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15<二度目の夜と、さようなら>

4日ぶりの更新です。

本年もどうぞよろしくお願いします。




 私はしつこくドアノブをガチャガチャやり続けていた。

「……な、なんで開かないの?」

 ドアノブを回しても押しても引いても、扉は全く動いてくれない。冬だというのにだんだんと手は汗ばみ、頭もカッカしてくる。

 隣に立つ七緒が、「あ」と小さく手を打った。

「そういやちょっと前に聞いたことある。屋上のドアの鍵の調子が悪いって」

「はぁ!?」

 思い切り七緒の方に体を向けた拍子に、髪の毛がバサリと振り乱れて頬にかかった。

 きっと相当ひどい見た目になっていることは間違いなかった。だけど、それを気にするほどの冷静さを今は持ち合わせていない。

 下手したらこのまま七緒と2人きりで閉じ込められなくてはいけないのだ。よりによって今、一番サシで話したくない、失恋したばかりの相手と!

 そんな私とは対照的に、七緒はやけに落ち着き払っていた。ドアノブにもう一度手をかけた彼は静かに何度か回して、やっぱり開かないことを確認する。

「ドアを力任せに強く閉めるとその反動で鍵も回ってかかっちゃうんだって。だから今学期が終わるまでに新しい鍵に付け替えるんだってさ」

 私は先ほど、カモシカちゃんが屋上から出ていった時のことを思い出した。彼女は叩きつけるようにドアを閉め、鼻息荒く去ったのだった。きっとあれで鍵がかかってしまったのだろう。

 その場に崩れ落ちそうになる。

「今学期中って……! お、遅いよ……。もっと迅速な対応しろよ……!」

 事故が起きたらどうするつもりなんだ──まさに今みたいな。


 うなだれたままの私に、七緒がしゃがんで目線を合わせる。

「心都、お前ケータイは?」

 ハッと頭を上げる。

 そうだ。自分でドアを開けることは難しくても、外部と連絡をとって助けに来てもらうことはできる。

 地獄に仏ってこういうこと?

「七緒ってば頭いい!」

 制服の上着の内ポケットから白いケータイを取り出し、開く──。が、待ち受け画面(青空にハート型の雲が広がっているスペシャルな画像! これを設定しておくと恋が叶うというおまじないが有名らしく、華ちゃんがメールで転送してくれた)は一向に表示されず、いつまで経っても液晶は真っ暗だ。

 これは……。

「…………電池切れてる」

「……あぁ、そう」

 そういえば昼休みに確認した時には既に電池が5%くらいだったっけ。

「昨日ベッドに入ってからもずっとケータイでヤ●ー知恵袋見てたから……充電しないでそのまま寝てて……」

「ふーん。なんか調べ事してたのか」

「…………ちょっとね……」

『失恋』に関するひと通りのワードは検索し尽くしましたよ。


 私は今度こそ冷たい床に膝をついた。

 地獄に仏で、また地獄。

 全ての道が閉ざされた気がした。

 休み時間ならともかく、こんな冬の放課後に屋上付近へ近づく生徒はめったにいないだろう。

 外部との連絡手段はないし、七緒はケータイを持っていないアナログ野郎。

「ダメだ……終わった……」

「そんなこの世の終わりみたいな声出すなよ。別に死ぬわけじゃないんだから」

 七緒は相変わらずの飄々とした様子でそう言うと、ドアを背もたれに腰を下ろした。

 だから、あんたはさっきから、どうしてそんなに冷静でいられるの?

