新しい絆
「では、『最初の剣士』の遺品管理について調査委員会を設け、
長命種の代表の判断を重視する件に挙手を」
『はなみずき』は嫌々議題を読み上げた。そうである。
「あの全員の嫌そうな顔は見物だったぞ」本当に嫌そうだな。お前。
「父上など、『英雄より無名の人々の努力』『だが幻想は時としてそれを支える』とか言っていたが」あの爺さん本当に何者なんだろうな。
「父上? 」
国王についての疑問を口にするときょとんとした瞳で彼女はぼくを見返す。
「なんて名前で、先代の国王夫妻がどんな人物で、今のあの爺さんがどこから来たのか俺知らないんだが」「……」
逡巡するように視線を泳がせる彼女。
やがて、視線をぼくに合わせてきた。戸惑うように。
「私も。知らん」「はぁ?! 自分の親だろッ?! 」「……本当に知らないのだ」
「だいたい何歳だよ。あの人ッ?! 」「……知らない。私達姉妹が幼い時からあの姿だ」
ますます意味が解らん。あの男は長命種じゃないだろうな。
「いや、人間だ。人間のハズだが……」城でもっとも古い人間も、年齢を知らないと思う。と告げる『はなみずき』。
「でも。私は知っているぞ」「ん」
「不安に揺れているとき、こうして手を握って私が泣き止むまで待ってくれていたことをな」
彼女の掌はぼくの掌に重なっていた。
「どうした? 意外とお前の手は柔らかいな」「……やれやれ」
剣を握り、多少のタコはあるものの、彼女の小さな手は柔らかくていい匂いがした。




