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よいこのための、さいゆうき  &  西遊記の現代科学  作者: 何十億人か目の西遊記ファン
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掌の猿(西遊記第7回から)

「西遊記の現代科学」の続きです。旧自サイト閉鎖に伴ってこちらに移動させる際に、大きく修正したものです。


旧自サイトでも宣言したように著作権を放棄します。(原作者を騙らない限り)改変・再使用はご自由にどうぞ。

 西遊記で最も有名な賭け事は釈迦と悟空の間で取り交わされたものであり、第7回にその詳しい記述がある。そこからお釈迦様の掌で踊るという諺まで生まれたほどだ。奈良の大仏の掌で踊った男の話が今昔物語にあるぐらいだから、西遊記の成立直後から有名な話だったのであろう。

 賭けと云えばいかさまが付き物だ。実際、お釈迦様の掌を悟空が飛び出せないのは物理的に難しい。では、どのようなトリックをお釈迦様は使ったのか? 


1. 幻覚

 まず普通に思いつくのが、悟空に幻覚を起こさせたというものである。第7回で釈迦に会うまで、悟空はインドの人物を知らない。悟空がインドに行くのは第52回が初めてある。

 ということは、賭けを行なった時点では、麻薬効果のあるインド系の植物を悟空は知らない。したがって、麻薬で遠くまで旅行した幻覚を悟空が夢見た可能性がある。幻覚中であるから、夜尿をする事も十分にあり得る。この幻覚性詐欺は現代でも洗脳などで盛んに使われており、警察の自供書も、こういう効果の元に書かれた信憑性の低いものが多い事は周知の事実である。


2. 風洞実験

 実際に掌から出られなかったもう一つの可能性として、風洞を使って悟空に錯覚を起こさせた可能性もある。必要なのは、悟空が飛び出す方向に、光学迷彩型の風洞を準備することだ。

 風洞の中で、ジェットエンジンと同じ原理でキント雲と同じ速度(超音速)の風が吹くようにすれば、少なくとも悟空の体感として対空距離10万8千里は可能だろう。ただしこれは、悟空の飛び出す方向を正確に予想できないと困難ではある。


3. 隠しカメラと動物生態学

 一方、十分に離れた所に、5本の柱を用意して、そこでの様子を隠しカメラでモニターしていたというのも十分にあり得る話だ。して、悟空が戻ってくる前に、投影法で再現させれば良い。いかにキント雲が速くとも電波伝播には敵わない。

 尿の臭いについては、犬を始め多くの動物が尿の臭いを目印として残すことが知られていることから、前もって準備していたと思われる。たとえば、天上界で暴れ飲み食いしているのだから、採集は簡単だ。そもそも、野生の猿の行動予測が可能であることは、高崎山や幸島の猿の研究により、かなり明らかになっているし、悟空の様な単純な者ともなれば、まず間違いなく予想がつくのである。


4. 大円軌道

 以上は仮説としてはありだが、現実に起こったと考えるには少し弱い。そこで最後に、現時点で最も有力な考え方を紹介する。それは悟空が実際に10万里走ったというものだ。これは後述の五行山(両界山)の考察にも合致する。

 キント雲の考察でも書いたが、そのひとっ走りの距離は最適打ち上げ角度で地球の大円軌道を一周ちょっとする程度である。着陸時の空気抵抗と浮力を考えれば、大気圏再突入の際は、かなり斜めであると考えるべきで、悟空がどの方向に飛ぼうとも、真っすぐにほぼ最適角度で飛ぶ限り、お釈迦様の位置に戻って来るのである。

 地球が丸い事はアレクサンドリアの時代から知られている事だから、釈迦が知っていておかしく無い。なにしろ、彼は第7回の記述によれば、インドと中国を往復していたのだ。となれば、始めから釈迦は悟空が戻って来る事を知っていたのであり、一周する間に指の見かけのサイズを変えるのが簡単であろう。

 それどころかキント雲の飛行距離10万8千里を設計する際に地球一周の長さを考えたのかもしれない。ICBMの設計と似たようなものだと考えれば現代でも分かるだろう。


 他にもいくつか説があるであろうが、その考察はプロの奇術師に任せよう。

西遊記は第7回までは科学考察をしたくなる話ばかりですが、このあとは飛び飛びにしか「科学」を想起させる話がありません。なので、実はこのあと、書き上げてアップしていたのは第21回と第28回だけで、残りも良くて一行メモ程度のまま執筆は10年以上止まったままでした。中には何かを書こうと思えない回すらあります。


今回、移転にあたって数回分が書きましたが、それでも飛び飛びになると思います。

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