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バイオ  作者: 白髭亥
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俺、スライムになっちまった・・・第5章

第5章 ー バイオ ー


 完全に眠ることのなくなった俺は1日の時間がとても長く感じ始めた。一つ一つの細胞がそれぞれ役目を得なければならず、それを決めることで体型が維持できるようになってきた。考えてみれば、人間の細胞はそれぞれの場所で適応した活動しているのだが、俺は全て同じ細胞だから仕方ない。少しずつではあるが、移動の仕方が見えてきた。

 今は四足歩行が移動しやすい。まるで赤ん坊のようだ・・・


 視覚はすごく良い。水晶体の大きさを好みに作るのだが、人間の普通サイズで目の構造にするとちょっと気味悪いので、目立たないサイズで作ってある。ちなみに個数は何個でも大丈夫だが、情報の整理が出来るのは10個ぐらいまでだった。

 聴覚は実はすごく敏感だ、振動を全て音として認識してしまい、測ってはないが犬と同じぐらいの聴力だと思う。

 これは嗅覚も同じようだ。ただ、感じるところを減らして鈍感にすることで平静を保っている。

 声帯も細胞をスピーカーのようにすることで通常の会話は問題ない。

 ただ、色素のコントロールが難しく、今はまだ白濁した色合いのままだ。


 研究所内の決められたフロアに監禁された状態のまま、3週間が経った頃、俺のことを心配している元嫁とマキに面会できることとなった。まあ、隠し通せるものでもないしなぁ・・・

 ラボで作ってもらった外骨格に体を通し、ぎこちない動きで面会する・・・


 「えっ?・・・お父さんなの?」

 そりゃそうだ、以前の面影なんてどこにもないからなぁ

 「ああ、俺だよ。見た目は相当変わったからわからないだろうけど・・・」


 ことの経緯や今の研究室での過ごし方、塚本先生と一緒に説明をしながら話をした。


 「そして、これからのことなんだけど・・・」

 先生が話し出す。

 「猪飼さんん体はこれからの医療を変えてしまう新しい細胞を持っているんだ。その研究のために、協力してほしい、国立医療研究所に僕と一緒に来てくれませんか?そして早川さんもお父さんのサポート、僕の助手として一緒に来てほしい。」


 「どのみち俺はこの体だし、未来の研究に役立つならいいよ。」

 「私は・・・少し考えさせて、今はまだ、お母さんと離れたくないし・・・」

 「お母さんのことは心配しなくて大丈夫よ。」

 

 「すみません、こんな時だから皆さんに伝えたいことがあります。」

 「竜二・・・?」

 「・・・マキさんと半年ほど前からお付き合いをさせていただいております。将来は結婚も考えております。

  頼りないと思いますが、皆さんを僕が守ります・・・いや、守らせてください。」

 「あら、やっぱりそうなのね、なら尚のことマキは先生と・・・」

 「うん・・・いつかはそうするけど、今はまだダメ。」


 俺がとやかく言うことじゃないが・・・

 「あ・・・その件は三人に任すよ。俺は協力させてもらうが、条件がある・・・まず、俺の体の一部を返してほしい・・・実は、渡した部分を感じていて違和感が消えないんだ。それと、今までの俺を死んだことにして、新しい生き物として登録してほしい。こんな生物がマキの親というのを残したくないんだ。」

 「お父さん・・・」


 「わかりました、全て国に要望を伝えてみます。それと新しい登録名ですが・・・今、この研究がバイオプロジェクトと言います・・・単純ですが、バイオってのはどうでしょう?」

 「バイオ・・・なんかそれっぽい。いいんじゃない?」

 「じゃあ、私たちもバイオって呼ぶね、お父さん」

 「なんか名付け親になった気分です。それではその手続き等を進めますね。バイオさん」

 「よろしく頼む・・・」


 これからの俺の生き方が決まった気がする。

 1人になり、ネット上のアカウントを削除したりしてた・・・・


 終活ブログ・・・

 これを描き始めた時、全てが終わるつもりでいたのに・・・

 「でも、俺は三日坊主だったな・・・」

 ブログを消去しながら、58年か・・・良い人生だったと思う。

 でもこれからは全く違う生き方になる。

 こんな生き物になってしまったが、ワクワクする気持ちが湧いていた・・・

 

 

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