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神の箱庭 〜Magic World〜  作者: 杯東響時
第二幕「自然調律」
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「act01 邂逅」


「テメェら、何をしてやがる!」

 ガブリエラが聞いたのはガイナの怒声。着いてみれば血を出して倒れている街人と、明らかに雰囲気の違う殺気を纏う男十人。その周りを囲うように町の人が複数人と、それより一歩前に出たところにガイナの姿。

「なに、ってぇよお。見ての通り金を渡せという要求をのまなかった町長を斬りつけてやったとこだが?」

 恐ろしいほどの説明口調で男はそう言ったが、ガイナはそんな言葉は聞いておらず既に十人全てを斬伏せる為のルートを計算し終えていた。

 魔力の流れを感知。

「だめ!」

 刹那ごふっ、とガイナの口元から鮮血が溢れ、ふらつく。自分に何が起こったのか理解出来ぬまま視界が霞んでいくのを防ぐことはできなかった。

 既のところで倒れるガイナを支えたガブリエラは即座に『氷結治療』を施す。

 対象を全身氷で覆い癒すガブリエラだけのオリジナル魔法。回復には少し時間がかかるものの外からの攻撃にもある程度耐えられる安心設計である。

「ったく、そんな大魔法。アナタ程の適性があってもそれっぽっちの魔力じゃ使えて一日二、三回が限界ね。…………さて」

 用事というのはこれである。この町の周辺に住み着いている盗賊を退治して欲しいという依頼を受けていた。

 どうやらこの男達がその盗賊のようだがタイミングが良いのか悪いのか。

 血を流して倒れている町長にむけ『氷結治療』をかけ一歩前へと出る。

 普通回復魔法といえば直接触れなければ発動しないものだがガブリエラのこれは目視できる位置にいれば即座に発現できるものだから近寄れない場合でも使える。我ながら便利な魔法を編み出したと自画自賛をする。

「嬢ちゃん、魔法使いか?くく、悪いことは言わねぇ。引きな、いくら魔法使いだろうとこの人数を相手に──」

「できるからこうして相対してるのでしょう?三流野郎がいくら束になろうが勝てっこないのだから心配なんて不要よ」

 挑発をして視線を釘付けに。次に大きくアクションを──

 攻撃を始めようとしたところで制するように肩をぽんと叩かれた。こんなに近くまで人が近寄れば人が沢山いれどわかるはずだ。それが感知すらできずに接近させた!?

 ぞわり、と背中を悪寒が走って振り返るとそこには見覚えのある顔があった。

「えど、、、がー?」

「エドガーと呼んだか嬢ちゃん。アンタとはいい友達になれそうだな!」

 そう豪快に笑ったエドガーと呼ばれた赤髪紅眼の長身でガタイのいい男は肩に手を置いたまま盗賊をじっと見つめる。

「アレはオレの獲物だ。何故ならオレの友を傷つけたからなぁ」

 そう言うと静かに拳を構えた。微かにだが魔力の流れを感じる。

 だが素手で相手をする気だろうか? ワタシでもこの人数ならば武器を構えるくらいのことはするが。

「素手でやる気?」

 すると首を横に振り、ニタリと全力の笑顔でこう言った。

「素手以上だ」

 風が騒いだ。と、駆ける。その姿はまさに獲物を狩る獣そのもの。

 あっという間に一人に接近、頭を持つと膝に叩き込み、その一人を盾にもう一人の方へ近付き盾越しに一撃、それだけで二人は意識を失い倒れる。

「まず、二人」

「怯むな! 迎え撃て!」

「遅いッッッ!!」

 固まって立っていた五人の中心に即座に走るとそれだけで男達は地面に伏してしまう。否、それだけではない。見えていなかったが魔法を使用したのだ。あれは確か『風弾烈激(ブラスターウインド)』。下級の地属性魔法で適性があれば誰でも覚えられるようなものだが一撃で意識を奪う程のものではない。単純に練られた魔力が段違いなのだ。

 あと三人、ここまで減ってしまえば後は楽である。一人はエドガーが鳩尾に一撃、一人はガブリエラが氷漬けに、一人は回復を終え氷から解放されたガイナが瞬く間に肩部へと剣を突き立て斬り伏せた。

「ひょっとして用事ってこのことか?」

「ざっつらいっ!そろそろ町長さんも回復終わる頃でしょうし助けついでに宿でも紹介してもらいましょ」

 んで、アナタはどうするの? と振り返った先に居たのはエドガーと呼ばれた男だ。

「いやー、オレは先に宿とってあるから問題はぁねえな。あんたらに着いて行った方が面白そうではあるがな!」

 ガハハ、と先程倒した男達を一つ縄で縛り動けなくしたところでそう言った。

「とりあえずはコイツらを魔法協会に連れていく。支部も町から少し離れたところにあったはずだったな。それからはまだ考えてねぇが、まあもし縁があったらまた会おうや」

 言うだけ言って去ったエドガーを見送りながらガイナは当然誰でも発するであろう言葉を発した。

「あの人誰?」


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