表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

もう、いない。

作者: 愛賀綴

 墓じまい。

 自分ではできず、業者にお願いした。


 私の人生の後ろに続く者は、ない。

 子孫が続くことを前提とした死を取り巻く社会が息苦しいと思うこともあった。

 子に恵まれるかどうかは未知数で、人によっては子を望めない、望みたくないなどの事情を抱えることもあるだろう。子がほしいと望んだけれど恵まれなかったこともあるだろう。

 だいたいにして世の中は、圧倒的多数の声が当たり前。それは否定はしない。

 少数派の意見のすべてを取り入れていたら、身動きが取れなくなりそうなことも起きかねない。


 ただ、聞いてほしいと思う。

 そういうこともある、と。


 墓じまいを考えた際、墓を立てたときの費用の書類がでてきた。死んでからもこんなにお金がかかるなんてと笑ってしまった。

 墓をなくすのにかかる費用にも笑ってしまった。


 先祖供養などをするのはいいことだけど、墓って本当にいる? と思ってしまったのも事実。

 土に、海に、還ればよく、亡くなった人を偲ぶ人の心に遺ればいいんじゃないのかなって。


 人は二度死ぬという言葉を聞いたことがある。

 実際に亡くなるのが一度目。

 亡くなった人を覚えている人が誰一人もいなくなったときが二度目。

 そして、二度目を過ぎた墓と、亡骸をどうするのかで困るなら、最初から亡骸を保管する行為がなくなればいいのに、と。


 スマートフォンの通知音にハッとして見れば、海洋散骨証明書と写真などがメールで届いた。


 終わった。


 私が亡くなるときは、誰も私の最期の後始末をしてくれる人はいない。

 行政が困らないように遺書は残しておこう。

 葬儀はいらない。墓もいらない。火葬して、一番安い手段で骨となった私を処分してほしい、と。


 姉を見送って、住んでいた部屋のものを処分していたら姉の日記が出てきた。

 何気なく読んでしまったが、毎日書いていたものではなく、最期の数年を一人でいた姉が、寂しいときに吐き出していたもののようだった。

 亡くなってからでは遅いと何度となく聞いた言葉が心に鋭く突き刺さる。

 血の繋がりなど関係なく、電話でもう少し話をしてやればよかったと後悔しても、もう姉はいない。


 もう、いない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

本編完結!
「チビと私の平々凡々」もよろしくお願いします!
https://ncode.syosetu.com/n3295jf/
◆◇◆

【愛賀綴のSNS】
基本同じことを投稿しています。どこか一つを覗けば、だいたい生存状況がわかります。小説執筆以外にも雑多につぶやいています。

― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