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お買い物

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ゲームから戻った私は家事を行った後、チラシを片手にスーパーへと移動しました。

今日は森の卵がお一人様2Pまで96円の日、ゲームに没頭するあまり忘れるとはなんて情けない。

カートを取る時間ももったいないので腕に籠をぶら下げながら、急ぎ卵コーナーへと向かいました。

なんとか確保できましたが、……近所の田中の奥さんは相変わらず強敵です。というよりもマナーがなってません。人の籠入った物にまで手を伸ばすのは正直プライドがないのではないでしょうか。

それはそうと、今日の晩御飯は何にしましょう? 宗十郎さんは麺類が好きでしたね。

でも仮に焼きそばを作るとしても宗十郎さんはソースが好きですが私は塩派ですし、ラーメンですと宗十郎さんはとんこつ一択で私は醤油一択と全くかみ合いません。スパゲッティもいいんですが、これまたペペロンチーノと、カルボナーラという壁が立ちはだかります。……譲歩するという選択はありません、何故なら私も好きな物が食べたいので。でも食べて貰う人には喜んで欲しい、両立とは難しいですね。

いっそ麺類は止めてチャーハンとかでもいいかもしれませんね。先日作ったチャーシューの残りもありますし、ネギがまだ会った筈。シンプルにその二つで作れば喜んでもらえるでしょう。後はワンタンスープと餃子という王道メニューで責めるとしましょう。……にんにくが好きな宗十郎さんに合わせるのは大変ですが、すぐに歯を磨けばとりあえずの匂いは防げますし、我が家には臭い対策に林檎を常に常備してあるので問題ありません。

林檎は偉大です。食前に食べれば臭いが身体にしみこむのを防いでくれる魔法の果物です。ジュースにしても、アップルパイにしても、焼き林檎も美味しいという素敵な食べ物です。しかもどんな状態でも効果があります。

と言う訳でひき肉とニンニク、ニラ、餃子の皮を籠に入れます。ごま油やカレー粉、紹興酒、鶏ガラはまだあったので今回は良いでしょう。

シイタケもいれたいのですが、……宗十郎さん嫌いなんですよね。キャベツを入れて、後は生姜でも混ぜれば十分でしょうか。

ワンタンは一番安い奴でいいでしょう。臭いがきついのと、少しかさましが目立つのですが、安さに勝るものはありません。数もそれなりなのでボリューム感も十分です。何より臭いはスープである程度誤魔化せますし、かさましというのならワカメを上回るものなどありません。今日も乾燥わかめはいい仕事をしてくれる事でしょう。

これで買い物は終わりにしましょうと、レジに行こうと通った時、ふと目の前に飛び込んできたのは半額シールの貼ってあるプリンでした。……こっそりデザート買っちゃおうかな。



───プラスチックな器を洗いながらちょっと心の中で罪悪感。

でもそれがまたデザートが美味しい理由なんでしょうね。罪悪感のほろ苦さがお菓子の甘さを引き立てるのです。

まあ、それはそうと家事も、買い物も、晩御飯の準備も終わりました。宿題は既に終わっていますし、もう一度ゲームをやってもいいでしょうか。……宗十郎さんもよく遊びに行っているし、別にいいですよね?

早速ベッドに寝転がってスイッチオン。沈んで目を覚ませばそこは私達のマイホーム。

はまるんただいま。今は丁度夕方くらいかな?


「はい、グラスサイレージですよ」

「めぇ」


むしゃむしゃと食べるはまるんに微笑んでいると、いつのまにか洋館の玄関前に変態がいました。

相変わらず無駄にくるくると回るそれは「真昼を照らす鼠の王は猫に怯えて逃げ惑う。かくしてアリスは白兎へとたどり着き、小瓶を一飲みするだろう」などと謎言語を吐きながら空中をきりもみ回転しながら二階の窓をぶち破って屋敷の中へと入っていく姿が見えました。……あの変態は一体何なんでしょうか?

