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ファンタジー世界de『貸し自転車屋さん』始めました  作者: 鴉野 兄貴
第二十二章 天使と猫と『はなみずき』
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パンツとスカートと自転車と

 突然だが。この世界の人間は木繊維でできた貫頭衣のようなものを着ている。基本着替えは持っていない。

一応ズボンはある。しかし女性は我々の感覚で言えばズタ袋を頭から被っているようなものだ。横から余裕で乳が見える。もう横乳には慣れた。

たまに紐で引き締めている人もいる。こういう時のほうが「おおっ? 」となる。なぜだろう。

意外とファッションには煩い人間は多いので、同じズタ袋でも歴然とした差があったりする。


 で。ブラジャーやパンツはこの世界にはない。この状態で自転車に乗るとどうなるか。

当然。男も女もチンコ直撃である。男でもズボンを穿いていない奴いるし。

サドルに対する苦情は可也ある。


 とはいえ、サドルのスプリングやショック対策の数々はこの世界にはないものであり、

当初は凄く快適で尻具合が最高とサドルを意味なく盗もうとする人間が続出した。

サドルが取れないように高さを固定しているから無理だが。


「どうして取れない! 」


 ブチ切れるお客もいるが、盗ってどうする。

というか、スプリングを作る能力はこの世界にはない。

板バネのようなものを使ったホイール状の車輪は作れたが。


 アンジェラが借りた後の自転車に拭き掃除する様子を装ってセクハラを働こうとする馬鹿者も少なからず。

『はなみずき』は普段ズボンを穿いているのでアレだが、男どもの奇行に対しての女性陣からの視線は当然冷たい。



 そのアンジェラはウール製の全身タイツの分厚いようなものの上に木綿のスカートという装束が最近増えている。

全身タイツは鎧下らしい。彼女の美しい胸元が見えないのが大変残念であるがこれはこれで大変よろしいものである。


「これって上下に分かれないのでしょうか」アンジェラと騎士団の人々が議論している。

我々の世界で言えばユニオンスーツのように上下くっついているらしい。微妙に排便も不便だとか。

「でも貞操の危険を可也回避できますよ。気休めですが。うちの旦那は逆に興奮するけど」「変な事言うなっ?! 興奮していない! 」

『むらくも』は旦那であるウインド氏を何度も誘惑しようとしては失敗しているらしい。意地でも成人まで手を出さないつもりなのだろうが。

「あ~。旦那のいない隙に敵によって純潔を散らされたり、気の立った味方に汚されたりするかもしれないのにどうしてうちの旦那は」「どうやら議論をする余地が大いにあるようだな。『むらくも』」

相変わらず歳の差はさておき、仲が良い。ちなみにウインド氏は絶倫の人で通っていたのでかなり溜まっているハズなのだが。


「あ。この『靴下』。凄くよいですがこの締める素材ゴムは再現できませんよね」「このベルトを使えば行けるのでは? 」『禁書』を片手に提案する王宮の裁縫師。

やめろ。ガーターベルトを男が穿くな。キモイ。


「ジテンシャに乗るのに、もう少し股間を保護できたほうがいいですよね」「布は貴重だぞ」「快適さも重要です! 」

喧々囂々(けんけんごうごう)。譲らない女どもと男どもが議論する。

倉庫には結構下着屋が置いていた品があった筈なのだがいつの間にかごっそりなくなっていた。はて?


「となると木綿が要るのだが」「『花咲く都』との貿易が必要ですね」

「民間では既にこっそりやっている連中がいるのでそちらから」素材面でも揉めているらしい。

「編むというのはどうですか。『子供たち』の編み師は指で編むそうですよ」「簡易に大量に作れなければ意味がない」織り方や編み方でも揉めるらしい。

こうしてみるとぼくが元の世界から普段着ていた下着って技術の結晶だったんだなあと痛感する。


「魔法で解決しましょう」「却下」「魔導士が必要では意味がない」

困ったときは魔法頼みだが、それでは誰でも手に入れるわけにはいかなくなる。


 だいたい、この世界下着萌えという概念が無いんだよな。

だからグラビアを見せても『半裸で守れていない変な布鎧』に見える。

そうなると騎士どもは俄然今自分たちが着ている鎧下と比べての性能を議論しだすのである。

曰く。『暑い。暑いじゃなくて熱い。そして動きにくいくらい厚い』衝撃を吸収する意味でも厚くないとダメだろ。

「臭い」それは我慢しろ。『浄水』の魔法があるだけマシだ。

「排泄時面倒だ」意外と失禁や脱糞の危険が多いらしい。そりゃそうだな。ウンコのついた鎧下をずっと着ていたら衛生面でもかぶれるだろうし。


「これは洗濯しやすそうだ」大真面目に水着を着たアイドルを指さして女騎士が言うので感覚の違いを痛感する。

ちなみに鎧の掃除だが、青銅の鎧はさておき劣悪な鎖帷子は一応存在していて砂に突っ込んで磨いて洗う。


「尻部分をどうするかだな」「このすべて覆うタイプがよさそうだ」議論はまだまだ続く。

これは騎士たちだけではなく、普段鎧を着ない人々も呼んだほうがよさそうである。

しかしパンツとグラビア片手にあーだこーだ言っている連中はヘタをしなくても変態にしか見えない。

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