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2040年 地球の旅  作者: ジョアンド
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Tech City④ 家庭菜園

自給自足ができるようになります。

「うーん...」


何度かの、二度寝を経て、ようやく私は起き出した。未来にいても、朝の眠気がなくなるわけではないようだ。


「おはようございます。お疲れかと思いましたので、起こしませんでしたが、もう10時過ぎですよ?」


永井愛は、ぼさぼさの髪の毛で降りてきた私を見て、ため息をついた。


「面目ない。」


「朝ごはんだけ、食べたら教えてください。家庭菜園を紹介しますから。」


食パンと卵がキッチンに置かれていた。ささっと、準備して、私は朝飯にありついた。


「今、何しているの?」


急いでトーストを平らげながら、見えなくなった彼女に声をかける。


「メイクです。女の子が人前では綺麗にありたいというのは、時代を超えても変わるものではありませんよ。道具自体はどんどん進化しているとは思いますが。ちなみに、今では、男の人も大体何かしらの化粧をしていますよ。」


「そうなのか。」


「年々、白い肌や、美しい顔立ちというのは、男性に対しても求められるようになってきているというわけです。もし、よろしかったらどうぞ。私のをお使いください。市販の男性用と女性用なんて、大して中身の成分は変わりませんから。」


「いや…遠慮しておくよ。というより、やり方が分からないから、とんでもないことになりそうだ。」


ようやく食べ終わり、手を合わせる。


「そういえば、食べ終わった皿は水につけておけばいいのかい?」


皿を重ねて、私は立ち上がった。


「流しの横の食洗器にいれておいてください。乾燥まで自動でやってくれますから。私の方は準備できました。行きましょうか。」


彼女は、リビングの脇にある通路のドアを開けて中に入っていった。どうやら地下に繋がっているらしい。


「こちらです。」


長めの階段をおりた後、彼女は中の方に指をさした。その先はとてもまぶしかった。暗い地下の倉庫を想像していたのだが。


「ここで、自分が食べるための野菜を生産しています。ほとんど自動化されているので、手間はありません。植物の成長に必要な太陽光は、昼間は屋根から特殊なケーブルを通して、地下にとどけられ、夜は、太陽光に類似した人工灯がともしてあります。」


だんだん目が慣れてくると、日常的に食べるような野菜が、みっしりと栽培されているケースが無数に積みあがっていた。これだけあれば、補えるわけだ。


「地下のメリットは、季節を、セクターごとに調整できることです。それにより、一年中安定して野菜を取ることができます。毎日いろんな野菜の成長を見ているだんだん愛着が沸いてきておもしろいですよ。今では、夏休みの子供の観察日記の定番になっていますからね。」


「いろんな工夫をしていくと、自分が食べられる量より、作れてしまうことがよくあります。そう言うときは、こちらのアプリで食料売買サイトにアクセスします。自分が売りたい、もしくは交換したい食べ物の写真を撮って、投稿すると、買いたい人、もしくは自分の食べ物と交換したい人から連絡が来て、合意が成立します。あとは、先ほどの自動運転の小型運搬車を呼びつけて、宅配するだけです。輸送量がかからないし、自分が栽培していない食糧も含めて一年中新鮮なものを手に入れることができるので、この仕組みはだいぶ重宝していますよ。」


「食料を知らない人から買うのは嫌じゃないのかい?」


「気になる食品の安全は栽培システムに依拠しています。導入している栽培システムを登録しないと、アプリにそもそも登録すらできません。システムが正常に稼働しているか、食品が安全に作成しているのかをデータで自動的に集めて、食品を選ぶ際のデータとしてアプリが表示してくれます。悪質な食料については、自動で排除されます。今では、安全面からも買い物に行くよりはずっと安心で、日常品についてはもっぱら、このサイトの売買で済ませていますね。」


「肉とかはどうしているんだい?」


「野菜以外の動物性の食べ物については、なかなか各家庭で生産するのが難しいので、このサイトで食品メーカーから買っていますね。たまに、肉を出荷しているつわものもいますが、なかなか、アプリの検査を通ることはできませんからね。」


「へえ。どちらにせよ自給自足がだいぶ進んでいるんだね。」


「そうですね、自給自足のシステムを全員が備えたからこそ、余剰食糧の問題への対応も進み、食料廃棄が大幅に減りました。各家庭で作られた余剰な食料は、アプリを通して、タダでデポジットすることができます。すると、その食糧は寄付されたり、自動的に食品に加工されたり、バイオエタノール等のエネルギーになったりするわけです。全ての余剰食糧がデータ上で管理されている上に、無償同然の運搬が整備されていることで、幅広い分野で食料の有効活用がすすんだわけです。」


「なるほど。ちなみに。このシステムはいくらくらいするんだい?」


「実際の購入費用自体はそれほど高いわけではありません。もちろん、個人ごとにカスタマイズしている人などもいますので、一概には言えないのですが。」


「へえ、すごい最新の技術に見えるのに。」


「それは製造技術の革命的出来事をご存じないから、そう思われるのかもしれませんね。」



次は、製造業の変化について更新します!

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