第五話:新たなるスキル
感傷に浸っているとふと思い出したことがある。
少年はスキルをくれると言っていた。どんなスキルをもらえたのかを早速確認してみようと思う。
スキルを確認するためには念じれば良かったはずだ。
ースキルー
・アイテムボックス
・知見の目
確認すると《知見の目》というのが増えている。どんな効果なのか確認しておこう。
・知見の目
対象の本質を見ることができる。ただし、使い手の能力により効果は変移する。
確認をした結果そのように表示されていた。しかし、本質を見るとはどういうことだろうか?それに効果が変わるとは一体何だろうか。想像できるのは鑑定みたいなスキルで、俺のレベルによって情報量が変わるとかだと思うが、どうなのかよくわからないな。スキルをくれた人に聞くのが一番いい。
「なぁ、少年。スキルを確認したんだが、知見の目とはどういったものなんだ?鑑定系のスキルなのか?」
「うーん。それに近いかな。まぁ、使っていればわかるようになるよ」
少年の言葉は、それだけだった。結局のところ今は何となく鑑定ができるスキルなんだなくらいしかわからなかった。
「あっそうだ。お兄さん確か剣の確認してなかったよね?ちょうどいいからスキルで確認してみなよ」
言われて思い出したが、俺は全く剣について把握していなかった。ただ長い剣という認識でいた。自分が使っていた武器がどういったものかも理解していないのに、ウサギを狩るなんて本当に俺は異世界を舐めていたと気付かされる。
素人が自分が扱う武器がどんなものかわかったところで何も変わらないかもしれないが、自分の命を預ける装備を蔑ろにした時点できっと俺はウサギと戦う土俵に立つことができていなかったのだと思う。
それは簡単に言えば俺の覚悟であり、認識の甘さ。どこかゲームのように感じていて、最初は弱い敵からスタートして、どんどん相手は強くなるが、最終的には魔王を倒せるときっと心のどこかで思う自分がいたのだろう。
そんな保証はどこにもないのに。少年は確かに言っていたはずだ、死ぬ可能性があると。
俺は世界を見るという目標を立てた。それに親孝行もしたい。
じゃあどうすれば目標を叶えられるのか?
そんなのは簡単だ……このチュートリアルを全力でこなすことだ!
幸いにもこのチュートリアル中ならば死ぬことはない。ただし、経験値はもらえないが。それでも戦う術を持たない俺が安全に訓練ができる環境はありがたい。
俺は再度この世界で、全力で生きることを誓った。
少年は、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか装備の確認をしたか聞いてくる。
「お兄さん確認できたかな?明日からも戦闘訓練は続くから確認したら寝るんだよ?寝袋は置いてあるからね。じゃあ、また明日ね」
そういうと少年はパッと姿を消してしまった。残された俺は少年の言うようにスキルを使い長剣の確認を行った。
ーロングソード STR+2ー
剣の中でも長さが長めの剣。100cmの全長で、初心者が扱うようなオーソドックスな形。
特別な武器ではない、量産されているような初心者用武器だった。しかし俺にとっては唯一無二の武器。今後こいつと一緒に旅をしていくと思うと愛おしく思えてくる。先ほどまでただ剣としか認識していなかったものが、知見の目を通して見ることで大事に思えるなんて、なんとなく現金な気もするがきっとそれが俺なんだろう。しっかりと見ることもせず、そのくせパッと見の印象で決めてしまう。昔からの悪い癖だ。
本質を見るという《知見の目》は俺にとって最高の相棒になる、そんな気がする。
今はまだどんな風にこの目といろいろな冒険をしていくのか想像もできないが、きっと、とてつもなく素晴らしいものになる。そんな予感がする。
いろいろなものを見て、感じてそして生き抜く。この目があればそれが実現できるような、そんな予感さえしてくる。これから先にどんな苦難や困難が待ち受けていようと必ず乗り越えてみせる。
そのためにも、明日からのチュートリアルの続きは今日よりは動けるようになると信じて寝るとしよう。
俺は寝袋にくるまると明日からの日々に思いを馳せながら眠るのだった。