一章
「ねぇ!・・・・ねぇってば!!」
「なんだよ。うるせぇな」
母親がおこしにきた。なぜそんなにあわててるのだろう。
「さやかちゃんがまだ帰ってきてないみたいなのよ!何か知らない!?」
・・・・・は?
状況が理解できなかった。
さやかがまだ帰ってない?
「・・・・冗談はよせよ。」
「冗談じゃないわよ!今さやかちゃんの親から電話がきてるの!さやかがそっちに来てないかって!」
俺は急いで立ち上がり、電話のほうへ向かった。
「もしもし!さやかは本当に帰ってないんですか!?」
『えっ・・・。そっちにもいないの・・・・?』
「・・・・はい。今探しに行きます!!」
おばさんのそのあとの返事を聞くのが怖かったから、俺は逃げだすように外へ出て、自転車に乗り駆け出した。
全速力で自転車をこぎ、探し回った。
しかし、高校2年のガキが見つけられるはずもなく、疲労感がたまっていくだけだった。
3時間探し回ったが、見つけられなかった。
家に帰り、自分の部屋に閉じこもった。何回も電話したが通じなかった。最後にメールを送って俺はベッドに横になって泣いた。
30分ほどしてコンコン、とドアをノックする音が響いた。
しかし、そんなのに返事をするほどの余裕が俺にはなかった。しかし、横になって泣いているところを見られたくなかったので、起き上がり、明○のジョーの最後の試合の後みたいな格好で座った。
入ってきたのは見たこともないおっさんたち二人だった。たぶん刑事だろう。その横に助手みたいなのがいる。
「話をきいてもいいかね」
刑事っぽい人は言った。
「・・・・」
俺に答える気などなかった。ただただ出て行けと心で念じた。
「ねぇ、き・・・」
おっさんの声を遮って言った。
「うるせぇな!一人にしてくれよ!!」
俺はひどい表情をしていたのだろう。刑事たち二人は少し驚いたような顔をして部屋を出て行った。
それを確認してまたベッドに横になった。
もう自分でもどうしたらいいかわからなかった。泣きじゃくることくらいしかできなかった。
どれくらい時間がたっただろうか。泣き止んで時計を見ると、昼の12時をとっくに過ぎて、2時になろうとしているところだった。
部屋から出て階段を降り、リビングに行った。
するとそこにはまだ刑事たちがいて、親と話をしていた。
リビングの扉を開けるとその3人は俺を見た。
「もう、大丈夫なのかい?」
母親が心配そうにそう聞いた。
「大丈夫なわけないだろ・・・。」
自分でも驚くほど低く、小さな声でうつむきながら答えた。
「なら、また今度にしよう。」
そういうと刑事たちは身支度をして「じゃあ、どうも。」といいながら帰っていった。
急に抱きしめられた。
「一人で抱え込むんじゃないよ。お前のせいじゃないんだから。大丈夫、きっと見つかるよ。だからいつまでも泣かないでおくれ。こっちまで悲しくなるじゃないか。」
母親がやさしい声でそう言った。
そして俺はそのやさしさに甘えて、母親の腕の中でまた、泣いた。
読んでいただいてありがとうございます。
これからもちびちびと書き進めますのでよろしくお願いします。
今回は結構雑になってしまったかなと思っています。
感想は何でもいいので書いてくれると嬉しいです。よろしくお願いします