転生して異世界で出会った超可愛い子供達
「……いいか、俺の依頼料は高いぞ」
「おお、受けてくれるのか! そりゃ助かった」
農園を経営しているという男は、困り果てた様子で俺に不作の調査を依頼してきた。報酬は銀貨100枚。
(ふむ、悪くない。転生直後の資金稼ぎにはもってこいだ)
「じゃあ、あっちに見える農園から調べてみてくれ」
「わかった。すたすた……」
俺は意気揚々と歩き出した。だが、ふと気づく。
「あ、おい! 報告はどこに……くそ、行っちまった。まあいい、農園主なら街で聞けばすぐわかるだろ」
そんな俺に、通りすがりの男が声をかけてきた。
「なぁ、あんた」
「あ? お前も依頼か?」
「いいや。それより、あっちに走っていった少女を追いかけなくていいのか?」
男が指差した先には、風のように路地を駆け抜ける小さな背中。
「……何でだ?」
「あんたがさっきの男と話してる隙に、あんたの財布……スられてたぞ」
「そんな馬鹿……あ、ああくそ!!」
慌てて腰を叩くが、そこにあるはずの感触がない。
「どっちへ行った!?」
「向こうの角を曲がっていったよ」
「恩に着る!」
俺は必死に路地裏を駆け抜けたが、そこにはただ、湿った壁と野良猫がいるだけ。
「………………くそ、見失っちまった。あのクソガキが……!!」
(完)
リライト特別超過ep。2022→2026
「おいガキ共、ちょっと話が……って、お前ら何やってんだ?」
路地裏でしゃがみ込む子供たちに声をかけたが、返ってきたのはあまりに冷酷な一言だった。
「見れば分かるじゃん。蟹の手足、一本ずつ捥いで遊んでんだよ」
「レイー! あっちでデカいカエル見つけたぞ! 尻に魔法石突っ込んで破裂させようぜ!」
(……なんて残酷なガキ共だ)
戦慄しつつも、俺は本来の目的を思い出す。
「おい、そんな事より、この俺から盗んだもんがあるだろ。とっとと出せ」
「知らないよ。なあレイ?」
「そうそう、知らなーい、知らなーい」
「嘘言ってんじゃねーよ! さっさと出せ!」
食い下がる俺を、子供たちは嘲笑うように囲んだ。
「証拠でもあるのかよー!」
「そうだそうだー! 証拠! 証拠! 証拠! 証拠!」
リズムに乗った煽りコール。俺の血管が切れそうになったその時、リーダー格の少年がニヤリと笑って懐から何かを取り出した。
「なあ、おっさん。これのことか?」
チャリンッ
「なっ!? お前、やっぱり……!」
「ほら、これだよ」
俺が慌てて手を伸ばした、その瞬間。
「ぽいっ」
少年は、何の未練もなく財布を隣の深い井戸へと投げ捨てた。
ぽちゃん、ブクブクブク……
「あ……」
呆然とする俺を尻目に、ガキ共は一斉に駆け出す。
「ばーかばーか、べーだ! 子供相手にムキになってんじゃねーよ、うんこ野郎ー!」
「うんこ! うんこ!」
遠ざかる罵声を背に、俺はただ、泡を吹いて沈んでいく財布を見つめるしかなかった。
「……クソガキ共が」
(完)




