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神の箱庭 〜Magic World〜  作者: 杯東響時
第七幕「神殺しを為す者達」
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「act12 次へ」

 ガブリエラが暴走した日以降も同じようにガイナ、キール、蜃気楼のいずれかが死ぬまで(といっても蜃気楼が消えることはなく実際にはガイナ達ばかりやられていたが)ひたすらに組手。一週間くらい経って痺れを切らしたウリエルが組手の後にしっかりと指導をしてくれた。やけに教えるのが上手いと思って聞いてみれば熾天使いになる前は少しだけだが非常勤講師として魔法学校で教鞭をとっていたらしい。そのおかげか二人はみるみるうちに魔法の使い方を上達してきていた。


 一方、ガブリエラは出力を抑えながら火を扱う訓練。二日に一回くらい暴走をしていたがいずれもウリエルが瞬時に抑えて事なきを得た。ガブリエラも止めてくれる存在がいる安心感からか制御方法に冒険ができて思ったより早めに炎を扱うことができそうだった。あの時にできなかったことができてウリエルも満足げな表情でまたガブリエラを抑えている。


 そして修行を始めて一ヶ月経って——


「ふん、よし基礎はそれなりに全員できあがったな。オレとしてはもう少し時間をかけたかったが仕方あるまい」

「よ、ようやく基礎か……。思ったより時間がかかっちまったな」


「でも修業期間は一ヶ月って言ってたような? これからどうするんだ」

「ワタシ、嫌な予感するの……」

「嫌な予感? ふん、それこそ勘違いというものだよ我が妹よ! この国での修業期間が一ヶ月という想定で次の一ヶ月で実践的な修行に入る」


 ふふふ、と自慢げに鼻をふんすさせながら腰に手をやり胸を張る。


「季節も季節故明日から海の街アトランティスに向かう! 俗に言う合宿であるッ!!」

「海の街……!」

「アトランティスですってぇ!?」

「う……み、ってなんだ?」


 ずこー、とでも聞こえてきそうなほどに砂埃を巻き上げさせて転ぶ三人。思えばガイナはずうっーと山暮らしで近場の水場など川しか無かったのだから知らなくてもおかしくはないかもしれない。この調子だと七割が水で構成されているという事実すら知らなそうである。


「まあともかく行けばわかる。海を初めて見た時の感動はすごいぞ」

「へえ、それは楽しみだ」

「それはいいのだけれど遊びに行くわけじゃないのよね?」

「勿論修行のためだ。それぞれの良さをぐうんっと伸ばし弱点を克服させ対厄災獣戦用の主戦力として育て上げることが最終目標である。強い魔法使い、戦士は数多くいれどキミ達ほどの伸びしろを持つ人間はそうはおるまい。我が妹も含めキミ達こそが人類の希望たり得るとオレは思っている」


 この三人はまだまだ未熟だ。ガブリエラはともかく、他の二人は少し優秀なだけで今まで普通の人間として生活をしてきている。境遇が特殊なだけの一般人。それを戦いの場にあげるというのは少しだけ罪悪感があった。否定はできない。何で自分達から普通の生活を取り上げたのか。何故勝手に希望を背負わせるのかと恨まれても仕方がない。だからこそ、罪滅ぼしとして自分が面倒を見る、なんとしてでも生きろ、と言って聞かせる。


 ……違うな。それすらも甘えだ。自分がカレラから普通を取り上げて、かつ命まで失うことになれば必ず後悔するという自分勝手な考え。


 だから頼む。


 キミ達だけは最後の瞬間まで生き残ってくれ。


 かくして彼らは海の街アトランティスへと向かうこととなった。シューメンヘル王国からおよそ三日ほど南へ。そこで彼らは想像を絶する試練に立ち向かうこととなる——








「行くのだな、ウリエルよ」

「はい」

「……今までこの老人に仕えてくれてありがとう」

「ありがたき幸せ。そのお言葉だけでオレはここで務めた甲斐があったというものです」

「お主のことは忘れん」

「オレもです。人類の救済を成そうとするお方に仕え、人類の希望を育てることができたのです。思い残すことなど、ありはしません」

「そうであればよいが」

「オレh……。デハ行ってマイります」

「ああ」

 ……。

 ……。

 ……。

 ……。

「「さようなら」」


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