第二章 手紙
のぼりかけの月が照らす夜
島の浜辺では、ブルー、レオン、カエデの3人が座り込んでいた
━━━ 島の浜辺 ━━━
今までにない事態だ。あのスイがかっさらわれるなんて。
カエデはずっと泣き通している
《師匠ぉ~……うぇぇ…えぐっ…》
「いつまで泣いてんだよ。そんなことしててもしょうがないだろ」
《レオ兄…だってししょ、師匠がぁ…うぅっ…》
「お前の泣き声頭に響くからいい加減やめてくれってば」
彼女の声は脳内に直接届く。うるさいからって耳を塞いでも無駄なのだ。
カエデはさらに激しく泣く。ああもう。
「………」
ブルーはさっきから城の方を向いて頬杖をついたまま動かない
「ブルー、さっきから何考え込んでんだ?」
「……あの娘のことだ」
「あの娘?それって、『人魚姫』こと?」
ブルーは無言でうなずく。
━━━『人魚姫』━━━
俺たちが彼女と初めて会ったのも、この浜辺だった━━━
━━━時は、今日の朝までさかのぼる。
俺たちがこの島に来たきっかけは、ブルー宛に届いたある一通の手紙だった。
内容は、『例の薬』の輸入と、もう一つ。
「おいでになったついでに、結婚式にもぜひ出席なさってくださいまし。披露宴では、最高のおもてなしを御約束いたしますわ」
といった招待状だった。
取引だけなら俺とブルーだけでも良かったんだけど、結婚式に行ってみたい!と言うカエデとスイの熱意に折れて、結局4人でこの島へ来ることになった。
島までの移動は、せっかくなのでスイに乗せて行ってもらうことに。
ボートなんて比べ物にならないくらい速いし、移動するための船をレンタルする手間も費用もいらない。こんなにいい話はないだろう。
島には、まもなくついた。
今回は少し短めになります。
『例の薬』についての言及は、この人魚編ではあまり関係がないので致しません。
あと、3人とスイの関係性についてですが、今軽く説明を加えたいと思います。
今回のメイン目線にまわったレオン、そしてカエデは、科学者であるブルーの助手を務めています。スイは、ブルーとは長い『友人』にあたります。彼はブルーに対して特別な思いを抱いていますが、ブルーは彼を『友人』または『助手』としか考えていません。カエデがスイを『師匠』と呼ぶのは、ただ『人生(?)の大先輩』という意味なので、特に2人に師弟関係はありません。
大体こんな感じです。
この関係性を踏まえて読んでいただけると、今後の話が少しは読みやすくなると思います。
最後に長文失礼しました!ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
ではまた次回!