 ──こっちはこのタイミングで七緒と2人きりで閉じ込められているってだけで、もうどんな顔していたら良いのかわからないってのに。

「俺、鞄とか財布とか勉強道具とか全部図書室に置きっぱなしでここまで来てるんだよ。だから最終下校時間には図書委員の奴が戸締りまでに俺が戻ってきてないことに気付いて、何かしら対応してくれるだろ。……まぁ、最悪そこでも気付かれなかったとしても、夜には用務員さんが見回りの時に発見してくれるよ」

 別に私だって、一生このままだと思って絶望しているわけではない。遅くとも夜までにはどうにかなることだってわかっている。

 ただ、この閉鎖的な空間で、あんたと数時間を共に過ごさなくちゃいけないことが苦痛なのよ。

 しかも当の本人はいやにのん気で、『こいつと2人きりなんて全くもって何の問題もない、空気と一緒だ』とでも言いたげな態度だし。その自分の心の中との落差が、どうしようもなく複雑なのだ。


 私の非難がましい(九分九厘やつあたりだけど)目に気付いたのだろうか。七緒がちょっと慌てたようにとりなした。

「まぁ、だからそんな今にも死にそうな顔すんなって。のんびり待ってりゃそのうち出られるよ」

「………………ソウダネ」

「っていうか心都、なんであんな所にいたんだよ」

「ちょっと風に当たってたら、七緒たちが来て、明らかに告白な雰囲気だったから出るに出られなくなって……」

「ふーん……。なんか、悪かったな。こんなことになって」

「別に誰のせいでもないじゃん」

「……」

「……」

「暇つぶしにしりとりでもするか」

「……」

 彼なりの気遣いを感じる。

 私は拳5つ分くらいの距離を空け、七緒の右隣に座り直した。普段だったらもう少し近くに座っても平気だったと思うけど、今はこの距離が精一杯だ。

「よし、しりとりの『り』からな。りんご」

「……誤爆」

「熊」

「魔物」

「野原」

「乱闘」

「うさぎ」

「ギロチン台」

「……なんかさっきからちょっと縁起悪い単語ばっかり出してくるな、心都。わざとか?」

「そ、そんなわけないじゃん」

 本当にわざとではなかった。沈んだ気持ちのまましりとりに勤しんでいると自然と物騒な言葉ばかりが口をついて出てくる。

 こんなときに発見された自分の意外な才能(?)には驚かされるばかりだ。


 七緒が目を眇め、私をじっと見た。

「なんかお前……本当に相当変だぞ」

「えっ」

「今日一日……いや、昨日からずっと変だろ。視線合わせないし、顔白いし、目も死んでるし」

「そんなことない! 心都ちゃんいつもどおりだゾ! ぷんぷん!」

「その返しがもう普通じゃないって言ってんだよ」

 七緒がますます目を細める。

 このやろう。私の精一杯の空元気を「うわキモっ」とでも言いたげな視線で一蹴するんじゃない。

 変なのなんて、当然だ。自分が一番わかっている。

 5年来の恋が昨日終わったばかりだっていうのに、平静でいられるほど私は人間ができていない。

 もちろん、どうにもならないことは理解している。きちんと諦めるための心の準備段階にも入っている。

 だけど頭で理解していることと、この無視できない胸の痛みはまた別物だ。


「……七緒だってずっと変だよ」

「……はっ?」

 突然の私の反撃に面食らったのだろう、七緒がきょとんとした顔になる。

 あーぁ。その間抜けヅラは心底見飽きた。子リスちゃんにはあんまりそんな顔見せないほうがいいよ。前にも言ったけど、おニブちゃんがチャームポイントになるのなんて本当に若いうちだけなんだからな。

「七緒、ありがとうって言わせてくれなかったじゃん」

「……お前、結構根に持ってんのな」

 彼はすぐに何の件だか察したようだった。

 鼻血を出してブッ倒れたあの日、保健室で思いがけずに七緒からもらった、怒りにも近い激励の言葉。その翌日にまさかの「昨日のことは全部忘れろ」宣言をされた衝撃は今も忘れない。

 何度も言うけど私って相当しつこいのよ。なんてったってさそり座だからね!

