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神の箱庭 〜Magic World〜  作者: 杯東響時
第六幕「人類史誕生」
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「actEND 仇」

シンプルに予約投稿したと思ってたらしてませんでしたすみませんでしたァ!

「コイツの義手も完成したところでそろそろ行くか」

「行くってどこに?」


 少年は金色の瞳をウリアの方へと向け、口いっぱいのオレンジを飲み込み疑問を口にする。


 小屋の隅では顔を歪めながら両手足の調子を確かめる老人がいてウリアはそちらに見向きもしていないで小屋の扉を開ける。山のかなり高いところに建っているのか空気は薄く正直快適な空間とは言い難いところではあったが、場所が場所なので誰からも見つかりにくいという利点があった。


「お前は強ェが厄災獣に対抗するにはやっぱりまだまだ弱すぎる。っつゥことでだ、これから力をつけに行ってもらう」


 ン、と言って差し出してきた手に掴まると瞬きした時にはもう見知らぬ地へと降り立っていた。


 未だに原理はわかっていないがおそらく先生から話に聞いていた虚数空間というものを利用しているのだろう。


 っと、そんなことに気を取られていて気付いていなかったがよく見れば前方しっかり目視できるギリギリの距離のところに何か黒い生き物のようなものが見えた。黒いモヤのようなものに身体を覆われていて輪郭がはっきりとしていないが、確実にわかることがある。


 それはアレがかなりヤバイ存在だということだ。この地に降り立ってから肌がピリピリと痺れるようなプレッシャーを感じていたが、アレを視認した瞬間にその原因はコレだとはっきりわかってしまった。できることならば今すぐにでも逃げ出してしまいたいような状況でふと周りを見渡すと、そこには焼け焦げたような動物の死体がいくつかあったのだ。この焼け具合は、見覚えがあった。


「忘れもしないぞ……」


 数週間前に起きた周辺の村の焼失事件。


 考えるよりも先に身体が動いていた。あちらもそれに気付いたようで威嚇のつもりか咆哮をするがそんなことは関係ないとばかりに下顎から全身の魔力を拳に乗せて殴り上げる。


「村の人たちを、ゼタちゃんを殺したのか! お前がぁぁぁぁぁぁッ!!」


 熾天使いの素質のある少年は本能でソレが魔力の塊であると理解する。ならば、と舌なめずり。


「ぼくの足元にひざまずけ!」


 少年の得意魔法である魔力操作。自身よりも魔力の低いモノを自在に操れるという使用者の魔力量がダイレクトに関係してくる魔法を惜しげもなく叩きつける。生憎まともに使える魔法が他にないので倒すまでには至れない。これが彼の弱点でもあり、厄災獣を倒せないと主張するウリアの心配するところであった。


「ソレは厄災獣の子。お前には各地に存在するソレを倒していってほしい」

「……それは人助けのため?」

「回りまわればそこに繋がるな。第一の目的はお前の強化だ」

「強化。つまりコレを倒して実践の経験値を重ねろってことかな」

「ちげェな。お前はコイツらの魔力を喰らえ」

「魔力を喰らう、ってそんなことできるの?」


「オレは少なくともその光景を見たことがあるから可能なはずだ。ソレを喰えばソイツが使ってた魔法が使えるようになる。文字通り即戦力の出来上がりっつゥ寸法だ。お前なら他の子も集中して魔力を探せば見つけられるはずだ。今のところ、五はいるはずだからソッチは任せたぜ」

「任せたってことはお兄さんは別のとこにいくんだよね」

「……そォだな。今まで何回もしてきたことを今回もただしてくるだけだ」


 じゃあな、と手を振ってまた瞬きの間に消えたウリアが再び現れたのはシューメンヘル王国周辺の平原であった。


 深く、呼吸。一、二、三。


「さァてと。毎度気が引けるがテメェの命も背負ってやるよ。ウリエル」


 悲しみ、後悔なんて感情はとうの昔に捨てている。今更辛いことなど何もないが……。


「……あァ。アイツの兄を殺すってェのは、本当に――」


 呟いた独り言は空へと溶けて無くなる。



 これから彼らはこの世界の真実の一端を知ることとなる――

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