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第八話:ダンジョンを探険

 翌朝、ちょっと大きい地震があった。思わず、ベッドの上で立ち上がり、オタオタしてしまった。かなりの揺れだったぞ。地震なんて、珍しいなあ。さて、意気揚々と、レオンさんに指定された山の洞窟に行くと、入口近くに四人の男たちがいる。あたしを見て、「お前は何だ」と聞かれたんで、「冒険者だ」と答えたら、「噓つけ、このガキ!」とゲラゲラ笑いやがった。バカにしやがって。「一人で行動してんのか」って聞かれたから、「ヒーローは一人で戦うもんよ!」と見栄を切ると、「ガキが何カッコつけてんだ!」とまた笑われる。チキショー! けど多勢に無勢だ、我慢する。

 

 しかし、こいつらもこの洞窟の探索を依頼されているようだ。とにかく、「あたしは、正式に冒険者ギルドから依頼されたんだ」と主張するも、「俺たちもだぞ」と返事があった。うーん、依頼が重なっているぞ。冒険者ギルドのミスかと思ったら、洞窟に少し入ると、左右に入り口がある。右は普通の大きさだが、左の小さい穴は、大人は入れないんじゃないかってくらい狭い。どっちに入ればいいんだろう?


 あたしをバカにした連中は、さっさと右の穴に入って行った。あんな連中と一緒に行動したくないとムカついてたんで、左のちっこい穴に入る。携帯ランプを点けると、割とまっすぐな洞窟で、そろりそろりと入っていくと、さっそくモンスターが襲ってきた。けど、最弱スライムだ。あっさりと剣で倒して、進んで行くと、どんどん斜めに下りていく。けど、ほとんどまっすぐで、なだらかな坂道状態。だいたい、洞窟にしては、なんだか壁とか新しくないかな。洞窟といえば鍾乳石とかあったり、苔とか生えていたり、地下水が流れていたりと、もっと湿っぽいはずなんだが、そんなものは全然ない。ただ、岩の壁が続くだけ。さらに下りていくが、全然、モンスターどころか、コウモリとか普通の生き物さえ出てこない。だいぶ深く下りたなあ。しかし、そのまま、ずうっとまっすぐで、正直、おもろーないぞ。ダンジョンだったら、いろんなモンスターが出たり、迷路みたいになったりするもんじゃないのかと思ったら、行き止まりになり、洞窟の最奥は少し広い空間だった。


 あれ、上を向くと、天井に穴が空いているぞ。遥か上の方から陽の光が小さく見える。足元を見ると、なんか白い物がいっぱいあるなあと、携帯ランプでよく照らしてみると、人間の骨だ。「うわ!」っと思わず、びっくりして、どうやら凶暴なモンスターがいるのかと思い、そこら中照らすが、生き物がいる気配がない。どうなってんの? よく見ると、この頭の骨もなんだか小さいな。


 その空間をウロウロしているうちに、何かに引っかかって、すッ転んだら、土に少し埋もれている宝箱を見つけた。例の針金をポケットから取り出して、クリスが教えてくれたように鍵を開けようと、三十分ほどガチャガチャ奮闘して、やっと開けたら、中に金貨が一枚入ってた。「やったー!」と思ったら、この宝箱、蝶番の方が壊れてるじゃん。別に鍵を開けなくても、中身は取れたわけだ。だいたい、この宝箱、安っぽいぞ。あたしの手のひらの半分サイズの宝箱なんてないよなあ。普通の簡単な鍵付きの箱じゃないのか。


 おかしいぞ、モンスターも入口付近のスライム一匹しか出ないし、何だか、簡単すぎるんじゃないか。もしかして、あの怖そうで、実はやさしい冒険者ギルドの主人のレオンさんが、前もって用意したのかなあ。毎度、毎度、うるさく騒がれるのが迷惑なんで、先回りして用意したのかもしれん。多分、そうだな。よく、あのでかい体で、こんな狭い洞窟に入ったね、お疲れ様です。この骨もオモチャじゃないのか、それともニワトリの骨かね。金貨もよく見ると、薄気味悪いモンスターの絵の紋章がついている。翼があるのでドラゴンかと思ったら、顔には妙に太いヒゲみたいなものを生やし、鉤爪を持った手足が何本もある。変なデザインだな。こんなモンスターっていたっけ? 普通のモンスターと違って、と言うと変だけど、何だか見ていると不安になってくる絵だ。まあ、これも、子供用のオモチャだろうね。


 うーん、あんまり簡単なクエストっていうのも、つまらんなあ。倒したのはスライム一匹。まあ、所詮、冒険者ギルドの主人のレオンさんから見ると、あたしも子供扱いかね。やれやれ。けど、一応、報告ついでにレオンさんには、お礼を言うかと、箱と金貨とおもちゃの骨を一本ポケットに入れて戻ろうとしたら、悲鳴が聞こえてきた。ほんの少し風が吹いてきて、携帯ランプの炎が揺れているので、洞窟の壁をよく見ると、岩と岩の間にかすかに隙間が空いている。ちょっと、のぞくと、洞窟の入り口で会った連中が、なにかのモンスターに追われて、逃げ回っているようだが、よく見えない。


