第八話~怒らせたらあかん人っているよね!添え~
よろしくお願いします。
三人を連れて帰ると、起きてBL本をさっそく描いている腐ロリ様。
「んっ、客か?レバンとフェルマンに………見慣れない顔があるな」
「お会いできて光栄です。ランドセイル出版社で働いてる編集者のユノです!」
「おう、昔BL漫画を描いたときに世話になった出版社だな。あの時は迷惑かけたな、すまん」
さすがに世界中を混乱に貶めた罪悪感があるのか素直に謝る腐ロリ様。
「いえいえ、とんでもない!メロリー先生の漫画を読んで自分編集者になったんですから!!」
それは、なんとも言えない理由だなあ。
だけど、腐ロリ様は気分を良くしたらしく、
「そうかそうか。お前は見所があるな。まだ途中だが新しく描いてる本見てみるか?」
「ぜひ!!」
と目をキラキラさせて原稿を受けとるユノさん。
「うわぁ」「すごい」「キャア」と表情を変えながらよんでいるユノさんは満足そうな顔で原稿を腐ロリ様に返す。
そして「ここで描いていたんですねぇ」と感動した顔で部屋中を見てるが、腐ロリ様は普段はゴロゴロしてるだけです。
部屋中を見ているユノさんの目に何か目に止まったらしい。
その何かに手を伸ばす。
しまった描いて置きっぱなしにしてしまっていた。
見ないで恥ずかしいからと伸ばした手も空を切り、ユノさんが僕の描いた冒険物の漫画に目をやる。
うわぁ、めっちゃ見られてるよ。恥ずかしいけど読まれてるのは嬉しい。そんな感情わかる?
しばらく無言で読んでたユノさんだったけど、読み終わり原稿をテーブルに置く。
「これを描いたのもメロリー先生ですか!?」
「んっその原稿はわたちは描いてないな」
「それじゃ…………」
ユノさんの目が僕に向いたので、手を挙げ答える。
「それは僕が描きました」
ふるふると体を震わせると僕の両手をがっちり握るユノさん。
「………か、感動しました。これは傑作ですよ。これなら禁書になるような事も描いてないし、わが社で出版してくれませんか?」
でもなぁ、家事もしないといけないしなぁと考えていると、僕の漫画を読んでいたフェルマンさんとレバンさんも絶対に本にすべきだと背中を押してくる。
肝心の腐ロリさんは若干拗ねている。
「いいんじゃねぇの。まぁ、そんなありきたりな冒険漫画が売れるとは思わないけど」
ちょっとイラっとした。
けど確かに僕が描いた冒険漫画は元の世界には腐るほどあった。
まぁ、売れないだろうし、出版してみようかなとユノさんにオーケーの返事をした。
◇◇◇
~1ヶ月後 現在~
僕が描いた漫画は、ランドセイル国どころか他の国々にまで普及され、世界で空前のヒットを出していた。
一人じゃ原稿が間に合わないので、フェルマンさんやレバンさんが、アシスタントを引き受けてくれ、腐ロリ様も好きな食事を作る代わりに渋々アシスタントを引き受けてくれた。
「これで終わりと!」
最後の一枚を書きあげ、ユノさんに原稿を渡す。
「確かに受けとりました。それでは私は印刷所に行くのでこれで!」
「ふぅ、これで二巻も無事に出版出来そうですね。これもレバンさんとフェルマンさん、腐ロリ様のおかげです。ありがとうございました」
「お礼を言うなら旨い物を作ってくれ。わたちはお腹ペコペコなんだ!」
「すみません、もう疲れていて作る気力がありません」
「ぐぬっ、約束と違うぞ!好きな料理を作ってくれるって言うからアシスタントをしたんだぞ!」
「起きてから作りますから、勘弁してください」
「ぐぅ、絶対だからな!!」
漫画を冒険漫画を三巻まで書く間にこのやりとりが何度もありました。
確かに忙しかったし、人気漫画家になって天狗になってた所もあったのでしょう。
家の家事もろくにせず、料理も外のできあいもの。
僕は一緒に暮らしていくうちにこの腐ロリ勇者様の恐ろしさを忘れていたのです。
結果、腐ロリ様の我慢が決壊しました。
最初は冷たい目で見られていた僕も人気漫画家になってからは、親しく声をかけてくれる人も増えたのに、今日外に出ると、冷たい目ではないが、なんか生暖かい目で見られてるんですが⁉️
何もしてないしなと思っているとレバンさんが慌てて僕のところにやって来て何かの本を手渡す。
「おい、メロリー様がやらかしやがったぞ!」
その言葉で嫌な予感がしながらも本を開く。
すると、僕の書いた冒険物の漫画の二次創作、それもどぎつい絡みがある内容だった。
「な、なんなんですか、これは?もしかしてもう国中に出回ってるんですか?」
「国所じゃねぇよ。世界にもランドセイル出版から出回ってる。しかもこれを見ろ!
……これは酷い。僕とレバンさんとフェルマンさんの三角関係のBL本とは。だから街の人達の目が生暖かかったのか。
これは腐ロリ様を問い詰めなくては!
家に帰るとさっきの続きだろうか。BL漫画を描いている腐ロリ様がいた。
「どういうつもりでこんな嫌がらせの様な漫画を流布したんですか!?」
少し怒り気味で言葉を発したが、振り向いた腐ロリ様の顔は僕より怒っているようでまるで般若のお面の様な顔でした。
「なんでだとっ?お前はわたちの執事だよな?」
「そ、そうですね」
腐ロリ様の怒りオーラで身体がガタガタ震える。
「なのに漫画で人気が出たら、料理は作らず、家事はしない。お前が死刑にならなかったのはわたちの執事になったからだ。それを忘れんじゃねえぞっ!!」
くっ、正論過ぎて何も言えないが、だからと言って普通人のBL漫画を世界中にばらまくかと言いたいが、それを言えば更に火がつくので言うのはやめておこう。
「すみませんでした。これからは執事として料理も家事もするのでこれ以上描くのは止めていただけませんか?」
「……………グラタン」
「えっ?」
「今すぐグラタン食わしてくれるなら許してやる」
「はい!すぐに作ります!」
こうして腐ロリ様第二次BL漫画流布事件は幕を閉じた。
編集者のユノさんには残念がられたが、レベルもいつの間にかレベル40になってたし、漫画家は辞めることにした。
なお、僕が描いた未完作品三巻は、後世まで伝説の漫画と評価されたそうだ。
ありがとうございました。