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神の箱庭 〜Magic World〜  作者: 杯東響時
第四幕「熾天使いの苦悩」
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「act07 いざ対面」

 ガブリエラが目を開いて最初に見たのは白い天井で、ふかふかの感触から自分がベッドで寝かされているのだと気づく。傍に人の気配があると思って首を横に傾けるとそこにはガイナ、ツヴァイス、エドガー、そしてウリアがこちらを覗きこんでいた。


「ようやく目を覚ましたか嬢ちゃん」

「ったく心配したぞ。一時間も意識が戻らなかったんだからな」

「だから最初から一時間前後で目を覚ますと言ってンだろォが」

「ガイナちゃんは少し心配しすぎなんだよっ。でも本当によかったですね」


 状況を飲みこめずぼーぅっとしているとウリアがため息をつく。自分で考えてみろ、ということだろうか。そう判断すると記憶をゆっくりと辿っていった。

 ――確か永久氷壁(アイスウォール)に籠って一方的に潰してやろうと思ってたけれどカレはそれを軽々と抜けてきて、切りつけられたと思ったら全身から力が抜けてそれで……、あれ? この感覚どこかで……。


「わかった、媚薬ね!」


 ウリアはさらに大きく深くため息をつき、


「正解はオレが調合した特別な毒、ナイフに塗ってたンだよ。アレに斬られると量にもよるが死ぬこともあるほど強力な毒だ」

「そんな危険なもん使うなよ!」

「この毒のことは調合したオレが一番良く知ってンだ。面倒だから一瞬で気を失う程度の毒に抑えた」


 そんなことはとってもどうでもいい。ガブリエラにとって重要なのはそんなことではないのだ。


「で、試合はどうなったのよ、って聞かなくてもわかるわ」

「当然オレの勝ちで終わった。あァ、それとオレがお前から用件を聞く必要もなくなったみてェだぜ」

「それはどういう意味かしら」

「まンまだ。お前が動けるようになったら城の地下にある大聖堂に二人で来い、ってよォ」

「……それはどういう意味かしら」

「それこそまンまだ。聞きてェことがあンならそン時に聞いとけ」


 一体どういうことなのか、その意図を図りかねるガブリエラ。何か用事がある? 確かに熾天使いへの依頼というのなら話はわかるがウリアまで? いや、ウリアこそ別に不自然ではないのか。何故なら普通に大会で優勝しているのだから褒美をとらすという名目で呼び出すのは何度も言うが不思議ではない。

 なんにせよ、


「そういうことなら善は急げ、さっさと行きましょ」


 と、上半身を起こしてみせたのだが……。


「「「「「あ」」」」」


 その場にいた全員が同時に呟いた。ガブリエラの上半身が何も布を纏っていなかったので当然と言えば当然。それによりその豊満な胸が何の恥じらいもなく顔を出していたのである。

 おそらく治療のために脱がしたのだろうがせめて診療が終わったのなら何か着せてやれよお医者サマよ。


「……あの、そのー、なんだ」

「大丈夫、これは事故。うん、気づかなかったワタシが悪い」

「まあたまにはサービスシーンくらいないとな」

「オイ、誰に言ってやがンだ」

「そんなことより男子諸君ははやく出た出た! レディの裸を見といてそのままとかあり得ないですっ!」


 男衆が部屋から出たのを確認するとガブリエラは周囲を見渡して見つけた自分の服に袖を通して魔力を流す。この服は少し特殊な作りになっていてその素材の九割はガブリエラ自身の魔力で構成されている。気絶したとて魔力供給自体がカットされていなければ大丈夫なのだが魔力の流れを変えられたり、根本的に干渉されたらその服が多分はじけ飛ぶはずだ。

故にヒート戦は少し、訂正かなり焦っていたのであんな無茶をしてまで勝負を決めにいったのだ。別に裸を見られたとしても困るようなことはないが大衆の面前では流石に晒すわけにもいくまいと思っていたのである。


「むっ、それにしてもまた大きくなったかしら。そのうち調整しなきゃ」

「ま、まだ成長しているんですか……」

「あら、羨ましいのかしら。アナタもそこそこ良いモノ持ってるのにね」


 自分の胸を持ち上げて悔しそうに言うツヴァイスにそう言った後、それと、と加えて、


「アノコ、大きな胸好きみたいだからその武器、全力で活用しなさいよね」


 ――なっ……!?


「なにを言ってるんですかガブリエラさん!」


 そんなやりとりがされてる中、別のことを考えていた男がいた。顔を赤くしているガイナ、ではなくウリアだった。別に胸が気になるとか腰回りの肉付きがちょうど良いとかそういうことではない。

 ガブリエラの左横腹に何か痣のようなものが見えたのだ。これが少し彼には引っかかっていた。


「なァ、あのガブリエラの痣は一体なんだ?」


 男二人に聞こうがそんなものがあったかどうかすら見えていなかったようだが答えはすぐに返ってきた。


「コレのことならワタシが物心ついた頃からあったわよ。それがどうかしたの?」


 答えたのは部屋から二人で出てきたガブリエラ。


「そうか。悪かったな、変なこと聞いてよ」


 ウリアはそれだけ言うと思い出に浸る。その時間はとても暖かく優しいものであった。彼にとっては大切な、大切な今は亡きオモイデ。

 が、すぐに現実に戻り、

 ――ンなわけねェ、か。


「さ、行くわよ。それとアナタ達はここでお留守番ね」

「は、なん――」

「二人で来るように、と言われてンだ。それに出場者でもねェお前ら連れてってもしゃあねェだろォが」


 ガイナはしぶしぶ了解して、


「だけど無茶はするなよ」

「無茶ってなによ。変なガイナ」


 じゃ、いってくるわね。と言って二人は城の地下の大聖堂へと向かっていった。

 その後ろ姿を見送ったガイナの肩をポンと叩いたのはエドガー。飯にでもしようぜ、と言ったがこれにもしぶしぶの了解だった彼を見て感心したように、微笑ましい光景でも見てるかのように何度も頷いていた。


「……なんだよ」

「なに嫉妬してる《《若者達》》がいたんですっこし微笑ましくてな。若いっていいな!」

「シット、ってなんだ?」


 がはは、と豪快に笑うエドガーに知らない言葉に戸惑うガイナ、顔を赤にして俯いているツヴァイス。

 他の二人はなんとも思わなかったみたいだが、ガイナだけは城に渦巻く憎悪にも似た何かをなんとなしに感じ取っていた。


「本当に、気をつけろよ」

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