第十話
「3」が出たので進むと、「天才のわずらい」と書いてあった。
ワズライの方は難しくてよく分からないけど、天才か~、羨ましいよ。
私は頭があまり良くない方で、テストだっていつもビミョーな点数。
うちのお年玉は成績に連動してるらしくて、今年のは去年より減ってた。悲しい。
でも、頭いい友達は「テストの点は100点が普通だから、持って帰っても喜ばれたりしないよ」って言ってたっけ。そういうことがあるのが、天才のワズライってやつなんじゃないかな。
でも友達は持って帰れないテストを給食の食パンと一緒に机の奥に突っ込んじゃうなんてことはしないんだろうな。
あああ、思い出した、あのテストとパン、まだ出せてない。てことは、冬休みの間、テストとパンはずっと机の奥に?
バカのわずらいの方が深刻だよ~。
座り込んで唸っていると、後ろに人の気配がした。こんな所に来ないで~とうんざりしながら振り返ったら、さっき会った女の人だった。
「大丈夫ですか?」
女の人は私が気分を悪くしていると思ったのか、背中をさすってくれた。
「ああ、うん大丈夫……ありがとう、お姉さん」
「良かった……。でも、この3マス先に、『20マス戻る』があるので注意してくださいね」
ええっ。そんな、プレッシャーをかけるようなことを……!
お題:天才のわずらい 必須要素:パン