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神の箱庭 〜Magic World〜  作者: 杯東響時
第六幕「人類史誕生」
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「act09 この先に待つもの」

「ここからはずっとまっすぐ行けば外に出られる」

「あら、外まで案内してもらえるものだと思っていたけれど」

「生憎おそらくそろそろ彼女が悲鳴を上げている頃だろうから戻らねばならない」

「夫婦共々仲がよろしいようでよかったわねぇ」

「出れるのはいいんだがこの後どうするか」


 当然の疑問を口にしたのはガイナ。今まで行先は成り行きのような形で決まっていたが今は目的がない。ガブリエラもそれを持っていないのかなんとなく唸ってみる。ガイナの場合、それだけではなく置いてきてしまっている二人、ミハエルとツヴァイスのことも含めてどうするのかということを聞いているのだ。


 口にしたガイナにやれやれとため息を吐きながら愚問、と強く押した。


「自分のことより先に人の心配とは。君はそこまで全てを拾い上げられるほど強いのか?」


 言葉に詰まる。言う通り彼らの心配をしたところで自分にできることは何もないかもしれないがなんというか、こう、そういうもので割り切れる問題でもないと思う。


 納得しきれていないガイナを見てアレイスターは一言。


「子供め」

「なっ……」

「君は何のためにこの旅をしている? 父親に言われたからか。それともそこの女に言われたからか」


 なんのため……。確かに親父に言われたのが始まりの旅だったがその奥には――


「俺は世界を知りたい。俺はこの世界に生きているにはモノを知らなさすぎる」

「君は?」


 ワタシも? みたいな嫌な顔をするガブリエラは表情を作り直してしっかり前を見据え、


「ワタシの生きているこの世界を守るため」

「ならば大人として助言くらいはしてやろう。シューメンヘル王国に行け。そこに君達を待つ者がいる」


 シューメンヘル王国、この世界で唯一国という形をとっている大きなところだ。その存在は山籠もりだったガイナでも知っていて、いずれ行ってみたいと思っていたところである。聞いたガイナは顔を輝かせるが対照的にガブリエラは眉間に皺を寄せていた。


 何故そういう反応をしたのか説明は結局なく、渋々受け入れる形でアレイスターと別れることとなった。結局洞窟から出るまでガブリエラが言葉を発することは一回も無かった。


 洞窟を出た後アンナはリヒートが自分で戻ってくるまで村で待つことにすると言って、それにと加え、バツが悪そうにそれにお母さんにも謝らないといけないから、とだけ告げると少し早足に帰っていった。


 その後ろ姿が見えなくなるまで見送った少年少女は言葉も交わさずにとぼとぼと歩き出す。シューメンヘル王国の場所をガイナは知らないのでそれを察してかガブリエラが早歩きで先行する。


「……生きててよかったな」

「えぇ、本当に」

「……えっと、アレイスターはなんの研究してるのかな?」

「知らないわ」

「…………」

「………………」


 会話が続かない。ガブリエラが言葉を紡がないことによって元々饒舌ではないガイナは会話の始まりをかなりガブリエラに依存していたことを認識させられて少し反省。必死に頭を回転させて話題を捻出。出てきた言葉は、


「シューメンヘル王国に何があるんだ?」


 地雷を踏み抜いていた。


 大きく大きくため息をついて頬をバチンッと叩く。その歩みは止めずにガイナの方を振り向きもしないため表情は窺えないが、その足取りから彼女にとって決して嬉しいものがあるというわけではなさそうである。


「……シューメンヘル王国がどういうところかは知ってるかしら」

「んっと、世界一魔法が盛んな都市ってのは親父から聞いたことあるけど」

「ん、正解よ。じゃあもっと細かく。その国は魔法協会にとっても重要度の高いところらしくって管理護衛のために魔法協会設立以降必ず一人、熾天使いが派遣されているの」


 熾天使いっていうのはすごい魔法使いでそれが常駐しなければならないくらいすごいところなのかと感心している一方、ある一つの可能性がガイナの頭の中で過る。


 それは彼の知識不足故に他の候補が思いつかなかっただけのことだがその予感は的中していた。ガイナの知っている熾天使いは今のところ三人。ミハエル、ガブリエラ、そしてもう一人は――


「まさか――」

「そのまさか。ユゥサー・ウリエル、『神の炎(ウリエル)』の名を冠する熾天使いでありワタシの、兄よ」

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