表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジー世界de『貸し自転車屋さん』始めました  作者: 鴉野 兄貴
第二十二章 天使と猫と『はなみずき』
70/128

しっぽの使者

 壊されたはずの自転車には傷一つない。

火球で吹き飛ばされ、氷の槍で砕かれ、蟲どもがたかったはずの自転車はもとのままだった。

代わりに現れた変な光景と言えば小さな木切れに無我夢中でしゃぶりつく黒猫だけ。


「ど、どうなっている? 」ぼくらが呆れているのも無視して黒猫は木切れにしゃぶりつく。

ものすっごくしっぽを動かしていると思ったら二本ある。どうなっている?


「皇女様。ご無事でしたか」どこからか女性の声がする。

思わず目の前の黒猫に目をやるが。「♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 」……まさかね。

夢中で木切れにしゃぶりつき、「美味い! 」とか言っている黒猫にそんな威厳はない。



 ゆっくりと空間が歪み、優美な細身の猫の姿となる。黒くつやつやした毛並。しなやかな動き。

そのしっぽはやはり二つ。「我が名は『タマ』と申します。『ポチ』の無礼お許しください」たま? ぽち?



 タマ曰く。

彼らツーテールキャットは猫族の王であり、その若者であるポチは一族の無念を晴らすべく勝手に海を越えて旅だってしまったという。

タマ言うところのポチは「皇女様のお人柄も理解せずにまず打倒のみを考えるなど、人間のように未熟」らしい。


 意味が解らん。どう間違ったら猫の王族が海越えて小国の皇女を自ら暗殺しようとするんだ。

ぼくらの視線を受けて額からダラダラ汗を流す『はなみずき』。

「まさか。あれか」心当たりがあるらしい。「アレでしょうね」何故かアンジェラも戸惑っている。

「何をやったんですか。皇女様。正直に話しましょう」



 冷や汗をかきながら皇女様はこうのたまった。

「『花咲く都』では猫は聖獣とされるのだ」ほう。

「試しに盾に吊るしてみたら敵の攻撃がピタリと止んだ」


 皇女様。皇女様。

そりゃ猫の王族の恨み買いますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