ファースト・バレンタイン
バレンタインに書いた季節ものをずっと放置していて発酵してしまったので流しました。チョコ…チョコォ
ほのぼの微笑ましくやりたい方はどうぞ
みこと:♀チョコをあげる方の人
さとる:♂チョコを貰う方の人
舞台:教室内、周りにはバレンタインで浮き足立った生徒達
みこと「ねぇ、さとる君」
さとる「ん?」
みこと「今日って、何の日か知ってる?」
さとる「周りを見れば分かるよ」
みこと「何の日って、聞いてるんだけどなぁ」
さとる「みことさん、分かってるでしょ?」
みこと「うん」
さとる「ならいいじゃん、それで」
みこと「それじゃあよくないの」
さとる「なんで?」
みこと「私にとって、とても大事な日だから」
さとる「そうなんだね」
みこと「反応薄くない?」
さとる「そんなことないと思うよ」
みこと「もしかして、さとる君私に興味無い?」
さとる「うん」
みこと「即答だね」
さとる「だって僕たち、話したことないじゃん」
みこと「さとる君、話しかけないでオーラが凄いんだもん」
さとる「そうかな」
みこと「そうだよ」
さとる「……。」
みこと「……。」
さとる「……バレンタイン」
みこと「えっ?」
さとる「今日、バレンタインでしょ?」
みこと「正解!」
さとる「……だからどうしたの?」
みこと「私、女の子」
さとる「うん、見れば分かるよ」
みこと「バレンタイン、女の子が男の子にチョコをあげる日」
さとる「外国では男性が渡すみたいだけどね」
みこと「日・本・で・は!」
さとる「あ……うん」
みこと「ここまで言えば分かるよね?」
さとる「……ノートの回収に来たの?」
みこと「もしかして、わざと?」
さとる「それ以外に話しかけてきた理由が見当たらない」
みこと「バカだね」
さとる「みことさん、失礼だね」
みこと「さとる君の方が失礼だと思うけどね」
さとる「そうかな」
みこと「そうだよ」
さとる「……。」
みこと「……。」
さとる「もしかして」
みこと「うん」
さとる「ありえない事だけど」
みこと「うんうん」
さとる「僕に渡す物があるの?」
みこと「勿論!」
さとる「今受け取らないと時季外れになっちゃう物?」
みこと「正解!」
さとる「………チョコ?」
みこと「大正解!」
さとる「じゃあいいや、受け取らない」
みこと「えっ……なんで?」
さとる「罰ゲームかなぁって」
みこと「罰ゲーム?」
さとる「じゃんけんで負けた人が嫌いな相手にチョコを渡す的な」
みこと「違うよ?」
さとる「違うの?」
みこと「むしろなんでそう思ったの?」
さとる「僕にチョコをあげる理由として思い浮かぶのがそれしかなったから」
みこと「さとる君ってさ」
さとる「うん」
みこと「結構卑屈だよね」
さとる「そんなことないと思うけど」
みこと「……さっき、言ったよね」
さとる「なにを?」
みこと「私にとって大事な日だって」
さとる「言ったっけ?」
みこと「さとる君ってさ」
さとる「うん」
みこと「やっぱり私に興味無いよね」
さとる「うん」
みこと「傷付くなぁ」
さとる「大事な日と僕にチョコをあげるのに何か関係でもあるの?」
みこと「さとる君ってさ」
さとる「うん」
みこと「もしかして鈍感系主人公目指してる?」
さとる「目指してないよ」
みこと「……じゃあ、分かるでしょ?」
さとる「彼氏が実はカカオアレルギーだったってことをチョコ作った後に知って、残チョコ処理をさせようとしてるの?」
みこと「残チョコ処理……?」
さとる「義理チョコの他人バージョンみたいな?」
みこと「さとる君ってさ」
さとる「うん」
みこと「やっぱりバカだよね」
さとる「やっぱりみことさんって失礼だよね」
みこと「そうかな?」
さとる「そうだよ」
みこと「……。」
さとる「……。」
みこと「………彼氏……居ないもん」
さとる「え?」
みこと「私、彼氏居ないもん」
さとる「そうなんだ」
みこと「やっぱりね」
さとる「やっぱり?」
みこと「そう返すと思ってた」
さとる「そう言われるとなにも言い返せないな」
みこと「なにも言い返せないついでにさ」
さとる「え?」
みこと「これあげるけど、返してこないでね!」
さとる「うわっ!なにして……って、チョコ?うん……やっぱりチョコだ」
みこと「一応言っておくけど残チョコ処理のためじゃないからね」
さとる「……。」
みこと「そうなんだって、そっけなく返してこないの?」
さとる「いや、その、あの、実際にチョコを貰うのは初めてだからどうしていいか分からなくて」
みこと「有り難く受け取っておくべきだと思うよ」
さとる「……そっか」(嬉しそうに)
みこと「ちょっと嬉しそうだね」
さとる「そうかな」(泣きそうになりながら)
みこと「そうだよ…って、どうしたの?」
さとる「嬉しくて……嬉しくてさ……」
みこと「それ、追い討ちをかけるように言うけど本命チョコだからね」
さとる「うん、うん……ありがとう!」(泣きながら嬉しそうに)
みこと「さっきからそっけなく流せてないよ?」
さとる「嬉し過ぎてそれどころじゃない」
みこと「因みにさ、返事は貰えるの?」
さとる「……え、何の?」
みこと「本命……って、意味わかる?
さとる君の事が好きって意味なんだけど、お付き合いしてくれるのかなーって」
さとる「僕で……いいの?」
みこと「さとる君が良いんだよ」
さとる「そっか」
みこと「うん」
さとる「……。」
みこと「……。」
さとる「……じゃあ……その、不束な男ですが、宜しくお願いします」
みこと「こちらこそ、宜しくお願いします」
さとる「変だったかな?」
みこと「ううん、いいと思うよ」
さとる「僕、初めてだったからさ」
みこと「そっか……私もだよ」
さとる「……僕、リア充の仲間入りしたのかぁ」
みこと「私達、かな」
さとる「あ、そうだね」
みこと「じゃあさ、その……初めて記念にチョコ……あーんって、してあげよっか?」
さとる「えっ……」
みこと「嫌……だった?」
さとる「うん」
みこと「即答だね、もしかして誰も居ない所で言えばよかった?」
さとる「違うんだ」
みこと「……なにが違うの?」
さとる「みことさんからのあーんは正直物凄く嬉しいんだけどさ」
みこと「えーっと、堂々と言われると私が照れるんだけど」
さとる「でも……その……」
みこと「……うん」
さとる「実は……」
みこと「実は?」
さとる「僕、カカオアレルギーなんだ」
ご利用ありがとうございました。
こんな青春!あったかなぁぁぁ