「でも言いたいから今言っとく」

 幸いここには逃げ場もない。

「勇気づけてくれて、どうもありがとう。その節はいろいろ心配させてすんません」

 何日遅くなったかわからないくらいだけど、ともかくようやく感謝の気持ちを伝えることができた。

 七緒も今度は遮ったりせず、黙って聞いてくれた。表情は決して笑顔じゃなく、なんとも言い難い微妙なものだったけれど。

「私、正直すんっごい見栄っぱりだったの。進路でぐずぐず悩んでることも、模試がD判定なことも、七緒に知られたくなかったの。七緒の前でかっこつけたかったんだよね」

「……」

「だからあの時まで言わなかったんだけど……結果的にそれが一番心配かけてたんだよね。けっこうマジで反省したよ」

 私は七緒の目を見つめ、自分でも驚く程しっかりと喋れていた。

 ついさっきまではあんなに2人きりが嫌だったのに。

 相変わらず胸は痛いし、涙は出そうだし、出来ることなら今すぐ施錠されたドアを突き破って出て行ってしまいたいけど。

 今ここで言わなければ、もう一生チャンスはないんじゃないかというよくわからない予感が、私をその場に踏みとどまらせていた。

「……そんなん、俺だって」

 七緒がぼそりと呟く。表情は相変わらず硬く、怒っているのかと思うような難しい顔だ。

「進路だって悩んだし、勉強だってしんどい時あるし、山上が雑誌にデカデカ載ってた時だって、……すげーなって思う反面、あいつはあんなに立派なのに、俺は高校行ってちゃんと柔道部で通用するのかとか不安にもなったし」

 最期の言葉には驚いた。『月間 中学柔道』に山上がスーパー有望選手として紹介されていたのを見た時、私の隣にいた七緒は感心こそすれ負の感情を感じさせるような言動は一切なかった。

 だけど、胸の内にはやっぱり色々な思いがあったようだ。

「だけどそんなんカッコわりぃだろ。ダサすぎるだろ。……だから、知られたくないから……やっぱり、絶対口に出しては言いたくなかった。お前と同じだよ」

「はぁ……」

 思わず深くため息を吐いてしまう。

「全然わからなかった。七緒、表情に出さないんだもん」

「ま、早い話がカッコつけなんだよな。俺も心都も」

 ふっと七緒の表情が緩む。

 困ったように笑う彼の表情──近頃増えてきた、大人に見える幼馴染みの顔だった。もう何度目だろう、この表情を見て、その度ちょっと不思議な気持ちを味わうのは。


「……幼馴染みだけど、わからないこともあるんだね」

「そりゃそうだろ」

「でもね、やっぱり幼馴染みだからこそわかっちゃうこともあるんだよ。……七ちゃん、」

「ちゃん付けするなよ」

 毎度毎度の訂正が入る中、私はほんの2日前と全く同じ言葉を彼にかけようとしている。

 一度は完全否定された問いだった。

 だけど今はあの時とは全く違う気持ちで、確信を持って言える。

「大切な女の子ができたんだなぁってことは、最近の顔見てたら……わかるよ、それくらい」

 幼馴染みだもの。

「……」

 七緒にこの話題を自分から振れるのは、もっと先になるかと思っていた。

 だけどどうしてだろう。今このタイミングでこの話を切り出すのは、決して無理なんかをしているわけじゃなく、とても自然なことに思えた。


 七緒は眉間にしわを寄せ、ふてくされたような顔で、目を伏せた。でもどうしたって耳元が赤いのは隠せていないわけで、私はそれを見て思わず自分の口をおさえた。

「……笑うな。……だったら、なんだっていうんだよ」

 七緒は否定しなかった。

 彼の口からだいぶ決定的な言葉を聞いてしまったけど、私は思ったよりショックを受けていない自分に気付く。

 むしろ、昨日より、さっきより、よほど落ち着いた気持ちで彼と向き合えている。

 ──本当に、どうしてだろう?

