俺、スライムになっちまった・・・第8章
第8章 ー 救出(2) ー
伊勢湾岸道路 名古屋中央インターチェンジ、恵那SAから一時間ちょっと・・・
「予定どおりだな、じゃあ、近くまで行ったら予定通りに頼むぞ。」
「了解です、マキをお願いしますよ。」
「ああ、任せろ。」
アジトと確認したビルから30m、周りに監視らしきものはない。
俺は、出来るだけ目立たないように車のドアの隙間からドロっと抜け出した。
慎重に地面を這いずり、たて物のシャッターの隙間から中を覗く。
【ここには監視のものはなさそうだな。】
俺の情報がどの程度まで奴らの耳に届いている変わらないが、とりあえず、奴らの情報を集めなければ・・・
運び込まれた時に使われたタクシーらしきものも発見。
【ここで間違いなさそうだ】
手っ取り早くマキを見つけなければ・・・
体を分散しよう・・・三つの塊に分け、各フロアに向かう。
壁を登り、天井を進む・・・なぜ、壁を登れるか?それはこの一年の間に気づいた方法で、皮膚の表面に昆虫のように薄い毛のような足を並べることができるようになった。この足の毛は細かい所に引っかかり体を支えることができる。簡単に言えば蝿や蜘蛛の足を再生している。
分離した体は共有した思想で動いているが、それぞれに別行動だ。
一つ目の体(1号としよう・・・)は監視室のようなところに入る、目線に入らないように細い線になって壁の角から天井に移動する。
【控えているものと合わせると六人、二人はソファーで仮眠中だ。一人はモニターを除いている。】
1号はしばらく待機することにした。
2号と3号はその他の部屋を回るが、空室が多くマキを確認できない。
侵入して30分、2号が防音室を発見する。侵入口がないな・・・どうしよう・・・。
3号は建物の上層階にたどり着いた。部屋の中にはモカだ、やっぱりグルだったんだな。後はボスっぽい奴と付き人が一人か・・・マキの確認が取れない。どこに行ったんだ?
モニターを見ていた1号が、モニター越しにマキを発見、
【やっぱり防音室っぽいなぁ】
仕方ない、次の作戦だ・・・
待機している竜二に話しかける。
「バイオ、あや達も到着したぞ。」
「ちょうど良い、奴らの状況はわかったが、マキのいる部屋が防音室のようで、部屋の中は監視モニターで見えているのだけど、確認が取れてない。」
「じゃあ、こっちから連絡して、乗り込むって奴ですね。」
「ああ、慎重に頼むぞ、マキさえ見つかれば後は一網打尽にしてやる。それと、モカはやっぱり向こうの手先だ。」
「そうだとすると、結構前からバイオのことを知ってたんですね。」
「ああ、並行してモニターにつながっているパソコンを精査してる。アジトにつながれば、大元のサーバーを攻撃してやろう。」
「じゃあ、連絡しますよ。」
アジトにあるマキの電話がなる。プルルル・・・・・
「先生、随分早かったですね。」
『マキはどうしている、無事なのか?』
「当たり前でしょう、大事なお客様ですからねえ、それよりどちらにいらっしゃるですか?」
『名古屋中央インターチェンジを降りたすぐの埠頭だ』
「すぐ近くですね、位置情報を送りますからお越しください。お待ちしてますよ。」
電話を置くと部下に合図する・・・
「Dai gei wo(連れて来い)」
中国語か?
部下達が動き出す。無線機で何か指示したようだが聞き取れなかった・・・
しかし、命令を聞いた部下達が動き出す。
モニター室ではモニターを見ている二人を残して四人が動き出した。
防音室の扉が開いた・・・マキが出てきた。
【よかった無事だ】
すぐ、竜二には無事を伝えた。
「よかった、無事で・・・」
車を建物の前につけた。するとシャッターが開く。
「じゃあ、突入します。」
車がゆっくり建物に入って行った・・・