第四章 お茶会
━━━ 城内・応接間 ━━━
城内もまた絢爛たるものだった。階段、ホール、美術品などあらゆる内装、調度品に艶めかしいつやがある。これら全てが貝殻でできているそうだから驚きだ。
カエデは、茶菓子に出されたクッキーを美味しそうに頬張りながら、向かいあっている少女と楽しげに話している。
少女…もとい、先程浜辺で会った『人魚姫』の姿は、あの水像とほとんど変わらなかった。ただ一つ、車椅子に乗っていることを除いては。
スイの場合、陸では人の姿に変化し、何不自由なく普通に生活できている。だから、この人魚姫も、てっきり人の姿になれると思っていた。
━━━人魚って大変なんだなあ。歩けないうえに、乾燥対策しなくちゃいけないなんて……でも、なんだかいじらしくて可愛いじゃないか。
ブルーは……あれ?珍しいな、アイツが紅茶に手を付けないなんて。いつも真っ先に飛びつくくせに、さっきから腕組みをしたまま部屋を観察しているようだ。せっかくこんなにもてなしてもらってるのに……
「━━おい、ブルー。クッキーでも食ったら?そんなしかめっ面してねーで、な?」
「………」
……無視かよ!!お前はほんっとに可愛げねーな!
俺は仕方なく、さしだしたクッキーを自分の口に放り込んだ。