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【コラム】生きててすみません

「私が書いていました。ごめんなさい」


 おい。適当言うな。仮想人格が書こうが俺が書こうが一緒じゃないか。この頃、一日の更新700文字前後ルールが破綻をきたしていたため『あまりにも面白くなくなっている、別の人が書いているのでは』というお便りをもらっていた鴉野と仮想人格である。


 さて鴉野と彼は某経典の聖地にいた。

 確かに今回ブツギリすぎて面白くなかったなぁ。


「というか、なろうの文字数って一話数万字入るでしょう」

「政治やら経済やら歴史やら文学やらの話を一エピソード数万字で語られたいか」


 知らない礼拝風景を横目に二人は歩を進める。


「絶対プラバっすね」

「だよなぁ。娯楽って難しい」


 宗教同士の過激な言説に眉を顰める鴉野と彼。この辺は宗教論争で殺し合いに発展することが珍しい日本人ならではなのかもしれない。


「あと、主人公最強なのに戦闘描写無いっすね」

「『最強』が暴力奮っていたら苛めじゃん。そして勝つとわかっていることに文字数裂く価値はないね」



「今回のお話って一行で言うと『知り合いぶっ殺された腹いせに酒呑んで暴れてそのついでに恐喝して和平交渉』ですよね」


 そーなる。個別で書こうと思ってしっくりしなかった酒の話と某国の和平交渉の話を混ぜるな危険した。


「マジ混ぜるな危険っすね」


 すいません。


 しっかし今回のロケ地ってまたすごいな。


 異臭と砂埃に目と眉を細め。時々見える赤いものに口を歪ませる鴉野。あちこち瓦礫が出来ている町を二人は歩く。


「まぁボクの唯一のチート能力ですし」

 変身もあるじゃないか。

「美女の仮想人格アシスタントを出して許されるのはリア充くらいと鴉野さんが言うから」

 確かに。


 何処かで人の泣き喚く声が聞こえる。


「今回の元ネタは外務大臣時代のA元総理ですよね」

「うん。仕事を作ることでテロ(戦争)やってる場合じゃねぇ! にした」



「合理的ですよね」


 むしろ誰も考えなかったのが不思議。

 しっかし娯楽って何なんだろうなぁ。


「ん? 何ですか?」


 主人公も言っているが、

 日本では仕事そのものが神すらやることで、当たり前で楽しいことなんだよな。


「そういえば、こっちの宗教の人では仕事は神罰でしたっけ」


 うん。その通りらしいよ。


 Aさんは『日本人並に働けるか』と言ったそうだ。


「働くことが平和なんですか」

「『働ける』ってことは平和な状態でないと出来ないよ」


「じゃ、働きたくないでござる! はダメなんすか」


 それは万民が考えることじゃね。Aさんは誰かの役に立ちたいって意味のことも含めていっていると思う。


「なんで同じ神様信仰していて対立しちゃったり、敵であるはずの異教徒なAさんが仲介しちゃうんです」



 それでも共通の敵(異教徒)が利益になる話を持ってきたら乗るしかない。ビックウェーブに。


 葬式を行っている傍を陰鬱な気分で通り過ぎる二人の男たち。


「娯楽を禁止している宗教の人って何が楽しいんでしょう」


 宗教じゃないかなぁ。鴉野は俗物で、女好きだからどうでもいいが。


「確かにシャシンを見る限り、今の日本人より生き生きしていますよね。お金ももらえないだろうに」


 不思議だよな。使命感を感じさせる。


「鴉野さんこの間ボランティア青年雇ってませんでしたか」


 聞き分けは良すぎるほど良くて覚えはいいんだけど。寝たまま連絡もしないままドタキャンするわ、タイムカード待ちするわ、入りたい時間を選ばせてあげたら週3時間しか入ろうとしないわ、それすらドタキャンするわ。


「働く気あるんすか? その人」

「知らん。一応つぶしが利く程度には優秀だったぞ」



 ボランティアの定義はさておき、この世で一番個人が世の中に役に立つことは自分を養う。もしくは最低自分の小遣いくらい自分で稼ぐことだと思うぞ。学生はまだしも。


「人間の使命感ってどこで生まれるんでしょうね」

「やっぱり、嬉しくないと使命感は出ないんじゃないかなぁ。犬なんか特に楽しみながら仕事するじゃん」


 小銃を片手に盛り上がる人々の脇を抜けて歩く二人。


「理想のため自分たちより強い相手に挑むのは美しいかもしれませんが」

 まぁ破滅だわな。

「娯楽って言うのは、自分も敵も味方も笑えるから娯楽なんじゃないすか」

 ほむ?

「もし、『神のために戦う』以外の戦い方、娯楽があればそっちで戦う選択肢もあるじゃないですか」

 わ、わからん。おまえの意見は高度すぎるよ。


 花をどうぞ。少女が花をくれたので鴉野はソレを受け取る。


「選択肢がひとつしかないなら、それに専念できて、元気一杯にやれるのは当然じゃないすか。『選択肢はない。だがスピードはお前が決められる』のほうが気合入るのかもです」



「本当は皆笑って生きたいんです。時々我々はソレを見失ってしまうだけなんです」


 その言葉を聞くか聞かないかの間に鴉野の持っていた花は爆発した。


 花を持っていた少女は鴉野に花を渡したときに母国語で小さく呟いていた。


「私たちの国のためなら死ねるわ」

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