「良かったね。七緒あんなにモテるのに全然女の子の話しないからちょっと心配してたんだよねー。もしかしてそっち系? ってさ」

「……」

 あれ。怒らないのか。

 七緒は相変わらずのしかめ面だけど、それでも静かに押し黙っていた。いつもだったら怒涛の勢いで歯向かってくるのに。

 まぁ、確かに茶化すような話題でもないのかな。七緒があまりにも居心地悪そうにしているから、つい和ませようとして失敗した。

 ちょっと反省して襟を正すと、再び七緒に向き直る。ここからはちゃんと真面目な『恋バナ』だ。

「ねぇ、それ誰? 名前教えてよ」

「はぁ?」

 信じられない、といった顔の七緒が私を凝視する。

 いや、本当は七緒の彼女が子リスちゃんという小動物系の健気で可愛らしい女の子だって知っているけども。それは七緒には言えないし(だってそうなると話は夏にまでさかのぼり、その時の私の覗き見行為も同時にバレる)、そもそも彼女の本名を私は知らないのだから全くの嘘というわけではない。

「いいじゃん。教えてよ」

 先程のしりとりなんて比じゃない、世にも物騒な目つきで私を睨みつけた七緒は、低い声で答えた。

「お前にだけは、絶っっ対、死んでも教えない」

「えぇー……」

「何が『えぇー』だよ。今年の初めにお前に遊園地で言われた台詞、こっちもそのまま返してやるよ」

 確かにあの時は私も、好きな人の情報を七緒に一切教えなかったけど。そしてそれを「恥ずかしいから」の一点張りで強引に乗り切ったけど。

 七緒も結構根に持つタイプらしい。人のこと言えないじゃないか。

「じゃあ、その子のどこが好きなの? それだけ教えてよ」

「お前、今さっきの俺の言葉聞いてたか?」

「いーじゃん、恋バナしよーよー」

「……自分はどうなんだよ」

「え?」

「もうだいぶ長いこと片思いしてる『好きな人』とやらの魅力。人に聞くならまず自分が先に言えよ。これコミュニケーションの基本だぞ」

「……」

 まさかの形勢逆転、今度は七緒が私に詰め寄る番だった。

 思わず言葉を失う。だって、いくら相手に自覚がないとはいえ、本人を目の前にしてどこが好きか答えさせられるなんて、こんな辱めってありえる? もしかしてこれも変態行為への罰なの?

