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【コラム】ギルドカードと戦乱と

 水の都ベネツェアの石畳で舗装された道を鴉野と彼は歩む。


「ギルドカードと同じものがネットゲームにもあるぞ。ファイナ○ファンタジー11だが」


「鴉野さんもよくメタネタで使いますよね」


 綺麗な若い娘に手を振る二人。調子が良い。


「あれの『シグネット』って魔法は効果時間中、経済基盤であるクリスタルを得ることが出きるんだが」


 他にも移動サービスやら戦績アイテムやら恩恵は大きい。


「生産の際には炎のクリスタル、水のクリスタルとそれぞれ別途に必要とするため、生産活動を行う際は属性に合わせた敵を倒して得ないとダメ」


「面倒っすね」

 男達はゴンドラに乗り、異国の風を感じながら水の上の人となる。

「プレイヤーの活躍はシグネットによって国家レベルで管理され、コンクエスト政策といって各国領土に影響を与える。この世界では小競り合いを除いた戦争はないが、『民に貢献した政府』を世界が選出して、プレイヤー所属の三国の領土を決めている」



 設定上は超技術を持つが軍事力は低め(?)の『ジュノ大公国』が行うが。


「戦争のあり方すら、変えちゃうんですね。本来の用途で使えば」

「殺しあう道理がないしな」


 鴉野はアイスクリームを舌にからめた。さわやかで濃厚な味わい。


「今はコンクエスト対象外の世界がいくつも出来てしまって、形骸化しているけどね」


 初期ゲームデザイン案ではプレイ時間二時間ほどで切れるシグネット時間が終わったら解散だったらしい。


「シグネット。つまり身分保障が切れたら無収入なんですね」

「まぁ今は他にも金策増えてるけど、あの世界がプレイヤーの所得を大きく制限しているのは事実だ」


 おかげで現実世界の金があの世界に流入する事態になった。この辺は別の話なので割愛。


 ゴンドラの下から町を見上げる二人。橋の上の乙女のスカートの中が気になるのは男心である。

 本能なのであってある種致し方ないが、頑張って理性を働かせて欲しいところ。



「じゃ、ギルドカードが現実世界にあれば世界は平和になるってことですか?」


 鴉野は逡巡している。

 べつに頭上のおばちゃんがノーパンだったからではない。


「クレジットカードが発明されたのは1950年。俺達は今小さなメモリーカードに数ギガの情報を収めることが出来るが」


「ん?」

「お前、履歴書の情報量がどれほどか分かっているのか。母親の家計簿を三十年分自炊したとしてもたいした量じゃないぞ」


 鴉野は溶けてしまったアイスクリームを忌々しげに見つめて手を舐めた。


「かつてソビエト連邦は世界を思想で統一すべく、各国にスパイを送ると共に、紛争をつくり、武器を給与していた。今は国連の常任理事国が武器を作って」


 鴉野はそこで言葉を止める。


「そーいえば、アフリカとかの国相手にフェアトレード運動あったなぁ。そもそも誰が彼らを貧乏にして、誰が彼らに武器売っているのだろうな」



 二人を乗せたゴンドラは何処かに。


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