 そこで、魔法銃を取り出して、「石弾」を込めて、岩の隙間に撃った。しかし、たいして効果が無い。けど、モンスターが暴れている振動で少し崩れた。あたしは、すき間の中を強引に入って進む。大広間が見える。何とか、そこに転がり込むと、モンスターの全貌が見えた。巨大なムカデ! あたしの一番苦手な虫が巨大になって、ウネウネと動き回っている。


 思わず、悲鳴をあげて、他の冒険者たちと一緒に逃げる。あのムカデには剣も魔法も効果なしと他の連中が言っている。大広間をさんざん逃げ回り、ついに、さっきあたしが入ってきた穴付近に全員が追い詰められた。思い出した、ムカデは熱湯に弱いんじゃなかったっけ。マリア先生ありがとう。魔法銃に、「熱水弾」を込めて、発射。ムカデは巨体をくねらせて、こっちに突進してきたので、危うくよけたら、狭い穴に首をつっこんで、体をドタバタとねじっている。少しすると動かなくなった。何だか、自ら首を捻って死んじゃったみたい。ふう、何とか倒せた。あたしをバカにした連中からも、「さっきは笑ってすまんかった」と謝られる。まあ、いいか。


 全員で冒険者ギルドに戻ると、主人のレオンさんにダブルブッキングしてすまんと謝られた。なんのことだろうとあたしは頭をひねった。

「洞窟の入り口に穴が二つありましたよ」とあたしが報告したが、

「いや、そんなことはないぞ」とレオンさんも首をひねっている。

 どうも、あの四人組の連中が入った右の穴が、本来のダンジョンの入り口みたい。あたしが入った左の穴は何だろうか? 剣と携帯ランプを返却し、ところで、「宝箱と骨のオモチャはレオンさんが用意したんですか」と見せると、「おい、これは本物の人間の骨だぞ」と大騒ぎになった。


 カクムール王国の警官が来て、現場を調査したら、十人分くらいの子供の骨を発見した。ひい、恐ろしい。「ここに、どんなモンスターがいたんですか」と警官に聞くと、「いや、上の穴から落とされたんだろう」というのが、警察の推測らしい。深い縦穴が、もともとあって、そこにたどり着くまでの横穴は偶然、空いたんじゃないかということだ。朝にちょっと大きい地震があったが、それが原因で空いたのかなあ。そして、そこにあたしは入って見つけてしまったのだろうか。モンスターが人を襲って食べちゃって、残りをこの穴に落としたのかね。しかし、子供ばっかりというのも、なんとなくおかしい。どうやら、警察の見解では、人間の仕業のようなのだ。殺してから、裸にして、この穴に投げ込んだらしい。そうすると、大量殺人事件じゃん。


 あと、「この金貨は何ですか」とレオンさんに、洞窟で拾った例のヘンテコなモンスターがデザインされているものを見せてみたが、わからないみたい。おまけに、「これは金ではないよ」と言われてがっかりした。仕方がないので警官に、「こんなものが、小さい箱に入って落ちてましたよ」と見せたら、突然、顔色変えて、「これは証拠品ですから」と持って行ってしまった。よくわからんが、これはもう、警察の仕事だな。まあ、あたしとしては、大嫌いなムカデの巨大なモンスターを倒したし、それなりの報酬をもらったんで、一応、満足して宿屋に戻った。


 翌朝、宿屋のベッドでうつらうつらとしていると、部屋の中にレオンさんが飛び込んできた。「お前、人を殺したのか」って聞かれて、「そんなことしてないけど、犯人に間違えられて、警察に追われている」って答えたら、「早く逃げろ」って、焦った顔をしている。ナロードリア王国の警官が来たみたい。あの子供の骨があった場所は、ナロードリア王国の地域らしい。どんどん洞窟を進んで行ったら、いつの間にか、地下であたしは国境を越えてしまったようだ。天井の穴はナロードリア王国の地域。そこで、カクムール王国とナロードリア王国の警察が合同で捜査を始めたら、あたしの存在がバレたようだ。


 いそいで、宿屋を出ると村の掲示板にあたしの似顔絵があるではないか。懸賞金の他に、「ブサイク少女殺人鬼」って書いてある。ふざけんな! と思っていたら、冒険者の連中が二十人くらい追いかけて来た。よく見ると、巨大ムカデから助けてやった連中もいる。「この前、洞窟で助けてやっただろ、このヤロー!」と叫ぶと、「あの時は助けてくれてありがとう、感謝する。けど、それとこれとは話が違う、お前は罪人だからな」だって。「大人が、いたいけな女の子を追い回すな!」とあたしは叫んだ。いたいけじゃないけどさ。


 こうなったら、最後に残った、「花粉弾」を込めて発射したけど、ろくでなしの冒険者の連中はくしゃみするだけで、全然役に立たないぞー! 袋小路に追い詰められ、絶対絶命!

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