プロローグ「新たな物語」
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あの日のことは今でも鮮明に覚えている。
昼頃に友達とポテチを食べながらゲームをしていた。
確か二年前に発売された対戦型ゲームで、タイトルは・・・・ごめん忘れたわ。
三時間くらい勝ったり負けたりの攻防戦を繰り広げていた・・・・ような気がする。
まあ大したことはしてなかったし、いつも通りの土日の過ごし方だった。
そう、そうなればどれ程幸せだったか――――――――――。
それは本当に突然のことだった。
周囲が暗転すると、瞬く間に景色が変わり、全く別の場所にいたのだ。
あ、あと友達も一緒だったっけ。
最初は夢でも見ているのだと思っていたのだが、それは紛れもなく現実だった。
風も、大地も、空も、そこに住む不思議な生き物も、全てが存在し肌で感じ取ることが出来る。
信じ難い話だが、どうやら異世界に転移してしまったようだ。
この時は気が狂ったように友達と燥いでいた。
しかし今思えば、この瞬間から地獄のような日々が始まっていたのかもしれない。
魔王による世界存亡の危機。
伝説の武器を手に入れる冒険。
国家間の戦争。
それ以外にもいろいろあったが、正直思い出したくもない。
上げるだけきりがないからだ。
それにどれもいい思い出ではない。
何かある度に誰かが死ぬ。
もうほぼお約束の展開だった。
その死が報われる結果になればいいのだが、果たしてどうなのだろうか――――――――――。
俺や友達以外にも、異世界に転移された人がいた。
その全員が俺と年の変わらない小学生ばかりだった。
そして、そんな彼らの中にも、例外ではなく死んでしまった人も多かった。
帰るべき場所に帰れずに、無惨に命を散らす光景は何度も心を締め付けた。
何かを成すために、誰かが死ぬ。
それを受け入れらなければならないのが、どうにも納得がいかなかった。
寧ろそんな世界、いっそのこと壊れてしまえばいいのに、なんて物騒なことを考えてしまうくらいに――――――――――。
だが、そんな願いが届く訳もなく、世界は救われた。
その世界の住民が救世主様を称え、平和という形も何もないないものに歓喜した。
当の当事者たちは、そんな余韻に浸り、我こそ英雄と高笑いをしていたな。
その内なる心に、失った命に対する慈悲があるかは定かではないが。
俺としては、やっと終わったと思う次第である。
もううんざりしていた。
人が死ぬところなんて見たくない。
なのに現実は、容赦なくそれを見せつけてくる。
帰りたい、帰りたい――――――――――。
情けない話だが、ずっとこのことばかり考えていた。
まあ、帰れたのだが。
俺は長い間悪夢を見ていたのだろう。
そうでなければ、あの時感じた恐怖も本物ということになってしまう。
忘れたい。
ちゃんと現実に戻りたい。
俺はこの六年間ずっとそう願っていた。
それなのに、どうやら現実はそれを許してくれないらしい。
まだ俺にはやることが残っているようだ。
本当にやらないと駄目なのか?
問うが誰も答えてくれるはずもなく、現実の時間は絶えることなく進んでいく。
分かった。やってやるよ・・・・・・ただし、もう誰も死なない方法でな。
こうして異世界に転移し、元の世界に帰還した俺の新たな物語が始まろうとしていた。
いかがだったでしょうか?