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ファンタジー世界de『貸し自転車屋さん』始めました  作者: 鴉野 兄貴
第二十二章 天使と猫と『はなみずき』
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『はなみずき』と『しんえんなるうみ』(三人称)

(三人称)

「愚かなウジムシどもめ」


 真なる神々が眠りについて久しい。

その間、『彼』がウジムシと呼ぶ生き物は地にあふれ、世界を覆いつくそうとしている。

魔導帝国が崩壊して油断していた。『あの男』は殺しておけばよかったのだ。

今までは少し煽ってやれば剣と剣を用いてお互い自滅し、適切な数を保っていたのだ。


 しかし。

あの銀の車輪、赤い機械はなんだ。

何故連中は戦乱の中笑っているのだ。希望を捨てないのだ。

連中がこの世界に溢れることは阻止せねばならない。


 連中が持つ忌まわしいカードは神々の夢を侵食する。

真なる神々は何を考えているのだ。連中が夢の中に侵入してくるなど言語道断。


 早く手を打たねばならない。

あのカードを人間どもが持っている限り、この危惧は続く。

「とるに足らない寿命しかない生き物だから許していたが


 〇五年を超える個体は少ない。また、あのカードを手に入れる者も少ない。

一〇年、一五年。多くはそこまでに戦乱や飢餓で滅びる。

二〇年、二五年、三〇年。四十年を超す個体は中々いない。六十年となれば更にいない。

それでも、一人がそこまで生きれば倍々と『情報』は夢の一部を侵害する。

その影響は小さく僅かで、取るに足らないものだ。とるに足らないものだった。


「『神』の夢を侵害する皇族の末裔め」

彼の持つ水晶球には五人の同じ『生命の樹』を持つ娘たちが映っている。

「あまりの情報量にシステムエラーが起きたか」

魔導帝国が滅びて数百年になる。その間あのシステムを維持できる者はいない。

ソウルコードとマテリアルコードに若干の差異はあるが、本来ありえない光景が映っている。


 生物、事象を情報化させる試みは太古の魔導帝国にて完成した。

最初は文章、歌や絵画などを再現する程度のくだらないシステムであり、情報の保持も小さな魔導強化された純金の板で事足りた。


 やがて、歌や踊り、動く画像。生命の樹の情報、感情や身体の記録を行えるようになる。

そして、システムは更に進化した。生物や事象そのものを情報化、変換可能にした。

美容整形、身体能力強化。延命、蘇生。人間の領域を超え、人は神々の情報。『夢』を侵害していく。


 もはやこれまで。

五人の皇族の娘が動く映像を止め、彼は立ち上がった。

彼自らが動き、事態を収拾せねばならない。さもなくば『人間』ごときに神々の夢の一端を奪われる。

たとえ一端でも、彼、『しんえんなるうみ』には耐えがたいことであった。

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