まあアレに関してはすぐさま忘れるとして、そう言えばグラスサイレージもう少なくなってきましたね。

確か時間の速度は現実と殆ど同期しているらしいので急ぐ必要もないですし、小遣い稼ぎの意味も込めてまたカットしましょうかはまるん。

さっそく鋏を取り出して毛を刈ります。丁重に丁寧に……2回目ともなると結構慣れるものですね。

つるんとしたはまるんはサイズがしぼんで見えるのですが、それでも私よりも大きいので驚きです。ちょっとした怪獣みたいですね、まあ、こんなに可愛い怪獣ならばっちこいですが。さて、もう一度売りに行きましょう。

クランハウスから鏡を抜けて、倉庫へと移動しました。そこに汚吐女さんがいましたが、何やらお酒の瓶に頬ずりをしてまったくこちらには気付いていな様子。……本当にこのクランの人々は駄目人間スキルに全力を掛け過ぎじゃないですかね。まともな人二人しか知らないんですが。過半数が変態とダメ人間の時点でアウトだと思うんです、私。


「うへへへ、うひ、うへへぅいひ。コツコツ貯めてぇ~、それでも足らないからついクラン資金ちょっとだけ使って買っちゃいましたよ〝大吟醸・月姫〟ちゃん。うっはー、蓋を開けてないのに芳醇な香りがする気がするっす、こいつぁこっそり裏庭で作ってたスルメの出番が到来っすね! ま、最近毎日つまみにしてるんすけどね。それはそうと七輪に使う炭あったっすかね、なかったきがするなぁ。手持ち少ないけどちょっとクランのお金借りて買いに行・こ・う・か・な・! なぁーにどうせゲームっす、吐くだけっす、二日酔いで頭痛いだけっす!! なにより飲んでないとふらふらするっすからね、いやー酒は百薬の長とはよく言ったもんすわーうへへぅひへへへふぃ」

「楽しそうで何よりですね」

「ふべりゃそっぅくべありらるぼがや!?」


ぽん、と肩に優しく手を置くと何故か奇声を上げ、腰を抜かした状態で壁まで下がっていく汚吐女さん。……別に怖がられるような事はしていないつもりなんですが。どうして宗十郎さんといい、乙女さんといい、源蔵さんといい、お酒を飲む前に私に見つかるとこういう反応をするんでしょうね?

まあそれはそうと、そんなに大事そうに抱き抱えている酒瓶ですが一言言わせてください。

その値段、いくらですか。なにやら先程クランのお金をこっそり拝借、と聞こえましたが気のせいですよね? アルルカンやアーデルハイトが集めた素材とか横流ししてませんよね? 全て自らが稼いだお金ですと胸を張って言えますか? ……言えないんですか?


「まったまったまったまってまってくださいごめんなさいすみません本当出来心で、というかだってあの人達貯めこむだけに使う事稀だし私もちゃんと働いているしご褒美あってもいいといえなんでもないです、ほんとうすみませんでしたでも悪気があった訳じゃないんですよ、ほらドゥムジちゃん来たじゃないですかだから新入りさん歓迎会でもやろうかなーって、こう見えてもあっしは結構気配りができるほうなんっすよ本当っすよほら見てくださいこの曇りのないまな」

「なんです?」

「すいませんっしたー!!」


何故でしょう、ただ笑顔で見詰めているだけなのにどうしてそんなに怯えるんですか?

別に怒ってはいませんよ。悲しいとは思っていますが。ええ、せっかく知り合った方がお酒に飲まれ、他人の金にまで手を出して、挙句見付かれば素直に謝罪をするでもなくまず言い訳をべらべらと、……思わず泣いてしまいそうです。


「泣くって表情じゃねえっすからソレ!! 尻尾踏まれた虎の顔っすよソレ!!」

「そうですか、……はまるん。私は買い物に行っているので、この人をお家に運んでもらってもいいですか?」

「めぇ」

「ありがとうございます」

「怖いんっすけどその羊!! 明らかに堅気の目をしてねえっす! というか今の「めぇ」が明らかに堅気言語じゃなかったすよね。了解しやした姐さんとか言ってますよね!?」


そんな事をはまるんが言う訳ないでしょう、はまるんを馬鹿にしてるんですか?

