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異世界転生したら知識神のスキルがチートすぎて、 冒険者なのに国家と神と魔王に目をつけられました  作者: 蒼月アルト


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第6話 火喰い洞と、光の初陣

廃坑の奥へ進むにつれ、空気が変わっていった。


熱を含んだ風。

岩肌に走る赤い筋。

かすかに漂う硫黄の匂い。


「……暑い」


ミルフィが額の汗を拭う。


「ここ、元は鉱山だけど

最近“火属性化”してるみたいね」


アイリスが周囲を警戒しながら言った。


「火属性化?」


「魔力の偏りよ。

放っておくと、魔物の質が変わる」


(なるほど)


《アーカイヴ・ロジック》が、即座に補足する。


――魔力濃度:上昇

――環境属性:火

――発生確率:中〜高


(ダンジョンが“育ってる”)


これは、ただの廃坑じゃない。


「止まって」


俺は、低く言った。


二人が足を止める。


「ここから先、

通路が三本に分かれてる」


アイリスが、目を細める。


「見えないけど……」


「正面は囮だ。

魔力反応が不自然に多い」


ミルフィが、耳を澄ませる。


「……確かに。

音が反響しすぎ」


「左は行き止まり。

右が本命だ」


「……どうして分かるの?」


アイリスが問いかける。


俺は、少しだけ言葉を選んだ。


「……洞窟が、

“そう作られている”」


完全な説明は、できない。


だが、二人は頷いた。


右の通路を進むと、

広い空洞に出た。


天井は高く、

中央には、赤く輝く岩塊。


「……あれ」


ミルフィが、声を潜める。


岩塊が、動いた。


否――

中から、何かが立ち上がった。


溶岩のような体。

岩でできた四肢。

胸部に、赤く脈打つ核。


《火喰いの岩魔(マグ=ゴルム)》

HP:1,280

弱点:核部(冷却時)

特性:火炎吸収・衝撃耐性


――ボスだ。


「……大物ね」


アイリスが、剣を抜いた。


淡い光が、刃を包む。


「アイリス」


俺は、即座に指示を出す。


「正面からは削れない。

核が露出するのは、

火炎を吐いた直後、約1.5秒」


「短いわね」


「十分だ」


ミルフィが、にっと笑う。


「じゃ、あたしが誘う?」


「頼む。

無理はするな」


「了解っ!」


ミルフィが、風のように走る。


岩魔が唸り、

巨大な腕を振り下ろす。


――遅い。


(でも、重い)


「アイリス、

右斜め前へ半歩」


「了解!」


振り下ろされた拳が、

ギリギリで空を切る。


「……っ!」


衝撃で、床が割れる。


(直撃したら、致命傷だ)


岩魔が、胸を大きく反らした。


――来る。


「ブレス、来る!」


次の瞬間。


灼熱の火炎が、

前方を薙ぎ払った。


だが――

ミルフィは、既にそこにいない。


「今!」


火炎が収まった瞬間、

胸部の核が露出する。


「行くわ!」


アイリスが踏み込む。


剣が、光を増す。


「聖剣術・第一式――

《ルミナ・スラッシュ》!」


光の斬撃が、一直線に走る。


――命中。


核に、深い亀裂が入る。


岩魔が、咆哮を上げた。


「効いてる!」


ミルフィが叫ぶ。


だが、岩魔は倒れない。


周囲の岩が、集まり始める。


「再生する……!」


「もう一度、核を叩く必要がある」


俺は、即座に次の手を示す。


「ミルフィ、

左壁を蹴って、上から撹乱」


「無茶言うね!」


「できる」


一瞬の沈黙。


そして――


「……信じるよ!」


ミルフィが、壁を駆け上がる。


岩魔の視線が、上に逸れた。


「今度は、確実に終わらせる」


アイリスの声が、震えていない。


剣を両手で構え、

深く息を吸う。


「レオン」


「?」


「ありがとう。

迷わず、戦える」


その言葉に、

胸の奥が、少しだけ熱くなった。


「……集中しろ」


「ふふ、了解」


火炎。


露出。


「――今!」


アイリスが、全力で踏み込む。


光が、爆ぜた。


核が、砕け散る。


岩魔の体が、

音を立てて崩れ落ちた。


沈黙。


そして――


「……やった?」


ミルフィが、恐る恐る近づく。


崩れた岩は、もう動かない。


「討伐、成功ね」


アイリスが、剣を納めた。


その手が、少し震えている。


「……怖かった?」


俺が聞くと、

アイリスは正直に頷いた。


「ええ。

でも――」


一拍置いて。


「あなたの指示があったから、

前に出られた」


ミルフィが、満面の笑みを浮かべる。


「ね!

即席パーティ、

めっちゃ相性いいじゃん!」


俺は、崩れた岩魔を見つめた。


《アーカイヴ・ロジック》が、

静かに評価を更新する。


――このパーティ、成立可能。


だが同時に、

別の警告も浮かんだ。


――観測対象、増加。

――異常値、記録中。


(……見られてるな)


誰かが。

どこかで。


この初陣は、

ただのFランク依頼じゃなかった。


確実に――

“何か”が動き始めている。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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