表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よいこのための、さいゆうき  &  西遊記の現代科学  作者: 何十億人か目の西遊記ファン
8/21

蟠桃園の示唆(西遊記第5回から)

「西遊記の現代科学」の続きです。旧自サイト閉鎖に伴ってこちらに移動させる際に、大きく加筆・修正したものです。


旧自サイトでも宣言したように著作権を放棄します。(原作者を騙らない限り)改変・再使用はご自由にどうぞ。


 斉天大聖という名ばかりの官職を貰った悟空は、第5回に書かれてあるように、やがて蟠桃園の管理を任される。猿に桃の管理を任せるのは泥棒に金庫の番をさせるのと同じであり、金の力で議員になった者に税金の管理を任せるのと大差ないが、科学的に問題になるのは、そのような世俗でなく、桃の効用である。桃に3種あって、1つは食べると身が軽くなり、1つは食べると若返りし、1つは食べると殆ど死ななくなる。しかしながら、その桃を食べるのに1つ目は3000年の月日が必要で、2つ目は6000年、3つ目は9000年必要とされている。

 株はそれぞれ1200本しか無い。にもかかわらず、3000年に一度しか実らないもぎ立ての桃を使って蟠桃大会は毎年開かれている。一見矛盾しているように見えるが、これは単位が異なることによる混乱である。3000年とは地上時間換算であり、天上界時間に直すと3000日、6000日、9000日となる。

 一方の蟠桃会の開催は、天上界が定義した1年(より正確には蟠桃会開催の間隔で定義した1年)をさす。単純に1年365日とは限らないし、もしかしたら歳差運動とか惑星直列周期とか、黒点大周期とかの太陽系活動の周期で天上界の1年が定義されている可能性すらある。例えば土星を月と見立てると天上界の1カ月は約29日となるから、1年355日程度という想定もありうる。

 この場合、355日とすると、3000日は8年余りとなる。余りが出るのは植物の定義による「年」の計算ではおかしいから、寧ろ3000という数字が有効数字一桁のの概数であり、実は355日x8=2840日(あるいは365日x8=2920日)ごとに仙桃が実ると考えた方が無難かも知れない。


 さて、ここで得た8年とは「桃栗三年柿八年」の8年であり、柿に相当する。桃ではない。

 このことから、サル・カニ合戦のカニ仙人が育てた、それ故に石猿に食われたのではないか、という指摘がある。しかしながら、恐らくは事実は逆で、蟠桃大会の食い残しの種を、蟠桃大会で酔っぱらった仙人が下界のカニに「これは柿の種だ」と言って渡したのではあるまいか。

 つまりサル・カニ合戦は柿ではなく仙桃の地上での育成を巡る戦いだったというのである。だからこそ、あれほどカニは所有権を主張したのだろう。そもそもカニの体で水やりで出来る筈も無く、カニの主張するところの「ボクが育てた」というのは、ハサミで切るぞと脅した行為のみだ。そんなことに柿は反応しない。が、仙桃なら反応したかもしれないのである。


 一方、もしもサル・カニ合戦が関係しないのであれば、3000年、6000年、9000年という数字の方に意味があると考えるべきだろう。

 実は、これらの年月は、人類がそれらの技術(身が軽くなり、若返りし、と殆ど死ななくなる)を得るのに要した時間に対応する。中国では神農氏の文明が薬を発見した事になっているが、これは周や殷から更に遡り、夏王朝の更に先の王朝であるから、今から4000~5000年程前の話になる。次に、朝鮮人参の若返り効果や、各種の美容成分が発見されたのが今から1000年以上前であり、それらの美容健康食品は実際に宗代で販売されていた。そして、現代ではクローン技術による単一DNAの、少なくとも1回の延命が可能な事が示されている。無限クローン技術と、更には再生技術の発展による事実上の不老長寿も1000年のタイムスケールで見れば不可能ではない。


 これらの考察から、西遊記の桃の記述が医学技術革新のタイムスケールを示していることが推定できる。


written 2009-2-22 (revised 2012-8)

次話は週末にアップできれば、と思っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