心の扉 忘れられない思い出
誰にでもやって来る一日の始まり
当たり前のように思えて、気づけば流れていく。
この日は、春先を感じさせるあたたかな陽気だ。
眼をあけると、カーテンから漏れる
まぶしいながらも優しい日の光は
顔一面に降り注ぎ
ほんわか火照り温かさを帯びる
手を当てると感じた。
日の光のありがたみを一層感じるほどに、、、
朝日 楓それが私の名前だ。
この名字なのは、改めて偶然な気はしなかった。
今日は彼と暮らし始めて、3回目のクリスマスの特別な朝だ。
年に一度の
クリスマスと言うこともあり、もちろんプレゼントも買った。
渡した時の
彼の満面の笑みが頭によぎり、私を離さない。
想像が私の中で広がり、勝手にニヤつきが止まらなくなっていた。
時計を見ると短い針は、17時を示していた。
(彼は18時には仕事が終わる。この時間に作れば十分間に合う。今日はどこに行こうかな?)
そう、彼と一緒ならどこでも良かった。
木目調の階段を
鼻歌まじりで一階に降りていく。
彼と協力して料理を作るはずが
いつの間にかキッチンに立つのが私の仕事になった。彼は仕事が忙しく自然とこうなっていった。
私も家事が苦手な方だが、彼の無邪気な笑顔と食育だと思うと頑張れた。
その日も
眠気をぐっと堪えいつも通り笑顔を作り、自分にスイッチを入れた。
◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆
私が思い浮かべるメニューは、いつの間にか彼をなぞっていた。
忘れたはずなのに 自然と彼のことを思い出す
ジュー。 その音で我に返る
フライパンからあふれ出る香ばしい音に、私はよだれを飲み込み隠せずにいた。
食器棚に手をかけ、三段目においてあるお気に入りのお皿を取り出す。
そして食卓に並べられた、食材のかぐわしい香りが鼻を抜ける。
トーストと目玉焼き。そしてヨーグルト‥。