ウリア・マスカレイド」

「《《違うぞ、転移者。キミ本来の名前を聞かせろと言っている》》」

「…………あァ、そォかい。なら教えてやるよ」


 深呼吸で一拍置いて。


「オレの名前は盾城要(たてじょうかなめ)。《《一度死に、そしてあらゆる並行世界を渡り自分殺しをすることで神殺しを成そうとしている男だ》》」


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