宇宙人が置いていったカプセルのパスワードをなんとしてでも当てたいっ!
『第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』参加作品です。
感想欄ネタバレOKなので、ネタバレお嫌いな方は『本文→感想欄』をお勧めします。
砂漠の一隅にある日こつぜんとカプセルが現れた。
成分を分析したところ『地球上にはない金属でできている』ことがわかった。騒然となる。
たまご型のカプセルの真ん中にポツンとダイヤル錠がはまっていた。ダイヤルは7つ。ツルンとしたボディに継ぎ目は見当たらない。パスワードを当てられれば、中が見れると予想できた。
1番左のダイヤルをコロコロと動かしてみると10個の見たことのない記号が現れた。おそらく、数字だ。
10字7ダイヤルの総数は1000万通り。現代のコンピュータなら造作もなくパターンを導き出せる。
研究者たちは色めきたった。
試しに『◯◯◯◯◯◯◯』『◯◯◯◯◯◯⬜︎』『◯◯◯◯◯◯△』……と30回合わせた段階で『カチリ』と音がして全く動かなくなってしまった。
「しまった! ロックがかかった!」
宇宙人の残した貴重な『置き土産』のため壊すわけにはいかない。継ぎ目がないのでこじ開けるのも無理。24時間たつとなぜかまた動かせるようになった。何回試しても同じ結果になる。
「パスワードを試せるのは1日30回までだ!」
コンピュータで数十秒あれば解けるパスワードといっても、1日30回しか動かせないのではらちがあかない。だがどうしても宇宙人のお宝が見たい。高度な文明がダイヤル錠をつけてまで守りたい物。人類の叡智を超えているのは間違いない。
1日30回。1年で10950通り。全て回すと914年かかる。
研究者たちは毎日、毎日ダイヤル錠を動かした。
恐ろしく頑丈にできているのだろう。いくら回してもダイヤルは壊れなかった。
800年の月日がたった。
今日も指定された順番に7桁のダイヤルを合わせた途端にだ。
ポンッと音がして真ん中が横一線に割れた。1センチほどの隙間ができる。慌てて上部を動かすとガコッとふたが開いた。
「やったぁぁぁぁぁぁ!!!」
研究者たちは抱き合った。あまりに長い解錠だった。泣き出す者がいる。シャンパンを用意するためワインセラーに走る者がいる。
我れ先にと中を覗き込んだ。
「「「「あれ…………」」」
これ砂じゃない?
調べたところ間違いなく砂だった。しかも最初にカプセルを見つけた砂漠の砂!
座り込む研究者たちの誰かが言った。
「いや、確かに『お宝』だよ宇宙人にとっては」
我々が火星や月の岩石をお宝だと思うように、宇宙人にとって『地球の砂』はお宝だったのだ。
「……持って帰りたかったろうになあ……」
それぞれ笑って星を見上げた。
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ちなみに現代のコンピュータだとわずか11秒で当該数字を当てられたそうです。
『スマートフォン・サイバー攻撃対策ガイド「インターネットバンキング情報窃取』日本スマートフォンセキュリティ協会
https://www.jssec.org/column/20210301.html
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