今日一番の怒りを込めてその両肩に手を置いて鏡へと押し出しました。続いてはまるんが突撃します。

何やら潰されるような声が聞こえましたが問題はないでしょう。それとこちらは没収です。───後でアルルカン経由で返すまでちゃんと反省しなさい。


〝大吟醸・月姫〟量産可能なお酒で世界で一番高い西の島国ニャポンの超高級酒。お米を丁寧に磨き上げ、40パーセントまで磨き上げたお米を使用した職人至高の一品。甘く蕩ける様な香りと鮮烈なアルコールが特徴で、それでいて飲みやすく更にはあらゆるつまみに合うという酒飲みの夢の一つ。お値段はなんとお手頃な4M(400万)、嗜好品は通常の道具などより割高だがこちらはなんとも優しいお値段である。───尚、このゲームでは二十歳未満でも飲酒が可能となっている。が、酔う事は出来ない。


未成年は酔えない、という事は汚吐女さんは最低でも二十歳ですか。……なんというか、現実の生活も正直少し心配になります。というかあの人既にアルコール依存症の気がありますよね。お酒を飲んでいないと震えるとはすでに危険域なのでは?

まあ、それは近くの人がどうにかする事でしょうし、私はゲーム内で勝手に他人のお金に手を出さない様にしっかりと叱る程度でいいでしょう。

……まあ、それはそうと道具屋に移動しましょう。あちらが24時間経営などという保証はどこにもないのですから。

はまるんを連れていないので今回は早く着くでしょうし、時間的に子供達も返っているのでハマるんは何処と質問される可能性も少なく、おまけに道まで覚えています。前回と比べれば楽に到着するでしょう。


憶えている道を歩きながら、周囲の街並みを見て歩いていきました。

所謂西洋風の建物なのですが、正直様式とかは詳しくないので、これはロココ調なんて格好良く当てる事なんて出来ないんですが、それでもまあ、石造りの街並みというのは日本で過ごしている身としては新鮮に感じる物ですね。周囲に木造建築砂の壁、近場に行けば鉄筋コンクリート造、町はずれの森の中に素敵な洋館がある以外は、至ってどこにでもあるような平凡な田舎町ですからね。

それにしても不思議な物です。所謂ゲームに必要な道具屋、武具屋、教会、宿屋などなどの一般的なお店だけでなく、花屋や八百屋、魚屋に寝具屋などが立ち並んでいるのも分かります。お菓子屋は魅力的なので今度行ってみたいですが、こうして見るとこだわっているのがよく分かりますね。


まあ、それはそうと道具屋に着きました。

まだ灯りが点いていたので、そのまま中に入り、……今日の店員さんは女性のようです。

赤々とした髪が目を引く可愛い女性で、元気のいいいらっしゃいませの声は先日の男性と比べるのも烏滸がましい程。……というよりも、先日の男性はなんというか、義務的だったと言いますか。客商売を楽しんでいないようでした。


「すみません今日はグラスサイレージを頂きたいんですが」

「必要数はいくつですか?」

「それでは20個ほど、……あとこちらの素材を売買したいんですが」

「こちらは、……はい、一つ辺り2500c、99個で24,700cで買取させていただきます」

「……一つ1200cではないのですか?」


少なくとも前回はそうだったはずなのですが、はて。もしかして価値が上がったんでしょうか?


「先日は旦那が購入し、とあるお店に降ろしたのですが、その後価値が上昇しまして、現在はこちらの買取額となっております」

「そうですか、ではお願いします」

「はい、誠にありがとうございました。こちらがお釣りとなっております」

「ありがとうございました」


こうして、買い物を終えた私はゆったりとした足取りではまるんの元に戻りました。

……ちなみに汚吐女さんはアルルカンによって洋館の天辺からつるされていました。……それでもまた繰り返す気がするのはどうしてでしょうか?

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