 私は自分の顔が赤くなっていないことを願った。

「……ま、まっすぐなところかな」

「ふーん」

「なんで好きなのかなんて正直もうわかんないくらいなんだけど。あえて言葉に出すなら、まっすぐで、なんだかんだ優しくて、ほんと良い奴だから……好きなんだよね」

 まぁ、そんな恋ももう終わっちゃったんですけどね。

 もちろんそこまでは七緒に言えず、私は「はい終わりっ! 次あんたの番!」と仕切り直した。


 まさか私がここまで大真面目に語るとは思わなかったらしい七緒。逃げられないことを察したのだろう、妙な汗をかいている。

 難しい顔のままきっかり30秒黙り込むと、やがて、観念したようにぼそりと呟いた。

「……バカなところ」

「ば……ばか?」

「うん」

 ちょっとそれ悪口じゃないの? と言いかけて、やめた。

 七緒は相変わらずぶっきらぼうで、不本意そうではあったけど。「バカ」と言うその表情の中に、大きな愛しさと、少しの切なさが溶けているのに気付いてしまった。

 こんな七緒は初めて見た。

 あぁ、彼にこういう顔をさせているのは子リスちゃんなんだな。

 私には一生かかってもできそうにない、そんなすごい力を彼女は持っているんだな──。

 きっとこの「バカ」には、私には計り知れないほどの愛が込められている。


 そのことに、気付いてしまったから。


「愛しさと切なさと心強さとー……?」

「何急に歌い始めてんだよ。しかも最後は疑問形って」

「いや急に頭に流れてきて。ここから先わかんないんだけど」


 ストン──と、あっけない音を立てて、何かが心の中に落ちた気がした。


 昨日からずっと色褪せて見えていた周りの景色が、急激に鮮明になる。

 悲しみやジレンマや嫉妬、自分の中にあった嫌な感情が、ゆっくりと失くなっていく。

 跡形もなく魔法のように消え去ったのではなく、きちんと吸収されて、私の中の栄養になった──そんな感じ。

「……すごっ」

「何が?」

 不思議そうに私を見やる七緒。

 悪いけどその問いに答える気は一生ない。


 すごいよ。

 自分が失恋を乗り越えられる瞬間を、こんなにハッキリ感じられるなんて思いもしなかった。


「あのさ、真面目な話。私、七緒には絶対幸せになってほしいんだよね。幼馴染みとして」

「……だから、急になんだよ。この右手は」

「握手! 祝福と、激励の握手! 愛を逃すなよっていうエール!」

 七緒はしばらく怪訝そうな顔で私と右手を見比べていた。

 しかし、やがて少し真剣な顔になると、自分も右手を差し出してくれた。

「お前も頑張れよ」

「……ありがと」

 その言葉が聞けただけで、もう十分。お釣りがくるくらい。

 幸せだ。

「……心都、なんでちょっと涙目なんだよ?」

「いや、なんかアレだよね。七緒のこんな話初めて聞くからさ、娘を嫁に出す親父の心境っていうか」

「だ、れ、が! 誰が嫁に行くんだよアホ」

「へへへ」

「……」

「七緒こそ、なんかちょっと八の字眉になってるけど大丈夫?」

「……殴られたところが今更痛くて」

「アッパー綺麗に決まってたもんね。顎割れてない?」

「大丈夫だよ」

 七緒が右手を離し、勢いよく立ち上がった。

 数秒後、私の視界は塞がれ、真っ暗になった。

 七緒が自分の紺色のブレザーをこちらにバサリと放ってきたからだ。乱暴によこされたものだから、頭からかぶってしまった。──さっきから寒くてくしゃみを我慢しているの、気付かれちゃったのか。


「なんか色々わかったし、もう大丈夫だ」


 七緒は『大丈夫』と2回言った。

 2回目は何に対しての『大丈夫』なのだろう。

「……七ちゃーん?」

 鈍くさい私は未だブレザーの波の中を彷徨っているから、彼の表情は全く見えない。

「七ちゃんって言うな。……心都、ほんと頑張れよ。お前に幸せになってもらわないと……俺だって困るんだからな。幼馴染みとして、一応」




 私のモヤモヤを消してくれるのは、いつだってそのモヤモヤを作った張本人──七緒なのだ。

 あんな愛情のこもった表情をいくつも見せられて、そのあと真剣に私の応援までされて。もう、参った、参った。

 白旗を上げたい気分だ。

 こんなの、七緒の幸せを願いたくなるに決まっているじゃない。

 恋に敗れたことを悲しむより、そっちの応援の気持ちの方のが大きくなっちゃうじゃない。

 今はまだ私と深い恋バナは「一生しない」らしい彼だけど。

 きっとそのうち笑って色々話せるようになる時が来るよね。

 七緒が私に子リスちゃんの本名を教えてくれて、私も「実は昔、あんたのこと好きだった時期があるんだよねー」なんて軽く言える時が。


 美里に報告しなきゃ。

 私は思ったよりもだいぶ早く「大丈夫」になっちゃったよ。











 * * * * 









「おーい、無事か?」

 用務員のおじさんの、素っ頓狂な声と共に鉄の扉が開いた。

「寒かったー!!」

 私と七緒はおじさんに飛びつかんばかりの勢いで、一時的な密室から脱出したのだった。

 もうすっかり日は暮れ、冬の夜空に星が輝き始めていた頃だった。


 ありがとう。

 今度こそ、さようなら、私の初恋──。








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