俺、スライムになっちまった・・・第4章
第4章 ー まな板の・・・俺? ー
手術を受けるような服に着替えさせられ、歩いて治療室に向かう。
「よろしくお願いします。」
手術代のようなベットが少しひやっとする。
検査用の電線が体の至る所に付けられ、麻酔の処置が始まった。
「気持ちを楽にして、あとは私たちに任せてください。」
電灯の光を見ながら、あっという間に意識が薄れていった・・・
目が冷めた・・・周りではスタッフの人たち、そして先生が顔をのぞかせていた。
「先生、どうなりました?」
「今の所、大きな変化は見られません。しばらく、このまま様子を見ます。何か気になることはありますか?」
「お腹が空きました。」
「じゃあ、食事は用意しますね。」
するとスタッフが突然慌て出す。
「塚本先生、被験者の脳波に変化があります。」
「何?何が起こってる?」
えっ?
「データーの記録と解析を始めてくれ、猪飼さん、体調はどうですか?」
「別段、これと言って変化は感じられません。」
「先生、心拍数が異常に上がっていますが、脈拍は変化が見られません、後、触手による感覚でも、至る所で部位の差が生じています。」
「どうですか?猪飼さん」
あ・・・れ・・・
「すごく・・・眠気が・・・あ・・・」
ビリッとした感覚・・・痛みは感じなかったが・・・なんだ?
スタッフが右往左往している・・・
「・・・心拍、戻りません。」
「もう一度だ・・・」
「先生、患者の体が水風船みたいになってきてます。」
「何?」
触診すると異様に柔らかい、皮膚の色素にも変化が見られる。
「何が起きているんだ?」
ん?水風船?て、あれ俺の腕、どこだ?
息?してないけど苦しくはないなあ・・・
俺は大丈夫だよ・・・って言葉が出ない?
あれれ、視界がめちゃくちゃ広がってる?
それぞれの細胞からの伝達がいっぱいあって、敏感になっているみたいだ。
ん?あ・・・俺の体の一部がいるんだな? それ、このくらいでいいかな?
ピンポン球ぐらいの組織を分離してガラスのケースに収まった。
冷たい・・・
あ・・・分離したのに感覚がある。視覚も・・・わかるぞ!
こんな状態で、意識があるって夢?
自分で自分がわからないや・・・どうなるんだろ?
検査の機器に入れられた後、プラスチックの容器に収められた。
何度も声を出そうと試みたがうまくいかない。
どうにかして伝えないと・・・・
その頃、分離された体組織が分析しつで電子顕微鏡にかけられていた。
「初めて見る構造の細胞だな。IPS細胞に類似しているようにも見える・・・しかし、驚くことはすごい速さで構造が変化していることだな。こんな細胞はまだ世間に知られてはいけない細胞だ・・・・」
分析室での出来事が手に取るように伝わってくる。
構造が変化するのは意識的にできるのかな?
人の会話が聞けるって事は、振動を感じて脳に伝達ができているって事だから・・・・
俺は自分が入っている容器に振動を伝えてみた。
「ブッブーーーー」
音が出せた!
「何?何が起こったの? 先生を読んできて!!」
スタッフが慌てて部屋を飛び出した。
これを会話にできないかな?
「わ`た`しば・・・」
「あ・い・ゔ・べ・ぼ」
トレーニングしないとダメだなぁ・・・
すると・・・
「どうした?何が起きた?」
「い・ば・い・で・ず。」
「え?この状態で意識があるんですか?」
「ば・い」
「これは大変だ・・・・教授たちを読んでこの後の対策を考えなければ。 猪飼さん待っててくださいよ。」
「ば・い」
よかった、とりあえず伝わったぞ。
後は、自分の体を分析しないと・・・
しかし、まさか自分がスライムになるとは・・・