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異世界転生したら知識神のスキルがチートすぎて、 冒険者なのに国家と神と魔王に目をつけられました  作者: 蒼月アルト


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第7話 隠しきれない異常

火喰い洞の討伐報告を終えた瞬間、

ギルドの空気が、わずかに変わった。


「……え?」


受付嬢が、依頼書と討伐証明を交互に見比べる。


「討伐対象、

《火喰いの岩魔(マグ=ゴルム)》……?」


周囲の冒険者たちが、ぴくりと反応した。


「それ、Fランクの依頼だよな?」

「いや、最近“中型に育ってる”って話じゃ……」


ざわ、と声が広がる。


(まずいな)


俺は、内心でため息をついた。


「依頼内容にあった魔物です」


できるだけ淡々と、事実だけを述べる。


「……でも、この魔石」


受付嬢が、赤く脈打つ魔石を持ち上げる。


「サイズが、

Fランクの想定を超えてます」


(ですよね)


ミルフィが、無邪気に手を振った。


「強かったよー!

でもレオンの指示が的確でさ!」


……余計なことを。


「ちょ、ミルフィ」


小声で制止するが、もう遅い。


「指示?」


隣の冒険者が、興味深そうに聞き返す。


「斥候と聖剣士がいて、

後ろで指示だけって……

それ、どこの戦術家だ?」


アイリスが、一歩前に出た。


「連携が良かっただけです」


即答。


「彼は――」


一瞬、言葉を選び。


「冷静な判断ができる人です」


それだけで、済ませた。


(ありがとう、アイリス)


だが――

完全には、誤魔化せない。


報酬を受け取る頃には、

ギルド内の視線が、明らかに増えていた。


「新人で、あの討伐はおかしい」

「斥候と聖剣士を完璧に動かした?」

「いや、運が良かっただけだろ」


運。


その言葉に、

逆に違和感が集まる。


(運で説明できる範囲を、

少し超えたな)


「……ねえ、レオン」


ギルドの片隅で、

ミルフィが声を潜める。


「やっぱりさ、

レオンって普通じゃないよね?」


「……そうか?」


「うん。

でも――」


尻尾を揺らして、笑う。


「嫌な感じじゃない!」


それが、妙に救いだった。


アイリスは、少し離れた場所で

腕を組み、周囲を観察している。


「……注目され始めてるわ」


低い声。


「新人にしては、

目立ちすぎ」


「抑えるつもりだったんだが」


「抑えられてない」


即答だった。


「あなた、

“普通に振る舞う”のが

一番不自然なのよ」


……手厳しい。


「それに」


アイリスは、俺を見る。


「あなた自身が、

自分の力を

正確に測れてない」


(図星だ)


《アーカイヴ・ロジック》は、

数値を示す。


だが――

“社会的影響”までは、

演算できない。


その夜。


宿の部屋で、

俺は一人、天井を見つめていた。


今日一日で、

いくつもの視線を感じた。


好奇。

警戒。

嫉妬。


(まだ、序盤だ)


Fランク。

ただの新人。


それでも、

もう“記録”は始まっている。


《アーカイヴ・ロジック》が、

微かに警告を出す。


――観測者増加

――記録照合中


(……誰だ)


神か。

国家か。

それとも――


翌朝。


ギルド前が、妙に騒がしかった。


「おい、聞いたか?」

「新人パーティが

中型ダンジョンを

安全攻略したらしいぞ」


「しかも、

指示役がいるって」


(噂、早いな)


ミルフィが、楽しそうに言う。


「ねえねえ!

なんか有名人っぽい!」


「喜ぶな」


アイリスが、ぴしっと言う。


「有名になるのは、

必ずしも良いことじゃない」


その通りだ。


そして――

その“悪い方向”は、

すぐに現れた。


「――レオン=アルケイオンさんですね?」


振り向くと、

見知らぬ男が立っていた。


冒険者ではない。

服装が、整いすぎている。


「王国冒険者管理局の者です」


(来たか)


「あなたの戦闘記録について、

少しお話を伺いたい」


アイリスが、

一歩前に出る。


「任意ですか?」


「ええ。

“今のところは”」


その言葉が、

妙に引っかかった。


俺は、静かに答える。


「……話だけなら」


男は、微笑んだ。


「ありがとうございます」


だが、その笑みは――

どこか、“値踏み”するようだった。


(英雄は、

こうして捕まるのか)


その実感が、

胸の奥に、静かに沈んだ。


――隠すつもりだった力は、

もう、隠れなくなっている。


それでも。


まだ俺は、

冒険者でいたい。


次の依頼が、

その境界線になると――

この時は、まだ知らなかった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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